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【書評】はじめて部下を持つ人へ「マネジャーの心得」菊原 智明

2026/05/04公開 更新
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「マネジャーの心得」菊原 智明


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー


はじめての課長が陥る失敗パターン

営業コンサルタントとして15,000名以上を指導してきた著者が、はじめて営業課長になった人に向けて書いた一冊です。はじめて営業課長になった人が陥りやすい失敗パターンは、課長だけが張り切って部下が動かないという状況です。


自分がプレーヤー時代にやってきたやり方を部下に強制し、問題が起きれば課長自ら出張って解決する。そのようなやり方では、個人としての成果は出ても、組織全体の成果にはつながりません。


営業課長に求められるのは、正論を押しつけることではなく、チーム全体の力を底上げしていくことです。部下は正論だけでは動きません。「この課長は自分のことをわかってくれている」と感じたとき、はじめて動き出すのです。


そのために最初にすべきことは、信頼の積み木を一つひとつ積み上げることだと著者は言います。毎日部下に声をかけ、小さな変化に気を配り、「困ったときはいつでも相談して」と伝え続ける。この地道な積み重ねが、チームマネジメントの土台になるのです。


チームづくりとは「信頼の積み木を積む」と考える(p308)

暗い雰囲気のチームをどう立て直すか

成果が出ない状況で、「目標まであと〇件だ」と営業課長が伝えれば伝えるほど、部下のモチベーションは下がっていきます。著者が提案するのは、会社の数値目標を別の言葉に翻訳することです。


たとえば「今日はお客様に『ありがとう』と言われる行動を二つしよう」という目標に置き換える。あるいは「この目標を達成した先に、どんな成長や意義があるのか」を部下に語りかける。


著者自身の経験でも、売上の数字を追うのをやめた途端に部下がやる気になり、結果として数字もついてきたことがあるという。


チームの雰囲気を明るくするための工夫として、朝礼の活用も紹介されています。二人組になってお互いを褒め合う、小さな成功体験を発表する、3分間の雑談タイムを設ける。


こうした小さな仕掛けが、職場の空気を少しずつ変え、人の感情に働きかけることの大切さを、著者は強調するのです。


自由に発言できる空気づくり・・・声掛けの回数を増やす・・反対意見が出たら絶対に否定をしない・・・部下の提案タイムをとる(p58)

信頼関係ができてから改善に着手

ある程度チームの信頼関係が築けたら、次のステップとして業務改善に取り組みます。著者が「ボトルネックを探る」と表現するように、成果が出ない根本原因を特定し、そこに手を打つのです。


たとえばメールの確認が遅れて納品ミスが多発しているなら、1日3回のメールチェックをルール化する。営業時間の不足が問題なら、会議を短縮し報告書を簡略化して時間を生み出す。


課長の承認待ちがボトルネックなら、営業スタッフに10%の値引き権限を委譲する。いずれも、現場の実態を踏まえた具体的な対策だから効果が出るのです。


改善を進める際の個別面談では、まずできていることを認めたうえで、改善点については一緒に考えるというスタンスで臨みます。部下を「指導する・教える」のではなく、部下自身の中から答えを「引き出す」という姿勢が、大切なのです。


マネジャーは部下に対して「それぞれの時間」」を決める必要があります。メールは「1日3回チェックし、その場で返信」・・資料チェックは15分以内・・会議準備は50分以内・・報告書の作成は10分以内(p146)

部下に任せる技術

プレイングマネジャーとして自分も営業成績を求められながら、部下の課題まで自ら対応しようととすれば、時間はいくらあっても足りません。著者が勧めるのは、何かを頼まれたり問題が起きたときに、「これは本当に自分がやるべき仕事か?」と一度問い直すことです。


部下がやるべき仕事であれば、課長が答えを出してしまわず、部下の話をじっくり聞きながら、本人が自分の中で考えを整理し、解決の糸口を見つけられるよう導いていきます。部下は上司から頼られることで伸びるという視点が大切なのです。


任せる際には、期限・OKライン・NGライン・完成度・任せる範囲・相談のタイミングを事前に明確にしておくことで、リスクを早期に察知できます。


このように営業課長は、結果とチーム内の人間関係の両立が求められる厳しい仕事です。著者は「だからこそやりがいがある」と応援するのです。


そのまま営業研修の教材として使えそうなほど、充実した内容でした。菊原さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・マネジャーに求められるのは、正論を伝えることではなく・・・ワンクッション入れてからの指摘・・「オレもこのミスよくやったよ」「惜しかったな」「プレッシャーあったよな」(p298)


・マネジャーは、部下のやる気のありかを一緒に探してあげる・・・「今まで一番楽しかった仕事は?」「お客様から言われて一番嬉しかった言葉は?」・・・部下のスイッチを探り当てます(p176)


・マネジャーの役割は、クレームを「恐怖の対象」から「成長のために必要な要素」に変えてあげることです(p103)


・育成の三角形・・・褒めること・・任せること・・見守る(p245)


▼引用は、この本からです
「マネジャーの心得」菊原 智明
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菊原 智明 (著)、総合法令出版


【私の評価】★★★★☆(87点)


目次


第1章 マネジャーとしての土台をつくる「基本スタンスの心得」
第2章 マネジャーの「思考の心得」
第3章 マネジャーとして結果を出すための「時間と仕事の心得」
第4章 チーム力を上げる「コミュニケーションの心得」
第5章 部下を育てる「マネジングの心得」
第6章 チームを動かす「人間関係の心得」


著者経歴


菊原 智明(きくはら ともあき)・・・営業サポート・コンサルティング株式会社代表取締役、営業コンサルタント。群馬県生まれ。群馬大学機械科卒業後、トヨタホームに入社。その後7年間、苦しい営業スタッフ時代を過ごすが、お客様へのアプローチを訪問から営業レターに変えたことをきっかけに4年連続トップ営業となる。約600名のなかの営業トップとなり、社のMVPを獲得。2006年に独立し、営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。現在は、経営者や営業向けのセミナー、研修、コンサルティング業務を行い、これまで15000名以上を指導。


マネジャー(日本編)関連書籍


「マネジャーの心得」菊原 智明
「25年間「落ちこぼれチーム」を立て直し続けてわかったマネジャーとして一番大切なこと 」八木 昌実
「昭和型のマネジメントは本当にもう通用しないのか」田島 ヒロミ
「リーダーの仮面 ─「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法」安藤広大


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