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「野村の「眼」」野村 克也

2018/05/09公開 更新
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野村の「眼」 (ワニ文庫)


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

妻・沙知代さんが亡くなった後、野村克也さんがテレビに出ていたので手にした一冊です。南海ホークスのテスト生から這い上がった野村克也さんはまさに努力の人。天才ばかりが集まるプロの世界で、自分も努力を積み重ねたし、指導者としても努力を積み重ねているのです。


テスト生として入団した南海ホークス一年目のシーズンオフには、解雇通告を受けたという。その時、球団マネージャーに「もし、クビなら帰りに南海電鉄に飛び込みます」と脅したというのです。こうした凄まじい執念を、今日までもち続けたという自負があるというのですから驚きです。


野村克也さんが選手に毎日語りかけていたのは、野球のセオリーだけではありません。敵を知り、己を知る。やるべきことをやらないで「限界」などと言うな。長所を伸ばすは短所を鍛える。士は己を知る者のために死す・・こうした言葉を織り込みながら、選手のやる気を引き出し、考え方を変えていったのです。


つまり、野球を教えるだけでなく人間教育しているのです。チームを強くするために、まず選手一人ひとりをプロの考え方のできる人間に変えようということです。その人物が持っている可能性、自分も知らなかったような能力、資質を開かせてやることを目指していたという。


・毎日ホワイトボード一杯に私の野球観、人生観を書いて選手たちに説いた・・ボードに書く材料は、九年間の評論家生活のなかで読んだ、さまざまな本から書き取っていたものだった・・言葉を書き出して、そこに表れた思想・哲学を選手に叩き込んだのだ(p205)


天才が努力するから、すごいことが起きると野村さんは言います。楽天も育てて優勝に導いた野村さんは本当の野球のプロだなあ、と感じました。


びっくりするのは、そうした野村さんも驚くのが王選手です。王選手が野村監督と一緒に銀座などで飲んでいる時、夜の九時を過ぎたあたりに「申し訳ありませんが、お先に失礼します」と言って帰っていくというのです。理由を尋ねると、コーチの荒川さんが家で待っているのだというから、夜中に練習していたのです。


野村関東はなぜ沙知代さんと結婚したのか、それだけが謎です。野村さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・私は「自己コントロールとは、欲から入っていかに欲から離れるか」が最重要だと信じる・・・最後はストレートで格好よく三振を取りたいと欲を出して痛打を浴びる。欲から入って欲を離れることができず、失敗した例をこれまでにも数多く見てきた(p250)


・私が「囁き戦術」を使うようになったのは、私自身が「囁かれて」打ち取られることが再三あったからだ(p125)


・待遇の面でも、できることはたくさんある。例えば選手の年金制度。今は月に九万円、私の頃はわずか四万円だった・・メジャーは五年、十年プレーすると、家族全員が生活できるような年金がもらえるようだ。その代わり、マイナーで終わった選手はほとんど何ももらえない(p244)


・B型人間は我が道を行く天才肌の選手が多い。個性的で人の意見に耳を傾けたりはしないが、自分を律する点では厳しく、行動で模範を示すタイプである。金田正一、長嶋茂雄、野村克也を並べてみると、どこにも共通点がないように思えるが、実はこの三人、みなB型人間である(p55)


野村の「眼」 (ワニ文庫)
野村の「眼」 (ワニ文庫)
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野村 克也
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【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

第1章 反骨心をもて―「月見草」という名の草魂
第2章 エースと四番の条件―不真面目な優等生が大成する
第3章 指揮官とは説得業である―リーダーの器
第4章 一流が一流を育てる―勝負事は"洞察とギャンブル"の心理戦である
第5章 弱者の戦い―敵を知り、己を知るということ
第6章 適材適所と意識改革が組織を変える―日本一への「再生」プロセス
第7章 いい仕事は必ず誰かが見ていてくれる―天才は妥協しない



著者経歴

野村克也(のむら かつや)・・・1935年京都府出身。京都府立峰山高校卒業後、南海ホークス(現・ソフトバンク)にテスト生として入団。入団4年目に本塁打王獲得。65年戦後初の三冠王に輝く。首位打者1回、本塁打王9回、打点王7回、MVP5回、ベストナイン19回、ゴールデングラブ賞1回など、日本プロ野球史上ON(王貞治・長嶋茂雄)と並び評される野球人である。70年南海ホークス選手兼任監督に就任。73年パ・リーグ制覇。80年45歳での現役引退まで「生涯一捕手」を貫く


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