【書評】「昭和型のマネジメントは本当にもう通用しないのか」田島 ヒロミ
2026/05/01公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(83点)
要約と感想レビュー
昭和の部下育成の特徴
昭和と令和の職場、それぞれのコミュニケーションを比較しながら、現代のマネジャーが実践できる部下育成のヒントをまとめた一冊です。
著者・田島ヒロミ氏は、1986年に生命保険会社へ入社し、40代で外資系生命保険会社へ転職、50代でコンサルティング会社へと渡り歩いてきました。昭和・平成・令和、日系・外資系という複数の職場環境での体験談が、本書に説得感をもたらしています。
昭和の部下育成の特徴は、「教えないこと」です。新人に過去の資料を渡して、「これを読んで、わからないところがあれば質問して」と放り出す。そんな場面が珍しくなかったという。「見て盗め」「自分で考えろ」という世界だったのです。
一方、昭和の職場には、濃い人間関係がありました。毎月の課内の飲み会は当たり前で、毎日全員でランチを食べる会社さえあったという。また、メールもチャットもない時代、他部署との交渉は電話で済ませず、出向いて対面で行うのが常識でした。
部下に考えさせる教育方法、人間関係と根回し重視のアプローチは、効率が悪そうですが、日本的な職場運営として機能していたのも事実なのでしょう。
昭和の課長のビジョン作成・・・課長からは常に「組織の「今」の課題は何か?」を聞かれていたため、現状を分析する能力は高まりました(p129)
令和の部下育成の特徴
令和の部下育成の特徴は、「仕組みで育てる」ことです。OJT制度やメンター制度があり、誰が・いつ・何をどう教えるのかが明文化されている会社が多いはず。
令和の職場では、飲み会は減り、代わりに定例の1on1ミーティングや課内会議がコミュニケーションの中心をとなっています。
職場の人員も多様化している場合が多く、中途採用、役職定年後の年上部下、総合職の女性、派遣社員、外国人など多様なメンバーがいることもあるでしょう。
こうした多様性は組織の強みとなる一方で、意識的に意思疎通の場を作ることが重要になります。著者の提案は、数ヶ月に一度、メンバー全員でランチに行くことです。飲み会でもなく、会議でもないゆるやかなイベントを設けるのです。
令和の時代ではコロナ禍の影響もあって、チーム内で飲みに行く機会はその後も減っている(p226)
令和のマネジャーの工夫事例
職場を活性化させるためには、部下が安心して発言できる空気を作る必要があります。
例えば、ある製薬会社では、会議で「反対意見を歓迎する空気」を作るために、若手メンバーに事前に依頼して、会議で上司の意見にあえて反対の意見を言ってもらうという。当然ながら部下からの提案や意見には、否定しないことが大切です。
別の企業では、会議のときに全員が発言するようにするために、定例会議の司会進行を持ち回りにしているという。司会を経験した部下は、その後の会議でも積極的に発言するようになる傾向があるのです。
また、部下をほめることの重要性も著者は強調しています。例えば、部下がミスを報告してきたら、すぐに報告したことはまずほめたうえで、その後にしっかり叱るのです。
某生命保険会社・・・ミーティングを・・・オフィス内のホワイトボードの前で立って行なう(p57)
令和の部下を動かす方法
トップダウンで「自分の指示どおりに動け」と押しつける昭和型のマネジメントは、今の時代は通用しにくいでしょう。著者はその代替として、部下一人ひとりの「やる気スイッチ」を個別に探すアプローチを提唱しています。
具体的には、これまでの仕事の中で最も感動した体験、あるいは子供の頃に夢中になったことを尋ねてみることです。部下の警戒心を解くために、マネジャー自ら先に自分の夢中体験を話すことが有効だと著者は言うのです。
強めに指導しただけでハラスメントと受け取られかねないだけに部下との付き合い方も、令和のマネジャーにとって大きな課題です。著者自身、外資系企業で「自分から部下を飲みに誘わないように」と言われていたという。
だから著者の知っているマネジャーは、自分が参加している異業種交流会勉強会に部下を誘い、そのまま二次会に連れていくという。いろいろ気を使う必要のある時代になってしまいましたね。
田島さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・良好事例・・・今のマネジャーは、「お客様はどんな様子だった?何か変わったことはあったか?」と聞いてくる・・・毎日マネジャーからお客様のことを聞かれるので・・・ちょっとした変化にも気づく・・・ニーズに合った商品を自然と提案できる(p109)
・「見守っているという意識で視線を部下に向ける」「どんなに忙しくても険しい顔をせず、笑顔でどっしり構える」・・これだけのことで、部下は上司へのコミュニケーションが劇的に取りやすくなります(p249)
・目標設定の際は、・・・「その仕事の目的は何だと思う?」「目標に到達したかどうかを測るモノサシとは何だろう?」といったように部下に問いかけながら理解を深めて、しっかり部下に与えられた目標を腹落ちさせてください(p101)
・上司の動かし方・・・上司が「目的志向型」か「リスク回避型」を見極める(p179)
▼引用は、この本からです

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田島 ヒロミ (著)、すばる舎
【私の評価】★★★★☆(83点)
目次
第1章 昭和と令和 部下との関わり方はどれだけ違うのか
第2章 昭和と令和 マネジメント方法はどれだけ変わったのか
第3章 昭和と令和 部下の目標設定と昇格、キャリア支援
第4章 昭和と令和 雇用形態の移り変わりと今後のビジョン
第5章 昭和と令和 自分自身の動き方
第6章 昭和と令和 上司のあるべき姿
著者経歴
田島ヒロミ(たじま ひろみ)・・・組織開発・人財育成コンサルタント。早稲田大学法学部を卒業後、生命保険会社に入社。40代半ばには外資系生命保険会社へマネジャーとして転職。50代で経営コンサルティング会社へ転職。現在は研修やコンサルティングを行っている。これまで100社以上に人材育成・組織開発の支援を行ってきた。
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