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「怪物商人 大倉喜八郎伝」江上 剛

2018/10/26公開 更新
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怪物商人 (PHP文芸文庫)


【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

明治維新で武器商人となる

江戸末期、大倉喜八郎は新潟から東京に出て商売をはじめました。新潟で何もしないで威張っている武士に不満を持ち、武士を超えて、商売で成功しようと東京に出たのです。


明治維新という激動の中で、これから戦争になるという確信のもとに武器商人となります。大倉喜八郎の武器商人としてのエピソードとしては、旧幕府軍から連行され、「なぜ旧幕府軍に武器を売らないのか、売らなければ殺す」と脅されたときに、「前に売った武器の支払いがない。払ってもらえれば売る」と主張し、その危機を逃れたという。


・俺には、進むべき道が、間違いなく見えている。俺は、時代に食らいつき、食い破り、日本一の商人になる。きっとなってやる。(p27)


大阪紡績会社、東京瓦斯会社を設立

明治政府が岩倉使節団を欧米に派遣したとき、大倉喜八郎はなんと自費で使節団を追うように欧米を旅行しています。その資金は四万円。銀座の土地が一坪五円で、八千坪が買える金額だったという。大倉喜八郎は全財産をかけて欧米を自分の目で見て、時代の流れをつかもうとしたのです。また、岩倉使節団とも親交を持とうと考えていたと思われます。


その後、渋沢栄一とともに大阪紡績会社、東京瓦斯会社を設立しています。電話会社まで作ろうとしたという。軍服製造を目的とした千住製絨所の原料となる羊毛の輸入も引き受け、その販売も担ったという。その後、大倉財閥は、大成建設、大日本麦酒(戦後サッポロビールとアサヒビールに分割)、日清オイリオグループ、日清紡グループ、ホテルオークラなどとして現在まで続いているのです。


・アジアの国を商売で豊かにしていく。そして、日本と協力して西欧と伍して、さらに大きな商売をする。それが俺の夢だ(p224)


時代の流れをつかみ、思い切って投資する姿に明治人の心意気を感じました。江上さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・喜七の生まれたお祝いに銀座中、いや日本中を明るくしてやろうと思って企画したんだ。さあ、喜七にとくとアーク灯を見せてやってくれ(p209)


・欧米人は契約の際、「これで契約しますが、あなたには儲けがありますか」と念を押してくる。こちらが「結構です。これで多少とも儲けがあります」と応えると、「それは結構なことです」と、そこで初めて握手となる(p314)


・『疑事無功、疑行無名』・・趙の武霊王が、国内の改革を進めようとする時に、家臣が何事も自信を持って行わねば、功も名誉も得られないと進言したという故事なんだが、とにかく私も喜八郎さんも自信を持って、迷わず、自分の道を進もうではないか(p74)


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【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

進むべき道
乾物屋から鉄砲屋へ
商人は商売が命
義を見てせざるは、勇なきなり
天はみずから助くるものを助く
ロンドンで恩を売る
時代の風を受ける人
運命の出会い
自分の意志が道を拓く
独立運動を援助する
戦争で儲ける男
軍人の役割、商人の役割
支援に自分の名は出さず
男子の本懐
捨て石となっても



著者経歴

江上剛(えがみ ごう)・・・1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。77年、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。人事、広報等を経て、築地支店長時代の2002年に『非情銀行』で作家デビュー。03年に同行を退職し、執筆生活に入る


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