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地球温暖化を信じていない学者は多い「地球温暖化論のウソとワナ」伊藤公紀

2021/01/04公開 更新
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「地球温暖化論のウソとワナ」伊藤公紀


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 菅首相が2050年にCO2排出量実質ゼロ「カーボンニュートラル」を目指すと宣言したことについて、トヨタ自動車の豊田会長が「たいへん難しいチャレンジ」と発言したと聞いて、手にした一冊です。 本書は物理化学と光化学の大学教授が科学者の立場から、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の内容が、いかに科学的にあやふやな学説を政治的に発表しているのか、解説する内容となっています。


 この本はなんと2008年に書かれた本ですが、地球温暖化についての議論は、まったく変わっていないというのが私の印象です。著者の印象でも、まともな科学者は地球温暖化のCO2原因説に反対または中立の人が多いというのです。


・まともな科学者は「温暖化論」に懐疑的で沈黙している・・・「現在の気候変動が人為的なものだと思うか」についての意見分布・・・賛成は全体の2分の1くらいで、中間の態度や反対の研究者も多い(p53)


 地球温暖化についてのウソとワナとは、本当にCO2が地球を暖めているのか、実は確証がないということです。まず、シミュレーションがいい加減。最近の気温上昇に合わせているだけで、過去の気候変動を説明できていない。IPCC報告書報告書では、1970年以降に観測された気温上昇をうまく説明できる一方で、1940年くらいに見られる気温のピークは説明できないというシミュレーションを根拠にしているのです。著者の経験から言えば、シミュレーションは、前提条件やモデルを工夫をすれば観測値に合わせられるというのです。


 また、地球温暖化に関係していると考えられる物質はCO2だけではないのに、なぜCO2だけが悪者にされるのか、科学的な証明がないということです。さらに、氷床コアのデータ分析では気温が上がってから後追いでCO2が増えているという論文もある。そもそも地球温暖化しているという気温測定の正確性や、異常気象の真偽についても、問題が多いというのです。例えばグリーンランドではここ10年、気温が上昇しましたが、同じようなことが100年くらい前にもあったというのです。石油の大量消費が始まったのが1960年以降。つまり、1950年より前に起きた気温上昇は自然変動であり、今回も同じ気温上昇である可能性があるのです。


・南極のボストーク基地で採掘された氷床コアのデータで・・・気温の変化の方が先に起こっているとわかった。つまり二酸化炭素の濃度は、気温変化を追いかけるように変わったことになる(p178)


 一部の科学者の「地球は温暖化している」という意見だけを取り上げて、CO2だけを削減するためにだけ全世界的にお金が支出されるのは大きな問題だと感じました。このようなあいまいな学説に基づき、自動車産業の雇用問題にまで影響するような政策が決定されることへの自動車産業としての危機感なのでしょう。


 私は、実は菅首相はすべてわかっていて「カーボンニュートラル」を宣言したのではないかと思っています。2050年など30年後のことはわかりません。まずは、「カーボンニュートラル」でCO2大量排出国への圧力とするのです。もしかして本気で地球温暖化を信じているとしたら・・・恐ろしいことです。伊藤さん、渡辺さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・「温暖化対策は待ったなし!」と脅す人がいるけれど、かりに海面が上がるとしても年にせいぜい数ミリだし、近年になって異常気象が増えたという証拠も実のところほどんどない(p4)


・1940年~1970年に気温低下が見られたときは、地球が氷期に入るのではないかと言われた・・・「寒冷化を叫んだ人が、今度は温暖化を叫んでいる」(p58)


・赤祖父教授がアラスカ大学の局地研究所所長のとき・・・日本から新聞記者がやってきて、「地球温暖化のために傾いた家の写真を撮りたいから、案内してくれ」と頼まれるので、『傾いたのは暖房のせいですよ』と言っても聞かず、暖房のために傾いた家の写真を撮って帰っていくのです。ひどい話です(p139)


・筆者(渡辺)は・・・大気中CO2濃度の増加傾向を物語るグラフに出合ったとき、ワクワクしたのを思い出す。なぜか?・・・現在の植物は、大気中のCO2が増えれば育成が速まる(p227)


▼引用は、この本からです
「地球温暖化論のウソとワナ」伊藤公紀
渡辺正、伊藤公紀、ベストセラーズ


【私の評価】★★★★☆(80点)



目次

序章 温暖化の論議はいわば「環境テロリズム」
第1章 地球は本当に温暖化しているのか?
第2章 気温を変動させる原因は何か?
第3章 「異常気象」は本当なのか?
第4章 ノーベル賞『不都合な真実』の"ご都合主義"
第5章 「京都議定書」の反省から将来を望む


著者経歴

 伊藤公紀(いとう きみのり)・・・1950年福岡県生まれ。横浜国立大学大学院工学研究院教授。専門は物理化学・環境計測科学。光技術を応用した高感度センサーを開発


 渡辺正(わたなべ ただし)・・・1948年鳥取県生まれ。東京大学生産技術研究所教授。専門は生体機能化学・電気化学・光化学。光合成のメカニズムなどを研究


地球温暖化関係書籍

「「脱炭素」は嘘だらけ」杉山 大志
「異常気象の正体」ジョン・D.・コックス
「地球温暖化「CO2犯人説」は世紀の大ウソ」
「「地球温暖化」の不都合な真実」マーク・モラノ
「地球温暖化への挑戦」薬師院 仁志
「「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ」渡辺 正
「地球はもう温暖化していない: 科学と政治の大転換へ」深井 有
「環境問題の嘘 令和版」池田 清彦
「排出権商人」黒木 亮
「環境問題はなぜウソがまかり通るのか3」武田 邦彦
「地球温暖化論のウソとワナ」伊藤公紀
「CO2温暖化論は数学的誤りか」木本 協司


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