「クラクションを鳴らせ!変わらない中古車業界への提言」中野 優作
2024/02/01公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(98点)
要約と感想レビュー
ビッグモーターでトップ営業となる
噂のビッグモーターの現場について、YouTubeで解説している面白い人がいると知って、手にした一冊です。著者は中卒でビッグモーターに入社し、トップ営業を続け、関西エリア部長にまで出世しています。
営業マンとしては、ボイスレコーダーに自分の商談を録音して毎日聞き、商談を振り返って復習していたという。著者の商談のコツは、6段階になっています。1初対面、2アイスブレイクして、3顧客の情報収集して、4自社を差別化し、5車種選定して、6クロージングです。それぞれの段階について、自社の商品のメリットとデメリットを必ず伝えるなど解説がされており、そのまま最高レベルのマニュアルとなっています。
著者が意識しているのは、車を売るのではなく、車を使った生活をイメージさせることです。例えば介護の必要な叔母がいるのなら車いす仕様車を勧めた事例。それ以外にも、子どもが生まれたばかりなら今はコンパクトカーで我慢して、子供が中学校に入った頃にミニバンを買うといった提案をしているのです。
僕がおすすめするのは、自信家のモノマネだ(p62)
中古車販売の闇
さらに面白いのは、中古車販売の競争現場の実態でしょう。著者が現場にいたときは、オイル交換永年無料、車検付きパック、返品保証など、一見お得に見えるサービスでユーザーを集めていたという。そして、先輩からは「買うまで帰らせるな」と教えられたというのです。
また、ネット販売が立ち上がった頃は、車両の本体価格を徹底的に安くして、実際に来店した客には高額なオプションや保証をセットにしないと売らない「抱き合わせ販売」をする店が多かったという。要は来店させればこっちのもの、という感じでしょうか。
さすがに著者がいたときには、車両を自ら傷つけたり、植樹を枯らしたり、詐欺まがいのクレジット販売はなかったということなので、兼重社長の息子がビッグモーターの経営を主導するようになってから起きたようです。
本体価格を安くして薄利多売・・オプションや保険収益、クレジットの手数料が転がり込み始めた・・オプションで稼ぐビジネスモデル(p199)
覚悟がなければ人は動かない
営業の本で泣いたのは、はじめてでした。何が違うと言えば、著者の「覚悟」なのでしょう。中卒でバカにされながら、売上として圧倒的な数字を出すのだという覚悟。ビッグモーターが買収した中古車販売会社ハナテンに一人乗り込み、1年で再建し、会社を去ろうと決意した覚悟。リーダーの覚悟がなければ、人は動かないのです。
現在は、情報の透明性を高めた中古車販売を目指して活動しているという。こういう人から中古車を買いたくなるし、それを目指しているのだと思いました。営業ノウハウ、ビッグモーターの内情、中古車販売の実態など三度楽しめる一冊でした。★5とします。中野さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・在庫を持たない・・お客様の希望の車を勝手に仕入れてきてしまう・・(p90)
・「関西エリア部長」に異動・・ハナテン社員から見れば「代表取締役」・・この会社の再建にすべてを捧げようと思い、妻にも1年間はまともに家に帰れないと伝えた(p226)
・何故1年間で辞めようと思ったか?・・兼重社長のご子息のCさんだ・・非常にドライで、現場から叩き上げの自分とは、全く反りが合わなかった(p228)
【私の評価】★★★★★(98点)
目次
1 営業活動
2 店舗マネジメント
3 ビッグモーターの崩壊と流通革命
著者経歴
中野 優作(なかの ゆうさく)・・・1982年香川県生まれ。16歳で高校を中退し土木作業員へ。2008年10月ビッグモーターに入社。2017年5月に退職し、同月、BUDDICAを設立。2018年4月に法人化し代表取締役に就任。2021年度「販売台数ナンバー1」(全国会員7万社中)に。四国における販売台数において、2021年度 NO1。香川の3店舗に加え、兵庫県、岡山県、千葉県、福岡県に出店中。9月には初のフランチャイズ3店舗オープン予定。
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