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「判定! 高校「歴史総合」教科書 こんなに違う歴史記述」伊勢 雅臣

本のソムリエ 2022/01/11メルマガ登録
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「判定! 高校「歴史総合」教科書 こんなに違う歴史記述」伊勢 雅臣


【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

 令和4年度から高校に「歴史総合」という世界史と日本史を一緒に教える科目が追加されました。問題はこの科目の教科書がどういった内容であるのか、ということです。教科書の中には、戦前の日本は植民地利権のために軍部が暴走した帝国主義国家であったと断定または誘導するような記載となっているものがあるのです。


 例えば、なぜ日本は日露戦争を戦ったのか教科書では3通りの説明があります。第一は「帝国主義」説。第二は「自衛」説。第三は「代理戦争」説。これらを併記して学生に考えさせるのも面白いと思いますが、教科書の中には植民地の利権のために日本は侵略したと断定しているもののあるのです。


・日露戦争・・・【実教】日本の勝利は・・民族運動の進展に影響を与えた。しかし実際は、韓国・満州利権をめぐる帝国主義国家どうしの争いであった(p16)


 この本のように、それぞれの教科書によって歴史の記述が違うのを並べてみると、歴史とは捉え方でどうとでもなるということがよくわかります。


 戦前の日本を見ていると、日本は帝国主義国家で、侵略戦争ばかりしていたと表現することもできます。その一方で、近隣諸国の騒乱や挑発に対し、自重しつつも挑発や世論工作に絶えられずに実力行使してきたと表現することもできます。


 そして正式な手続きにより韓国、台湾を自国領として搾取するわけでもなく、多額のインフラ投資して経済発展させると最後には戦争で奪い取られ、植民地支配と批判されることになっています。また、マスコミの中には敵国のスパイが多く存在し、マスコミと世論によって、政策が歪められる場合があったことは、現代社会と似ているとさえ思えるのです。


・ソ連のスパイ・・・尾崎は昭和3(1928)年11月、朝日新聞社の特派員として上海に駐在した際に、リヒャルト・ゾルゲと知り合いました(p197)


 著者は歴史教科書には思想誘導型、社会科学型、歴史物語型があるといいます。


 思想誘導型がは、左翼新聞のように日本は帝国主義、軍国主義であり他国を侵略してきたという結論に誘導する教科書です。社会科学型とは、歴史として起きたことを事実として記載するという、科学的、学問として史実を記載しているものです。歴史物語型としては、当時の日本人がどのように考えたのか、どういった思想を持っていて、どういった議論があったのか記載しようとする教科書です。


 著者は歴史物語型を推奨しているようですが、私はどちらかといえば社会科学型が好きで、歴史物語については自分で本を読むなどして自習するのが良いのではないかと感じます。


 著者の総合判定で評価が高い順番に並べると明成社、山川出版社、帝国書院、清水書院、第一学習者、東京書籍、実教出版となっています。特に評価の低い第一学習者、東京書籍、実教出版は、思想誘導型で左派的新聞的教科書、確信犯的歴史断罪としています。


 東京都教育委員会の平成31年度使用の高学校用教科書の日本史Aの比率は次のとおりでした。明成社0%、山川出版社17.7%、帝国書院0%、清水書院10.8%、第一学習者36.1%、東京書籍21.5%、実教出版13.9%。また、世界史Aの比率は、明成社0%、山川出版社18.2%、帝国書院29.1%、清水書院2.4%、第一学習者12.7%、東京書籍8.5%、実教出版29.1%となっています。


 つまり、評価の低い悪い意味での思想誘導型の教科書のほうが、東京都では使われているという実態があるということです。「悪貨は良貨を駆逐する」という法則がありますが、「悪教科書は良教科書を駆逐する」のでしょうか。伊勢さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・攘夷・・・第一:外国人の排斥を唱える攘夷論・・・現代の移民排斥と同様の偏狭なナショナリズムと生徒が誤解してしまう恐れが多分にあります(p36)


・日韓併合・・・英米も韓国併合を日本に勧めています・・・ルーズベルト大統領は小村全権代表に、「将来の禍根を絶滅させるには保護化あるのみ。それが韓国の安寧と東洋平和のため最良の策なるべし」と言いました(p139)


・明治19(1886)年・・清国が誇る世界最大の戦艦2隻を含む北洋艦隊が長崎に寄港した際に、500人もの清国水兵が長崎の町で狼藉を働き、止めようとした2人の巡査を殺害(p71)


・平和と繁栄を求めて、中国から満州に人口が流入・・・平和と繁栄の4年間を無視して、満州事変とシナ事変をつなげ、大東亜戦争終戦までの正味13年11ヶ月を「15年戦争」などと称するのは、歴史の捏造(p173)


・日露戦争・・宣戦の詔勅・・・清国韓国両国の領土の保全は我が日本の独立自衛と密接な関係がある。ここにおいて私は我が政府に命じて、ロシアとの交渉を断ち、我が国自衛のために自由な行動をとらせることに決定した(p119)


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▼引用は、この本からです

「判定! 高校「歴史総合」教科書 こんなに違う歴史記述」伊勢 雅臣
伊勢 雅臣、グッドブックス


【私の評価】★★★★★(93点)


目次

1章 攘夷 対外強硬か、独立維持か
2章 日清戦争 朝鮮侵略か、友邦国化か
3章 台湾統治  植民地か、新領土か
4章 日露戦争 帝国主義戦争か、自衛戦争か
5章 朝鮮統治 収奪か、発展か
6章 満洲事変  日本は断罪され、世界から孤立したのか
7章 日華事変 侵略か、引きずり込まれたのか
8章 大東亜戦争 侵略戦争か、自衛戦争か
結章 歴史教科書3つのタイプと総合判定



著者紹介

 伊勢雅臣(いせ まさおみ)・・・大手製造企業の社員留学制度により米国カリフォルニア大学バークレー校に留学。経営学修士(MBA)、経営学博士(Ph.D.)を取得。イタリア現地法人社長、米国現地法人社長などを歴任。ビジネスの傍ら1997年にメールマガジン「国際派日本人養成講座」を創刊、以後24年にわたり発信を続け、現在の購読者4万人。筑波大学・日本語日本文化学類・非常勤講師。


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