「リーダーの仮面 ─「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法」安藤広大
2023/08/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(87点)
要約と感想レビュー
「ルール」を決めるのがリーダーの役割
「識学」とは何?ということで、手にした一冊です。「識学」が管理職に求めることは、「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」だという。つまり、「ルール」を決めるのが、リーダーの役割ということです。そして、リーダーは一歩高い「位置」でやるべきことを決めて部下に指示します。誰が何をいつまでにやるかを明確にし、それをチェックし、評価するのがリーダーの立ち「位置」なのです。
また、リーダーはメンバー各自の仕事の「結果」が全体として会社の「利益」を作っていることを理解してもらい、部下が切磋琢磨して「成長」していく環境を作るのが仕事です。「識学」とは企業のピラミッド組織を前提とし、決定する人が明確で、責任の所在がハッキリしており、リーダーとメンバーに「いい緊張感」が生まれ、メンバーが自ら成長していく組織を目指していることがわかりました。
誰が何をいつまでにやるかを明確にする(p86)
上司に反発する人は、辞めてもらって問題ない
確かに最近コーチングを学ぶ人も増えてきたと思いますが、コーチングが適用できるのは、あくまで組織がしっかりしていることが前提でしょう。例えば、一部の社員が悪意を持って「なぜ、これをやらないといけないのでしょうか」「そのルールの必要性がわかりません」などと反発するようでは組織はまとまりません。
もちろんリーダーとして仕事の目的、重要性、内容、期限、達成基準などを説明する必要はあるでしょう。そのうえで、「この仕事はAさんに任せたので、週1回進捗を報告してください」と指示するのです。
しかし悪意を持って、しつこく質問してくる人に対しては、「まずは一度、やってみてください。」「それはあなたが判断することではなく、責任者である私が決めることです」と答えるように推奨しています。パワハラ問題や組織のフラット化によって、悪意を持った社員の存在に苦しんでいる組織が多いということなのでしょう。上司に反発する人は、その組織には合わない人であり、辞めてもらって問題ないということなのです。
社長がとるべき態度は、毅然と「嫌なら辞めてもらっても構わない。ただし残るのであれば、私の決めたルールには従ってもらう」(p138)
プロセスを評価するのではなく、結果を見る
プロセスを評価するのではなく、結果だけを見るというこの本の目指すリーダーに似ている人として、仙台育英学園の野球部監督の須江航さんが頭に浮かびました。須江監督のインタビューを聞いていると、人間的な成長や精神的なことを大切にしていることがわかりますが、その一方でデータを取り、すべての選手に平等にチャンスを与え、競争させているのです。
打者なら一定の打席数の出塁率などのデータと、走力、スイングスピードなどの基礎力を測定してレギュラーになるためには、ここを強化しなくてはいけない、という指針を選手たちに情報提供しているのです。可能な限り根性や精神性を廃して、成果につながる努力を求めるのがリーダーとしての役目ということです。
当たり前のような内容ですが、今の時代は当たり前のことが求められているようです。安藤さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・プロセス重視の弊害として有名なのが、「残業アピール」です(p205)
・できなかったとき・・「未達ですね。次からはどうしますか?」(p144)
・「仕事ができる人」というのは「評価者が求める成果を出せる人」です(p197)
・お客さんが待っていたら、「用件は伺っておりますか?」と聞くこともルールにしています(p77)
・「あたりまえ」の基準を設定し、それを大きく超えたときだけ褒める(p212)
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
はじめに なぜ、「リーダーの言動」が大事なのか?
序章 リーダーの仮面をかぶるための準備―「鎖覚」の話
第1章 安心して信号を渡らせよ―「ルール」の思考法
第2章 部下とは迷わず距離をとれ―「位置」の思考法
第3章 大きなマンモスを狩りに行かせる―「利益」の思考法
第4章 褒められて伸びるタイプを生み出すな―「結果」の思考法
第5章 先頭の鳥が群れを引っ張っていく―「成長」の思考法
終章 リーダーの素顔
著者経歴
安藤広大(あんどう こうだい)・・・株式会社識学 代表取締役社長。1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社を経て、ジェイコム株式会社(現:ライク株式会社)にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。2015年、株式会社識学を設立。
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