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「敵は我に在り(上巻)」野村 克也

2008/10/17公開 更新
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敵は我に在り 上巻 (ワニ文庫)


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

 東北楽天ゴールデンイーグルスの野村監督の一冊です。やはり私は仙台なので、取り上げないわけにはいきませんでした。読んで分かるのは、野村監督が凡人であるということです。球団もライバルが少ないところを選んでいるし、入団もテスト生。最初はカーブが打てなかった。才能のなさは、非凡なる努力と知恵で乗り切ってきたのです。


・人間は一人前になるために、どうしても歩かなければならない道があるのです。その道程が短いか長いか、それだけの違いではないでしょうか。・・・少しも苦労とは考えなかった。(p201)


 私には、選手としての野球の話よりも野村監督の思想、考え方が楽しく読めました。多分、人を育てること、人をやる気にさせることに長年悩んできたので、こだわりを持っているのでしょう。どのように選手にやる気になってもらうのか、どうやって手を抜く選手を本気にさせるのか、常に工夫しているのです。


・私は「八つほめて、二つ教える」くらいの感じが、いい結果に結びついたような気がします。(p126)


 野球の世界では実績が全てですので、野村監督の考え方の正しさは、これまでの実績が証明しています。野球だけでなく組織のリーダーとしての指南帖として読める一冊です。本の評価としては★3つとしました。


この本で私が共感した名言


・どんな細かいことでも、「わかっていると思うが」と前置きして念を押し、指示を与える。大事な局面ほど、それが大切です。(p154)


・自分を大切にし、見つめる。工夫をこらしてゆくと、自分がどんなタイプの選手なのか、わかってきます。個性は十人十色です。自らのタイプを認識することによって、進む方向が決まってゆくのです。(p219)


・私の考えでは、ファームの選手はアマチュアなんです・・・社風を教え、社会人としての常識を教え、機構を頭に叩き込む必要があります。(p237)


・「人間には"善人"と"悪人"がいるのではなく、"弱い人"しかいない」というのは本当だと思います。その"弱さ"から這い上がれるかどうかは自分自身の問題です。(p243)


▼引用は、この本からです。
敵は我に在り 上巻 (ワニ文庫)


【私の評価】★★★☆☆(75点)



著者経歴

 野村 克也(のむら かつや)・・・1935年生まれ。高校卒業後、南海ホークスにテスト生として入団。4年目に本塁打王獲得。1965年三冠王。首位打者1回、本塁打王9回、打点王7回、MVP5回、ベストナイン19回。1970年南海ホークス選手兼任監督に就任。1973年パ・リーグ優勝。1990年ヤクルトスワローズ監督就任。4度のセ・リーグ優勝。1999年阪神タイガース監督就任。2006年より東北楽天ゴールデンイーグルス監督就任。


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