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財務省が日本を支配し増税を画策している「財務省を解体せよ」高橋洋一

2020/12/30公開 更新
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「財務省を解体せよ」高橋洋一


【私の評価】★★★★★(91点)


要約と感想レビュー

 「マスコミ報道はウソばかり」と公言する元財務官僚の高橋さんの2018年の一冊です。ちょうどモリカケ問題も一段落し、全体の構図が明らかになった頃です。


 森友学園は近畿理財局が入札せずに随意契約で森友学園に土地を売却し、籠池氏が政治家の関与をほのめかして値引き交渉した案件。加計学園問題は、文科省が長年獣医学部新設の申請を制限してきたことを首相が議長の国家経済特区が正した案件。マスコミは案件の本質を報道せず、安倍政権の強権による関与をほのめかす報道を続けました。


・文科省は1984年以来、日本の大学に獣医学部新設の申請さえ禁じていた張本人です・・・歪んでいた行政を、国家戦略特区は「正した」のです。こうした文科省と大学の間の力関係を利用して、文科省OBたちは退職後に大学へ天下るのです。前川氏は文科省元幹部が組織的なあっせんを受け再就職した問題の責任をとり、2017年1月に辞任しています(p66)


 例えば、森友学園問題で財務省が安倍政権に忖度したのではと報道するマスコミがありますが、それは著者の元財務官僚の肌感覚とズレています。財務省は、消費増税を遅らせた安倍政権を倒そうとしていたくらいで、そもそも首相が地方の一幼稚園の土地問題に関わるはずがないのです。


 官僚は安倍政権に幹部の人事権を握られ、天下りを規制されたため、安倍政権をなんとか倒したかった。それに官僚の御用マスコミが乗っかったというのが実情なのでしょう。日本は官僚に支配された官僚国歌なのです。


・財務省の"倒閣運動"・・・実際の財務省は、忖度するどころか消費増税を阻む安倍政権と対峙しているのが現実です。財務省の悲願である消費増税を阻む安倍政権に忖度すれば、むしろ省内での出世に差し支えるはずです(p75)


 タイトルの「財務省解体」とは、財務省から国税庁を引き剥がし、日本年金機構の徴収部門と統合して歳入庁を創ろうという提案です。国税庁の査察という巨大権力を財務省は手放したくないと思いますが、欧米では歳入庁のある国が主流。なぜなら、社会保険料の徴収漏れが国税庁との統合で減らすことができるからです。


 歳入庁も導入しようとするとモリカケのように一波乱あるかもしれませんね。また、マスコミに何かに流すかもしれません。官僚恐るべし。 高橋さん、良い本をありがとうございました。



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この本で私が共感した名言

・森友学園問題における財務省の「失敗の本質」・・・近畿財務局が森友学園に対する国有地売買を原則である入札方式ではなく、随意契約で行ったこと・・・地中のゴミに関する説明が十分でなかったために・・・相手方の籠池泰典氏は、政治家の関与をほのめかしながら近畿財務局をゆすり、無理筋な値引き交渉を続けたのです(p54)


・官僚には天下りという大きな既得権があります。日本でのバランスシートでの天下り法人への出資金比率は先進国のなかで際立って高いです・・・天下り法人への出資金は、法人を民営化すれば容易に回収できます(p91)


・2017年末、日米の税制改革・・・アメリカは、共和党が35%の連邦法人税立を2017年から21%に引き下げる大型減税法案が可決されました・・・日本では、・・・「増税減税ゼロ」「所得税は900億円増税」「たばこ税2400億円増税」などで、全体で2800億円の増税となりました(p130)


・官僚トップである事務次官は誰が決めるのでしょうか。一言でいえば、OB全体の雰囲気と、時の総理や大臣の覚えがめでたいかどうかで決まります。もっとも、次官になる前の主計局人事でかなりの程度は決まってしまうのが実情です(p161)


・国家公務員の人事を管理している課・・・給与の金額を管理している財務省主計局給与共済課、各省庁の人事を管理している人事院給与局給与第二課、国家公務員の数を統括している総務省行政管理局・・・この三つは別々の組織ではありますが、実は、財務省から出向した財務官僚が課長ポストを独占しています・・・予算編成権に加えて、人事権まで握られてしまっていては、他省庁は財務省に敵わないでしょう(p180)


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▼引用は、この本からです
「財務省を解体せよ」高橋洋一
高橋 洋一、宝島社


【私の評価】★★★★★(91点)


目次

第1章 財務省スキャンダルの真相
第2章 財務省と安倍政権の「暗闘」舞台裏
第3章 マスコミを洗脳し「増税」を目論む財務省の大罪
第4章「最強官庁」の権限・仕事・人事
第5章「財務省解体」と霞が関改革



著者経歴

 高橋洋一(たかはし よういち)・・・1955年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)等を歴任。小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍。(株)政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授。『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞受賞


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