人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

【書評】「なぜあなたはマネジメントを間違えるのか? 会社の常識を打ち破るチェンジリーダーの教科書」岸良裕司

2026/02/25公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

「なぜあなたはマネジメントを間違えるのか? 会社の常識を打ち破るチェンジリーダーの教科書」岸良裕司


【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー


全体最適のマネジメント理論とは

外資系コンサル会社ゴールドラットジャパンの全体最適のマネジメント理論とその実例をまとめた一冊です。全体最適とは何かといえば、ボトルネックを改善して、全社として利益が増えたり、資金繰りがよくなるということです。


では、部分最適は何かといえば、各部門ががんばったように見えるのに、全社としては利益が増えていない状況です。


例えば、コストを安くするために海外に生産を移管するとしましょう。調達コストは一見安くなったように見えますが、発注から納入までのリードタイムが長くなり、在庫が増え、不具合の対応も遅い。結局、海外生産しても全体としては儲からないという事例が多いのです。


海外生産するとコストが安くなる・・・一方で、現実には海外で作ると必然的にリードタイムが長くなる・・欠品したくないので、リードタイム増加分だけ在庫が増える・・その在庫増加分だけ資金がいる(p160)

リードタイムを短くする

海外生産ではなく、リードタイムを短くすることに注力すると、どうなるのでしょうか。


オムロンのヘルスケア部門では、血圧計の製造リードタイム短縮に取り組み、発注から出荷まで13週間だったのを1週間にしたという。その結果、異次元の売上増加と家庭用血圧計で世界シェアNo1となったのです。


リードタイムが13分の1になるということは、顧客の要望にすぐに対応できるだけでなく工程間の仕掛品が13分の1、在庫が13分の1ということです。


もちろんリードタイムを短くすると、納期管理が厳しくなるため、納期までの時間を3分割して、最初はグリーンだが、3分の1を越したらイエロー、3分の2になったらレッド、納期が過ぎたらブラックと見える化して対応しているという。


オムロンヘルスケアでは、500点ほどの部材が必要な血圧計において、滞留時間の短縮によるリードタイム短縮に取り組み、13週間かかっていたリードタイムを1週間にし、「異次元の成長」と呼ばれる業績を実現した事例が公開されている(p119)

ボトルネックに集中する

このように製造部門のリードタイムを短縮することは非常に重要なのですが、実は、日本の製造業では、工場のカイゼンはやりつくしており、生産部門がボトルネックとなっていることは極めて少ないという。


例えば ある住宅販売会社では、設計部門がボトルネックになっていたという。つまり、設計部門の人は、午前中は仕様変更対応をして、午後は営業と受注活動して、クライアントへの提案を作成する時間が足りず、良い提案ができていなかったのです。


そこで、設計部門だけ2時間早く7時に出勤し、その2時間は「集中タイム」として、クライアントへの提案を作成することにしたという。その結果、全国最下位の営業所が全国トップになったというのです。


設計がボトルネック・・・午前中はクライアントからの仕様変更対応・・午後は営業と客先同行して受注活動に忙殺され、クライアントに対する提案を作成しようと思った時には、定時を迎える状態で残業が常態化していた(p45)

全体最適プロジェクトマネジメント

全体最適はプロジェクトマネジメントにも、応用できます。


全体最適プロジェクトマネジメントでは、最初に目的・成果物・成功基準をメンバーで議論します。目標は自分で考えるからやる気になるのです。そして、個々のタスクに潜むサバを見える化します。そして、サバを集めて1つの安全余裕として工程の最後に置きます。サバを集めて、みんなのサバにするのです。


そして、プロジェクト実施中は、「助けてボード」で問題を拾い、「つながりフローボード」で仕事の見える化を行います。


「助けてボード」では、管理職が部下の問題を「問題があるとしたら何ですか?」「何か助けられることはありますか?」と質問して拾い上げます。拾われた問題は、「助けてボード」の管理職の顔写真の横にあるボックス「未着手」「お助け中」「完了」に貼られます。問題が見える化されるのです。


また、「つながりフローボード」では、それぞれのメンバーが抱えるタスクを付箋に書いて貼ります。タスクの優先順位の判断基準が明確化され、万全の準備で着手が徹底され、全体の仕事の見える化ができるのです。


実際にパナソニックオートモーティブシステムズ社が、総工数1万人月を超えるソフトウェア開発プロジェクトで「つながりフローボード」を導入した結果、前機種に比べて3倍のペースで品質が安定し、離職率も1%台まで減ったという。


全体最適プロジェクトマネジメント・・・目標は自分で考えるからやる気になる・・・「目的は何ですか?」「成果物は何ですか?」「成功基準は何ですか?」(p205)

全体最適のノウハウ

そういえば、私は会社に入ってからずっと全体最適とは何かを考え続けてきました。


お金をかけても設備の停止期間を短くしたほうが、会社としては利益が増えるのではないか。それぞれの部門が余裕を取って、批判されないためだけに長めに計画した工期を短くできないのか。


その答えがこの本に書いてあるのです。悩んでいる方は読んでみてはどうでしょうか。岸良さん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言


・全体として在庫は十分にある。なのに個々の店舗では欠品が起きるのはなぜだろうか?・・・「ばらつき」の大きい店舗に在庫を押し込むから、ある店舗では欠品、ある店舗では過剰在庫という状況が起きるのだ(p140)


・アパレル会社のアイジーエー・・多店舗、多業態、多品種、高頻度投入というアパレル業態で、70店舗で10万近いSKUを運用するためにAIアプリOnebeatを運用。わずか6ヶ月で月500万円売り上げをアップ、粗利増加275万円・・かかった投資は、・・月80万円(p148)


・DBR(ドラムバッファロープ)・・生産のボトルネックを特定する。そこを「ドラム」として・・ボトルネック工程が止まらないように仕掛品の「バッファ」を置いておく。そして、ボトルネックから逆算して投入タイミングを決める「ロープ」で、早すぎる投入で滞留時間を増やさないようにする(p113)


・配賦を一切しない、すなわち固定費は業務費用として別途管理するとなれば、計算は極めてシンプルになる。売値から変動費を差し引いたお金をスループットと呼び、より多くのお金を儲けるための尺度にすればいい(p92)


▼引用は、この本からです
「なぜあなたはマネジメントを間違えるのか? 会社の常識を打ち破るチェンジリーダーの教科書」岸良裕司
Amazon.co.jpで詳細を見る
岸良裕司(著)、KADOKAWA


【私の評価】★★★★☆(89点)


目次


Capter1「みんなが頑張れば成果が出る」の間違い―全体最適のマネジメント理論TOC
Capter2「コストダウンすると利益が増える」の間違い―全体最適の意思決定会計理論TA
Capter3「効率を上げると利益が増える」の間違い―全体最適の生産マネジメント理論DBR
Capter4「需要予測は当てられる」の間違い―全体最適のサプライチェーンマネジメントDBM
Capter5「進捗管理すると納期が守れる」の間違い―全体最適のプロジェクトマネジメントCCPM
Capter6問題解決にまつわる間違い――全体最適の問題解決TP
Capter7提案にまつわる間違い――Win-Winの提案URO
Capter8さらばアイデアつぶしする経営幹部――限界突破のイノベーションE4V
Capter9評価制度にまつわる間違い――変えられる未来に集中する人材育成成長


著者経歴


岸良裕司(きしら ゆうじ)・・・ゴールドラットジャパンCEO。全体最適のマネジメント理論(Theory of Constraint:制約理論)を産業界、行政改革で実践。。2008年、ゴールドラット博士に請われゴールドラット・コンサルティンググローバルパートナー就任、日本代表。東京大学ものづくり経営研究センター非常勤講師。


この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


ブログランキングにほんブログ村



<< 前の記事 |

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: