「地球はもう温暖化していない: 科学と政治の大転換へ」深井 有
2016/08/01公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
タイトルどおり、地球は今後、小氷河期に入ると予想する一冊です。伝熱学会の会誌に同じような記事があったなあ、と思いながら読んでいました。
本書の内容は、CO2の温暖化よりも、太陽の活動がより大きな気温変動を起こしているのではないか、という意見です。これは1000年、1万年単位で地球の気候変動を見ると、CO2の影響がなくとも大きく変動しており、太陽の活動がその半分くらい影響していると考えられているからです。
・1600~1800年ごろには寒冷期(小氷河期:マウンダー期)があり、100年前後と1000年前後には温暖期(ローマ温暖期と中世温暖期)があったことがわかる。近年の温暖化は300年前の小氷河期からの回復過程であって、今は1000年ぶりに温暖期が戻ってきたところなのだ(p94)
太陽活動(黒点数)に合わせて地球の気温が変化していることは、一般的によく知られています。つまり、太陽活動の変化により宇宙線強度が変化し、その宇宙線強度によって低層(3.2km以下)の雲量が変化し、地表面の温度が変化するのです。
そして現在は、マウンダー期と呼ばれる小氷河期に入る前の状況と太陽の活動状況がよく似ているらしいのです。つまり、太陽の黒点数が減り、太陽の地場が弱まっている。地球温暖化を予想する人がいるように、太陽に詳しい科学者は、小氷河期を恐れているのです。
・マウンダー期には100年以上にわたってまったく(太陽の)黒点が見られなかった・・そして現在、黒点数は急激に減少している。・・現在は、黒点数の減少とともに太陽磁場も急速に弱くなっている(p105)
CO2によって確かに地球は温暖化しているかもしれませんが、それ以上に太陽の活動の影響が大きいのではないか、という意見でした。いろいろな学会で地球温暖化について意見を戦わせていただきたいものです。そして、京都議定書では、まんまと欧米に嵌められた日本としては、同じことにならないよう多くの情報を基に政策を決めてほしいと思います。
深井さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・温暖化は300年前から起こっていたことであって、その主な原因を人為的CO2排出に求めるには無理がある(p29)
・IPCC第2、3、4次報告書の主筆を務めたトレンバースは2009年10月12日の仲間うちのメールに書いている。「温暖化が起こらなくなった原因は今のところ説明できない。われわれプロにして、こんなことができないとはお笑い草さだな」(p16)
・世界の気温は過去100年間に波打ちながら上昇し、1998年からは頭打ちになった・・IPCCは過去100年間の平均気温上昇を大気中のCO2の増加によるものと仮定して、大気大循環モデルの枠踏みの中でスーパーコンピュータによる予測を行った結果を報告している・・最近16年間の頭打ちはまったく表現できず、その食い違いは将来ますます大きくなることが見て取れる(p21)
・重要なのは、今後、太陽活動は数十年から100年にわたって弱まり、地球を寒冷化に向かわせるに違いないという予測である(p7)
・EUの主導で進められた議定書作成の過程での最大のトリックは1990年を規準に採ったことである・・・1990年にエネルギー技術の遅れた東欧を抱えていた EUはその後の技術移転によって議定書制定時に地域全体ではすでに大幅な排出削減を達成していた(p156)
・途上国から見れば、先進国が手を組んで自分たちに地球の資源を使わせないように枠を嵌めようとしている、と感じているに違いない。そして、それは、たぶん正しい(p158)
▼引用は下記の書籍からです。
平凡社
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【私の評価】★★★★★(90点)
目次
第1章 CO2温暖化論が破綻するまで
第2章 太陽が主役、新しい気候変動の科学
第3章 あまりに政治化された「地球温暖化」
第4章 今後とるべき政策を考える
地球温暖化関係書籍
「「脱炭素」は嘘だらけ」杉山 大志
「異常気象の正体」ジョン・D.・コックス
「地球温暖化「CO2犯人説」は世紀の大ウソ」
「「地球温暖化」の不都合な真実」マーク・モラノ
「地球温暖化への挑戦」薬師院 仁志
「「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ」渡辺 正
「地球はもう温暖化していない: 科学と政治の大転換へ」深井 有
「環境問題の嘘 令和版」池田 清彦
「排出権商人」黒木 亮
「環境問題はなぜウソがまかり通るのか3」武田 邦彦
「地球温暖化説はSF小説だった その驚くべき実態」広瀬隆
「CO2温暖化論は数学的誤りか」木本 協司
「チェンジング・ブルー気候変動の謎に迫る」大河内直彦
読んでいただきありがとうございました!
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