【書評】「歴史が遺してくれた日本人の誇り」谷沢 永一
2018/11/06公開 更新
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
歴史を知るためには歴史小説を読め
歴史は教科書を読んでいても分からない。歴史の本質は、もっと別のところにある、という谷沢さんの一冊です。
歴史を知るためには、伝記、歴史小説が参考になるという。学術書や教科書を読んで歴史で起こったことを頭に入れるだけでは、本質は見えてこないのです。
歴史の登場人物の人間性や時代の雰囲気を知り、なぜそうした判断になったのかという本質を知る必要があるというわけです。
伊藤(博文)の妻である梅子は、下関の芸者である・・伊藤が出張に出掛けたら、出張先ではかならず芸者を二人用意しておかなければならなかったという(p55)
歴史を知るとは日本人を知ること
歴史を知るということは、日本人を知るということです。嫉妬深い日本人は、権威と権力を分けるという知恵を持っていました。
その一方で、官僚が、権威と権力を持っているという現実があります。戦時に特殊法人がつくられ、これが戦後、そのまま残り、官僚の天下り先として拡大していったという。
また、政治家は外国から金をもらっているという。著者の言葉では、代議士の三分の二は中国からお金をもらっているという話もあるとしています。著者の言葉が正しいとすれば、政治と官僚制度には、まだ改善すべき点があるのでしょう。
文部科学省は・・権威と権力を持っていて、ちょっとでも反抗する者が出てくると、それに嫌がらせをする。いかに文部科学省、昔の文部省の大学に対する嫌がらせがこってりとしたものか、私も十分に身に覚えがある(p194)
新聞は昔から偏向している
新聞というのは今も昔も偏向していたという。著者は新聞というのは、正しいことをそのとおり書く公の事業ではなく、単なる一つの商売だと主張しています。商売なのだから、新聞社とすれば読者を面白がせればそれでいい、ということです。
仏教もお金をとるために戒名を創造し、お墓も創造してお坊さんが並んでお経を唱えれば、それだけでお金がもらえる仕組みを作ったというのです。
谷沢さんの歯に衣を着せない言葉に目からウロコの一冊でした。もっと本質を学ぶために読んでいきたいものですね。谷沢さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・浄土真宗では、西本願寺と東本願寺が200年間も大喧嘩している・・・位の取り合いの権力闘争まで行っている。そんなものは、宗教でも何でもない(p121)
・『古事記』の序には和銅5年(712年)正月28日を完成の日としているが、それ以降、『古事記』の写本ばかりはまったく行われていなかったらしい。というのは、『古事記』の現存する最古の写本は真福寺本であって、この本はなんと中世応安元年(1368~1375)の書写である(p7)
・ナポレオンを生んだとされるフランス革命の評価となると、無茶苦茶に揺れている。市民革命の始まりという見方もあれば、テロリズムの原点という考え方もある(p25)
・日本人は、権力そのものが一カ所に集まることを嫌がる・・そうした権力構造を日本史の中につくっていったのは、日本人の嫉妬深さである・・財閥というと、海外では「偉い」ともてはやされるが、日本では悪いことにある(p65)
・後鳥羽上皇が起こした承久の乱では、負けた後鳥羽上皇側についた武士もけっこういた。その連中は土地のかなりの部分を失うことになり、不満がたまった。その不平分子によって、鎌倉幕府の滅亡後、南北朝の対立が生まれたのである。南北朝の対立というと、天皇同士の争いに思われがちだが、そうではなく、土地を巡る武士の相続争いなのだ(p69)
・『西国立志編』を読んで、志を起こしたわけではない。すでに志はあったのだ。志があったから、『西国烈士編』を読んでよくその意味を理解できたのである(p85)
・なぜ二・二六事件が起きたかというと、あまり新聞は書いていないが、五・一五事件の判決が被告である青年将校たちにとってやさしいものだったからだ・・これで青年将校たちは甘く見た。五・一五事件でこの程度の軽い処罰ならもっといけると踏んで、二・二六事件を引き起こしたのである(p169)
▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★★★(93点)
目次
第1章 いま、歴史とどう向き合えばいいのか―「歴史通」のすすめ
第2章 歴史の本質をとらえ直す―日本人がたどってきた足跡
第3章 受け継がれてきた日本人の誇り―歴史が遺してくれたもの
第4章 失われた歴史を取り戻す―いま求められる真の気概とは
第5章 「歴史通」から「人生通」へ―古典の叡智で自分を磨く
日本の歴史関連書籍
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「歴史が遺してくれた日本人の誇り」谷沢 永一
「判定! 高校「歴史総合」教科書 こんなに違う歴史記述」伊勢 雅臣
「庶民の日本史 ねずさんが描く「よろこびあふれる楽しい国」の人々の物語」小名木 善行
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