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「脱常識の儲かる仕組み:チェンジ・ザ・ルール!」岸良裕司

2024/02/02公開 更新
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「脱常識の儲かる仕組み:チェンジ・ザ・ルール!」岸良裕司


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

つくりすぎは、あの世行き

脱常識の儲かる仕組みとは何か?と思いながら読んでいくと、在庫についてのお話でした。在庫でよくある失敗パターンは、購入単価を下げるために大量購入・大量製造してしまうことでしょう。すべて売れればコストダウンとなりますが、実際には売れ残ることが多いのです。なぜなら、予測は外れるからです。


余剰在庫があると、価格を下げてでも売り切ろうとするため、値崩れを引き起こし、利益を減らすだけでなくブランドイメージを低下させてしまう可能性もあるのです。今はネット時代ですから、どこかが値下げすれば、すべての店が一斉に値引きします。「つくりすぎは、あの世行き」なのです。


「大量購入すれば、安くなる」・・「効率を上げれば、利益が増える」・・・「よかれ」と思い、とられた行動の数々が思ったようにうまくいかない(p14)

在庫を減らす方法

解決策としては、補充期間を短くすることで在庫を減らすことができます。コンビニでは1日数回の配送で、数時間で補充することで在庫を減らし、欠品も減らしているのです。


在庫最適化の方法としては、ダイナミック・バッファー・マネジメントという考え方があります。在庫の量を需要により変化させるのです。在庫がすぐに減るので増やすのは当たり前のように思えますがが、在庫が減らないのでさらに減らすのです。これが在庫の最適化なのです。


また、在庫関係の指標としてスループット・ダラー・デイズがあります。これは商品の売値と仕入れの差(スループット:限界利益)に欠品だった日数を掛け合わせたもので、欠品による機会損失を数値化したものとなります。


企業はこうした在庫削減、欠品削減の努力を続けているはずなのですが、現実には欠品はなくならないし、完成品在庫や客先在庫が山積みという会社が多いのだという。不思議ですね。


生産現場では数分、数秒、いやコンマ数秒という単位でリードタイムを短縮している一方で、市場には数カ月分の在庫がある(p61)

在庫の最適化が利益を生む

元々全体最適のTOC(制約理論)はトヨタ生産方式を参考にしていますので、リーン生産方式のように少ない在庫でいかに流れをよくするのかについて理論化したものなのです。そして著者の所属するゴールドラットJapanは成果報酬でコンサルティングを行っている外資系コンサルですので、在庫の最適化こそがコンサル先に明らかな利益を生むことができ、まだまだ儲かる分野なのでしょう。


途中でプロジェクトマネジメントのコラムが突然出てきてびっくりしましたが、次に儲かっているのがプロジェクトマネジメントのコンサルなのかもしれません。岸良さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・生産リードタイム(仕掛在庫、部材在庫)と在庫(客先在庫、完成品在庫)を比較すると、どちらが効果は大きいだろうか(p59)


・評価尺度。それは、部分最適を加速しますか?全体最適を加速しますか?(p123)


▼引用は、この本からです
「脱常識の儲かる仕組み:チェンジ・ザ・ルール!」岸良裕司
岸良裕司、Goldratt Japan


【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

第1章 「コストダウンすれば、利益が増える」という思い込み
第2章 「現場を効率化すれば儲かる」という思い込み
第3章 「お客様はコストダウンを求めている」という思い込み
第4章 全体最適へのパラダイムシフト



著者経歴

岸良裕司(きしら ゆうじ)・・・・Goldratt Japan CEO。1959年生まれ。東京外国語大学卒業後、京セラ(株)に入社。半導体部品事業本部、半導体部品営業統括部にて主にマーケティングの強化に尽力。全体最適のマネジメントであるTOC(Theory Of Constraint:制約理論) をあらゆる産業や行政で実践。活動成果の1つとして発表された「三方良しの公共事業」は世界的ベストセラー「ザ・ゴール」著者、E.ゴールドラット博士の絶賛を浴びる。2008年4月、ゴールドラット博士に請われて、ゴールドラット・コンサルティングに入職し、日本代表となる。TOCの基本がわかる!金の知恵入門(YouTube)配信中。


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