「不敗の名将 今村均の生き方 -組織に負けない人生を学ぶ-」日下公人

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不敗の名将 今村均の生き方 -組織に負けない人生を学ぶ- (祥伝社新書)

【私の評価】★★★★☆(85点)


■宮城県仙台市から不敗の名将、
 今村均という人が出たと聞いて
 手にした一冊です。


 今村均司令官は、大東亜戦争後期、
 孤立無援となったパプアニューギニアの
 ラバウルで10万人の兵士とともに
 終戦を迎えました。


 今村均司令官は、ラバウルに
 地下通路を作ることで要塞化し、
 農地を作って自給自足の体制を作り、
 終戦まで生き延びたという。


 とかく当時の軍人は
 特攻や突撃など非合理的な
 作戦を立てがちでしたが、
 今村均は合理的な人だったのです。


・日本人は状況が困難になるとその合理的な解決を考えるよりも、とかく精神的・抽象的になり神がかり的な"純粋の美学"と"破滅の美学"に逃避する・・追いつめられるとすぐに全軍を挙げたバンザイ突撃を敢行して米軍を喜ばせたりする(p223)


■この本が面白いのは、
 「今村均大将回想録」の面白さを
 解説しているところでしょう。


 今村均は陸軍大学校を主席で卒業し、
 将来少将以上に出世するのは
 ほぼ約束されたエリートでした。


 そのトップエリートが
 いかに足を引っ張られずに
 組織の中で慕われ、
 実戦においても不敗の伝説を
 作ったのか。


 その答えが「今村均大将回想録」にあり、
 組織の中においていかに敵を作らず、
 ゴマをするわけでもなく
 組織の目的を達成するのかという事例を
 この本ではいくつか紹介してくれるのです。


・「私は歩兵課長も自分もまちがっていないと思いますし、例を失ったことは申し上げなかったつもりですので副官殿におわびは致しません。しかし、教えていただきました旅順の戦訓は私の将来に実によい教訓でありました。その手始めに私と私の課の全書記で今夜徹夜し清書をすることに決心しました」・・和田大佐はそれ以後、今村中尉起案の文書には一言も文句を言わなかった、ということである。人間はいかに感情的かをこれで悟ったと回想録は結んでいる・・(p30)


■帝国陸海軍にはろくな人がいなかったと
 する本が多いなかで、
 今村均将軍は比較的合理的な軍人で
 あったということなのでしょう。


 不敗という実績からは
 組織人としては成功したという
 ことなのでしょう。。
 もう少し今村均さんを調べて
 みたいと思います。


 日下さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・日本の陸軍も海軍も、それから政府も高級幹部要員の選抜に当たっては試験を非常に重視した・・その試験の成績と席次はほとんどその人の一生を決定した。どうしてそうなったかと言うと、その前の時代があまりにも情実や縁故優先だったからである(p62)


・陸大主席卒業という肩書きが今村均の上につけ加えられた。これは出世の切符でもあるが・・ハンディキャップを持つことでもあった・・「陸大の成績を鼻にかけてそういう横着なことを言う」などと他人から言われる・・なまじハクをつけたために和田大佐のような人からいじめられ、その度に応接を誤って自滅してゆくのである(p71)


・性善説で行動すると相手も多少はそうなるし、性悪説で行動すると相手もそうなるのが人の世である(p186)


・第一次世界大戦後は全世界的にもう戦争は当分あるまい、という平和一色の時代が到来した・・しかし、実際にはこのときから十年後には早くも満州事変が始まるのであり、この大正時代の勉強不足・・特に機関銃、大砲、戦車、航空機、潜水艦などに関する認識不足と準備不足は、満州事変から日支事変、大東亜戦争へかけて日本軍の大きな弱点となる(p149)


・装備の近代化にまわすべき予算を中国大陸の駐兵費に食われていたばかりか、昭和14年末の陸海軍の動員兵力146万人は国家経済の運営にも支障をあたえ・・・景気刺激のためと称して赤字国債による無用の財政支出を増大させると、国家の資源や労働力が非経済的な分野に集中偏在して、日本経済全体の生産性がやがて低下に転ずるという現在と同じようなことが行われていた(p189)


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【私の評価】★★★★☆(85点)

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■目次

第一話 陸軍士官候補生
第二話 陸大入学
第三話 陸大卒業
第四話 佐々木一等兵
第五話 炊事当番兵
第六話 ノックス事件
第七話 小柳津少佐と少年給仕
第八話 上原勇作元帥
第九話 思想犯とされた兵
第十話 大激戦



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