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「テレビの裏側がとにかく分かる「メディアリテラシー」の教科書」長谷川 豊

本のソムリエ 2019/01/01メルマガ登録
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テレビの裏側がとにかく分かる「メディアリテラシー」の教科書


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

 フジテレビから「横領」で処分され、処分に納得できないことから退職したフリーアナウンサー長谷川さんの告白です。長谷川さんは、『発掘!あるある大辞典』で演技で嘘のナレーションをやらされたと告白しています。姉歯建築士の耐震偽装事件では、「偽造したが強度は十分ある」という発言をスルーし、すぐに地震で倒れるかのうような報道をしていたのを目撃します。耐震偽装した建物は東日本大震災で一棟も倒れなかったことも、妻が自殺したことも報道しないのがテレビ局なのです。


 さらには、新型インフルエンザの毒性がないことを知っていたが、あえてそれは伏せて報道して、日本では大騒ぎになったという。著者の説明では、要するにマスコミは視聴率が取れて、儲かれば良いのです。正確に報道して、正しい情報を伝えようという姿勢が存在しないという。衝撃でした。


・新型インフルエンザについて正確に調べたところ、その毒性は「強くない」=「弱い」ってことが分かった・・視聴率、取れんがな!・・ディレクターと相談した結果、その発表はもみ消した・・と、言う訳で、そのまま放送した。煽るだけ煽った。その結果・・大騒動に発展した。2009年6月のことだ。日本中のドラッグストアからはマスクが消え、薬局の前には長蛇の列(p82)


 しかし、著者は「マスコミの現実を知って衝撃を受けた人は甘ちゃんだ!」とバッサリ切り捨てています。テレビマンは視聴者を楽しませるために真剣に命をかけて「やらせ」を企画し、煽り、捏造しているんだよ。そんなことも知らないでマスコミを批判しているの?甘ちゃんだね。それがテレビ業界人の本音であり、著者が伝えたいことなのです。


 編集権はメディアにあり、公平・公正を判断するのはマスコミなのです。民間のマスコミは、株主のために利益を挙げることを使命とし、そこを外したら社内で出世することはできないのです。マスコミはプロですから、裏の事情を知ったうえで、都合の良い報道をしているだけというのが実情のようです。


・メディアは公正な報道だけをしているのか?もしあなたがそう考えていたのならば、あなたの価値観は相当に甘ちゃんだと言わざるを得ない(p50)


 これだけぶっちゃけていると、逆に面白いと思いました。フジテレビから「横領」で処分され、退職したということを割り引いても参考となる一冊でした。長谷川さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・「株式会社」である民放局という組織は、そもそも、「株主のために存在」し、その民放局に対して「お金」を払ってくれている「客」とは「スポンサー」(p25)


・『公正・公平』の定義なんてない・・その定義がなされていないのに、そんな放送、出来る訳がないのだ(p28)


・『発掘!あるある大辞典』・・やらせ騒動は所詮、「氷山の一角」だ。何故かと言うと・・・僕が入社して、最初にやらされた「やらせ」こそがその『発掘!あるある大辞典』だからだ(p54)


・当時の情報番組と報道番組のデスクたちは「徹底的に叩け!」と指示を出す・・・当時のスタッフからは「絶対に姉歯を送検まで追い込め!」と号令を出している人間までいた(p67)


・東日本大震災・・当時、震度5か6でパターンと倒れると報道された姉歯一級建築士が設計したマンションは果たしてどうなっているのか!?答えは・・ビクともしていなかった(p71)


・姉歯氏の最愛の妻は精神的な辛さから逃れるために2006年3月28日、自殺する。マンションから飛び降り自殺をしたのだ・・自殺した妻だが、この妻もブランドを買いあさり、高級フランス料理店でグルメ三昧したとか、ホストクラブ遊びをしたという話も全く事実ではなかったことが後々分かっている・・しかし、そんなことは報道されることはない。だって・・そんな話、面白くないし。テレビの信用、失うしぃ~(p75)


・ちなみに、姉歯氏の一件には裏に大物の政治家がいた、そいう噂話もあった。ま、所詮噂程度の話だが、その大物政治家が「すべてを姉歯のせいにして話を収めようとした」という噂話があることだけは記述しておきたい(p75)


・インタビューという行為に関しては、「話を聞く」ことと、「テレビ的に必要なコメントを引っ張り出す」ことの2種類の行為があるが、嫌らしい話を言うと大半は、テレビでは後者の方が圧倒的によく使われていると言っても過言ではない・・原稿に沿った話を聞き出す必要がある(p132)


・『あいのり』はそもそも「恋愛観察バラエティー」、あくまで「バラエティー」だ。・・当然、スタッフさんの中には、出演者とエッチしているのもいたし、出演者たちは・・2周間に一度、日本に戻って・・彼女や彼氏と遊んでいる人も多数いた(p142)


・視聴者の皆様に楽しんでもらいたいそのために、自分の寿命を縮めながら毎日働いている・・確かに、テレビは話を捏造し、インタビューも偏った内容に作り替えたりする・・批判は当然。それだけの利権を抱えているので、批判してもいいと思う。でも、こう言った裏側を知らずに、ただ批判するのは間違っていると思うのが僕の意見だ(p147)


・民法は金儲けの株式会社・・・バラエティ番組は全て「やらせ」である・・・報道番組は皆さんが思っている以上に、現場の人間は真剣に作っているし、真剣にニュースを伝えようとはしている。しかし、そこには当然視聴率というものが存在するために、やおら煽っている内容や根拠となる数字やデータの希薄なものは基本的にただの「煽りだ」と思っていて問題ない。そもそも、ニュースだって、間にCMが入っている以上、視聴率を稼ぐためにやっているのだ(p191)


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【私の評価】★★★★★(90点)



目次

序章 僕がこの本を書いたわけ
第1章 視聴者は客じゃない
第2章 メディアリテラシーって何?
第3章 僕のしたやらせ報道
第4章 繰り返された悲劇―『ほこ×たて』騒動
第5章 「やらせ」なんてものはなくなりはしない―テレビ番組の作られ方
第6章 日本の常識なんて世界では全く通用しない
第7章 テレビとの向き合い方
終章 リテラシーの力が世界を変える


著者紹介

 長谷川豊(はせがわ ゆたか)・・・1999年立命館大学を卒業し、フジテレビ入社。朝の情報番組『とくダネ!』や競馬実況の現場で活躍。2010年からニューヨークに赴任。2013年、フジテレビを退社しフリーアナウンサーに転向。フジテレビ退職後もメディアや政治の裏側を語る講演活動を展開。株式会社OFFICE HASEGAWA、株式会社Media STARSの代表取締役を務める


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