「定年後の楽園の見つけ方―海外移住成功のヒント」太田尚樹
2023/08/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(83点)
要約と感想レビュー
年をとると子供の頃に戻っていく
フィリピンのボホール島・ダバオ・マニラ、マレーシアのペナン、地中海に移住した人たちへのインタビューをまとめた一冊です。半分以上がフィリピンへ移住した人の紹介で、大手の企業を定年退職した人から、暴力団がらみで日本に帰国できない人まで、上流から下流までカバーしているのがおもしろい。
人は年をとり、会社を離れると、それまで縛られていた社会常識から開放され、子供の頃のように素の自分に戻っていくようです。この本では、17歳の花嫁をもらった67歳の日本人移住者を紹介しています。伴侶がいない日本人は、一緒にいる人を求めるし、貧しいフィリピン人は豊かな日本人を求めるところがあるのでしょう。
最低限必要なのは3Kだ。健康とカネ、そしてカミさん(p184)
自分が何を求めているのかが大事
特に独身の日本人は外国の女性と結婚する人もいるでしょう。特にフィリピンは貧しいので、お金を持っている日本人と結婚して、親族を食わしていこうという考えの人が多いというのは事実のようです。もちろんフィリピンの女性が明るく献身的であることもあると思いますので、自分で判断されるべきことだと思います。
一方、夫婦で移住した人たちは二人の価値観の調整が必要になっていることがわかります。何を楽しみに暮らすのか。死んだらお墓はどうするのか。ある程度の合意がないと、移住の決断は難しいということです。自分が何を求めているのかが大事であり、スポーツが好きな人なら安くゴルフができる場所、歴史や文化など知的なことが好きなら美術館が充実しているスペインなどと選択肢となるのでしょう。
最初の結婚は判断力の欠如、離婚は忍耐力の欠如、再婚は記憶力の欠如(p67)
物価が安く、安全で、気候が良いところ
生活費が驚くほど安くてすむ東南アジアに、移住する人が多いようです。物価が安く、安全なところが選択肢となるのでしょう。また、・シシリー島やナポリ、カンヌ、スペインの地中海沿岸地中海に移住する人たちは気候の良さに惹かれて移住しているという。
為替レートの変動で現地の物価も相対的に変わりますので、移住については不動産を購入するかしないか、日本の資産を処分するかしないかなど含めて、長期的な視点で判断すべきなのでしょう。太田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・ネグロス島のバコロドに夫婦で住んでいる知り合いの日本人は、電気・水道・住込みのメイド、電話代、車の維持費も含めて、生活費は5万円(p22)
・彼らは日本にいたときより、読書量が何倍にも増えたと異口同音にいう(p161)
・老いたから遊びをやめるのではない。遊びをやめるから老いるのだ(バーナード・ショウ)(p29)
【私の評価】★★★★☆(83点)
目次
序章 終の棲家を求めて
第1章 花嫁は17歳
第2章 帰れない男
第3章 歴史マニアと若い妻
第4章 海辺の元大学教授夫妻
第5章 地中海は楽園か
第6章 成功する人、しない人
著者経歴
太田 尚樹(おおた なおき)・・・ 1941(昭和16)年、東京生まれ。東海大学名誉教授。専門はスペインの農業経済史。近年は戦史を含めた昭和史関連の著書多数。
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