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いつものボヤキ「イチローの功と罪」野村 克也

2019/12/27公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

イチローがアマ指導者資格回復研修を受けている、というニュースを見て手にした一冊です。


野村監督もイチローを一流の選手として認めているようです。例えば、外野手はヒマなので、素振りの構えをしてイメージバッティングをしている選手が多かったのですが、イチローは、いつも送球するモーションを繰り返し、いつ飛んできてもいいように準備していたというのです。だから、野村監督はイチローはどんな野球哲学を持っているのか聞いてみたいというのです。野村監督には、「打撃とは」「外野手とは」「盗塁とは」「仕事とは」「人生とは」という考えを持っています。イチローも持っているはずだからです。


イチローがアマ指導者資格回復研修を受けているのは、プロアマ協定によりプロ野球選手が高校生を指導することは禁止されており、指導するためには研修を受けなくてはならないという。なんとも日本的なルールですが、イチローも野村監督もこのルールには不条理を感じているという。不条理とはいえルールはルール。イチローも問題意識を持ちながら研修を受けたのでしょう。


・イチローの指摘どおり、高校生を直接指導することはプロアマ協定で禁じられていた・・私もこんなおかしな制度はないと、憤慨していたものだ・・イチローがそういった問題を気にしてくれるなら、実際に動いて、問題を解決してもらいたいものだ(p104)


イチローは野村監督と同じように考えて野球をやるタイプのようですが、野球観は正反対です。イチローは個人記録アップのためにヒットを増産することだけ考え、四球を狙える状況でも、ヒットを狙ってボールぎみの球も打っていくのだという。つまり、野村監督から見るとイチローは、手柄を人に譲るというより"俺が俺が"といううに見えるという。


野村監督に言わせればイチローくらいになったらチームの勝利のためにヒット増産だけを狙うのではなく、四球を狙う、走者を進めるなどチームプレーに徹してもらいたいということなのでしょう。イチローにすれば個人として結果を残さないと、チームに評価されないという現実があるじゃないですか・・ということなのでしょうか。


・イチローと違って謙虚な松井は、監督ができると思う。性格は正反対といっていい。リーダーとしての器の大きさがある。ところが2012年に現役引退してから早くも7年目。一向にユニフォームを着る気配はない。そもそも高橋由伸が巨人の監督になったのは、松井が断ったからといわれている(p116)


面白いのは、野村克也さんのボヤキと一緒にプロ野球の裏話が聞けることでしょう。へー、高橋由伸が巨人の監督になったのは 松井秀喜が監督を断ったからなんだ、という感じです。


松井やイチローがユニホームを着れば盛り上がるのですから、ツベコベ言わないで、野球界のために監督をやってもらいたいといのが野村監督の考え方です。プロ野球は人気商売なのだから、自分の意向より、ファンや野球界のことを考えてほしいということなのでしょう。


ただテレビでナイターを見るより、野村監督の本を読んだほうが私には面白く感じるようです。野村さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・私は「野球選手は引退してからの人生のほうが長い」とミーティングで指導してきた。やはり野球バカでは恥ずかしい。だから本を読んで、自分を磨いた(p128)


・阪神には悪い伝統があり、タニマチが選手を連れ回す。マスコミもチヤホヤしてスター扱いするため、選手が勘違いしてしまう(p61)


・南海をクビになり、1978年にロッテへ移籍・・ロッテの監督は400勝投手だった金田正一さん。星野仙一もそうだったが、投手出身の監督らしく「気合だ!根性だ!」しかない。こんな監督と私の野球観が合うわけがなく、ほとんど使ってもらえなかった(p87)



野村 克也、宝島社


【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

第1章 イチローの電撃引退に思うこと
第2章 イチローがプロ野球に与えた功と罪
第3章 イチローの引退会見を検証する
第4章 イチローは今後どうすべきか
第5章 イチローと対戦した日本シリーズ
第6章 選手が引退を決断する時
第7章 記憶に残る日本人メジャーリーガーたち



著者経歴

野村克也(のむら かつや)・・・1935年、京都府生まれ。54年に京都府立峰山高校を卒業後、南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)へテスト生として入団。3年目に正捕手に定着し、4年目に初めて本塁打王のタイトルを獲得。65年に戦後初の三冠王になったのをはじめ、MVP5回、首位打者1回、本塁打王9回、打点王7回、ベストナイン19回、ダイヤモンドグラブ賞1回などタイトルを多数獲得。70年からは選手兼任監督となる。その後、「生涯一捕手」を宣言し、ロッテオリオンズ、西武ライオンズに移籍。80年に45歳で現役を引退、解説者となる。89年に野球殿堂入り。90年にヤクルトスワローズの監督に就任し、4度のリーグ優勝、3度の日本一に導く。99年から3年間、阪神タイガースの監督、2002年から社会人野球のシダックス監督、06年から東北楽天ゴールデンイーグルスの監督を歴任。10年に再び解説者となり、現在多方面で活躍中


野球関連書籍

「仙台育英日本一からの招待 幸福度の高いチームづくり」須江航
「イチローの功と罪」野村 克也
「大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80」児玉 光雄
「勝てる野球の統計学―セイバーメトリクス」鳥越 規央


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