【書評】「定年後の壁 稼げる60代になる考え方」江上 剛
2025/11/21公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
退職金をもらってからも働く
著者は60歳で退職金をもらってからも働くことを推奨しています。なぜなら、仕事をしていないと人とのつながりがなくなり、暇になるからです。
ただし60歳以降に、別の会社に就職したり、起業するのは非常にハードルが高い。そうした中、著者の友人の中には、学校の用務員をしたり、マンションの管理人をしている人がいるという。会社員時代、偉い役職だった人でも、安い給料の仕事であっても、楽しくイキイキと仕事をしているというのです。
つまり、どんな仕事でもやりがいがあるかどうかは、その仕事に対する考え方、取り組み方次第で変わるというのです。
日本の高齢者が働くのは国民性だと思う・・・アーリーリタイアしたいと思うより、働くことに価値を見出す国民性なのではないか(p58)
退職金をもらったらどうするか
定年後、継続雇用を選択すれば、ある程度の収入の見込みがわかるので、これから先、何年生きるか、年間いくらお金を使うのか計画すれば、いくら稼げばよいのかが見えてきます。そして、退職金をもらった60歳からは、出世の見込みはないのですから、自分の楽しみ優先して、わがままに仕事をすればいいと著者は主張するのです。
定年後にもらった退職金については、投資したくなる人が多いと思いますが、著者は元銀行マンですので、退職金をもらったら、損をするのが嫌なら投資はやめなさいと忠告しています。銀行マンが考えるのは、退職金を投資信託などに投資させて手数料をゲットすることだけだと知っているからです。
仮に投資をする場合にも預金、株、不動産などと3分の1ずつに分散することや、長期投資の視点など自分で勉強して、市場の変動に右往左往しない方針がなければならないのです。
退職後は、経営的に安定した会社の株式配当を楽しみにしつつ、長期に保有するのがいいのではないだろうか。株価の変動に一喜一憂するのは、老後には忙しすぎる(p86)
フリーランスは何でもやる
仮に60歳を過ぎて、独立しようというのであれば、頑張るしかありません。著者は小説家、フリーランスなので、安定した収入が保障されていません。だから著者は、「再雇用されるなんて羨ましい!」と会社員継続を推奨しているのです。
それでも、60歳過ぎて手に職がない人が新しい仕事を見つけるためには、人脈にすがるしかありません。著者は名刺を整理して、1枚か2枚、懐かしくて会ってみたいという人に連絡を取ることを提案しています。「素のままのあなた」を認めてくれる友人が1人か2人いるはずです。
そして、友人から仕事の話があれば、とりあえずやってみる。著者も作家になったときは、話があればなんでもやったというのです。
ともかく動くことだ。60歳を過ぎたら、今まで以上に動くことだ。遊びでも何でもいいじゃないか・・・動けば、世界が広がり、友人も趣味もできる(p186)
作家のルーティン
著者のフリーランスとしての作家のルーティンは、毎朝4時に起床します。朝食まで仕事の時間ですが、途中の6時25分からNHKのテレビ体操を行い、柔軟体操とスクワット、腕立て伏せ。朝食後にもジョギング。
その後は、昼と夜に合計8時間になるように仕事をするという。とにかく8時間、机に向かうことを自分に課しているという。早朝のランニングと朝の時間の活用は、村上春樹と同じだと思いました。
江上さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・日本は超高齢社会に突入した。高齢者が社会の中心になるのだ。邪魔者にせず、働き手としてもっともっと活用していかざるをえない(p26)
・これからはますますインフレの時代になる(p78)
・不幸の種・・それらを不幸とみるのではなく、諦めでも構わない、「これも人生だ」と受け入れ、歩みを止めないことが、幸せな定年後だというべきだ(p63)
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江上 剛 (著)、PHP研究所
【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
第1章 60歳からは自分の楽しみのために働け
第2章 世間と関われば、自然にお金は得られる
第3章 今のうちに「好きなこと」に投資しなさい
第4章 シニア起業は「正直」を貫け
第5章 利害関係でなく個人の魅力で人とつながる
第6章 家族には愚痴ではなく仕事を語れ
第7章 人と分かち合えば健康になれる
著者経歴
江上 剛(えがみ ごう)・・・1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1977年、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。人事、広報等を経て、築地支店長時代の2002年に『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。2003年、49歳で同行を退職し、執筆生活に入る。その後、日本振興銀行の社長就任、破綻処理など波瀾万丈な50代を過ごす。
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