「最短で達成する全体最適のプロジェクトマネジメント」岸良 裕司
2012/09/24公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(94点)
要約と感想レビュー
世の中には数多くのプロジェクトマネジメント本がありますが、最も実践的な一冊でした。なぜならベテラン親方のやり方を集大成した内容だからです。最初は目的の共有から入ります。そのために関係者に集まってもらって、「目的はなんですか?」と質問します。そして、「この成功基準はなんですか?」と具体的なゴールを設定し、共有するのです。
次は、工程表の作成です。ここもできるだけ参加者全員で、プロジェクトの最後からさかのぼって工程表を作成します。全員参加することで、事前にどのような段取り、準備が必要なのか、ベテランのノウハウを出すことができるのです。そして、工程表について全員で懸念事項を出してもらい、その対応策を事前に準備しておくのです。チーム全員の知恵を集めることが成功への必須条件なのでしょう。
・工程表ができあがったら、・・・懸念事項をプロジェクトメンバーから聞くことだ。「何か気がかりなことはありませんか」「なぜそう思いますか」「この原因を解消するうまい方法はありませんか?」(p150)
工程表が完成したら、サバ(余裕)取りです。不確実な仕事ほど、遅れないように余裕(サバ)が入っています。サバを入れて100%遅れないようにして、責任を回避したいのが人間の性(サガ)なのです。そこでその期間を、確率50%でできそうなチャレンジ納期と余裕(サバ)に分割します。そして、「お前、チャレンジで頑張ってみねえか」と親方は語りかけるのです。これができるのは、プロジェクトマネジャーである親方だけなのです。
・念のために余裕(サバ)をよんでおこう・・・要するに、責任感があるから、相手をがっかりさせたくないからサバをよむのだ(p24)
こうして各担当者から余裕(サバ)を取って、すべての余裕の合計は親方が管理します。そして親方はプロジェクトの進捗状況を、「あと何日かかる?」「問題があるとしたら何?」と全体の余裕(サバ)を管理していくのです。
・作業担当者に「あと何日?」と質問する・・・みんなが日常意識するのは、98%とか99%の進捗率の話ではなく、「あと一日しかない!」である(p180)
形式的なプロジェクトマネジメントではなく、実践的な親方マネジメント。素晴らしく実践的です。ただ、会社でやると素晴らしすぎて異端となってしまうかもしれません。時間をかけて根気を持って、じっくり取り組みたいものです。
岸良さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・重複をなくし、マルチタスクをなくす(p122)
・ギリギリに詰められた期間の中でもしも問題が発覚したとすると、現場は「これは危ない」とすぐにプロジェクトマネジャーに報告・相談するようになる・・・(p127)
・「問題があるとしたらなんですか?」と質問する・・・問題が出てきたら、次の質問をプロジェクトマネジャーはする。「何か助けられることはないですか?」(p189)
・遅れが起こることはバッファマネジメントで見える化する・・・その理由を記録しておく・・・上手な質問の仕方は、次の質問である。「何を待っていましたか?」(p195)
▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★★★(94点)
目次
1 プロジェクトは人が行なうもの―人のサガ
2 マルチタスクをなくせ!―選択と集中
3 目標を共有せよ!―目標すり合わせ
4 成功へのシナリオをつくる!―段取り八分
5 工期短縮!―サバ取り
6 全体最適の先手管理!―ゆとりのマネジメント
著者経歴
岸良 裕司(きしら ゆうじ)・・・ゴールドラット・コンサルティング・ディレクター。日本TOC推進協議会理事。1959年生まれ。大学卒業後、京セラに入社。半導体の営業に取り組む。2003年、土木積算ソフトでトップシェアの(株)ビーイングヘッドハンティングされる。
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