「日本と世界はこうなる」日下 公人


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【私の評価】★★★☆☆(75点)
■いつも過激な発言の日下さんの一冊です。
日下さんの発言が過激に見えるのは、
ある面、事実を話しているから
なのかもしれません。
たとえば、以前は、
「世界はもっと腹黒い」と言われて、
そうかな~と思う人が多かった。
しかし、最近では現実の国際社会とは、
弱肉強食の汚い世界であり、
金と力と情報を持つものが勝つ
世界でもあるのです。
そういえば、安部総理は
第二次世界大戦とは本当は何だったのか、
思い出そうとして叩かれているわけですね。
・私たちは外国人の「腹黒さ」を見せつけられると、「その人たちは例外的に腹黒いのだろう」と思うが、彼らは、腹黒いほうが正常で当たり前だと思っている。それはむしろ賢いことだと思っている(p162)
■日下さんの言いたいことは、
○日本は高付加価値を目指すべき
○税率よりもスピード(規制緩和)
○日本人はもっと働くべき
など本質的なもの。
中国に進出して、相手と同じような
安い製品を売っていては、負けはしませんが、
強みの強化にはならない。
さらには、
社員を人質に取られるリスクも考えれば、
とても進出する気持ちがわからないということでしょう。
・日本が掲げなければならない国家戦略の目標は、中国と違って、数字を拡大するのではなく、高品質の創造である・・・次から次へと新製品をつくるほうが大事である(p46)
■日本は非常に良い国だと思います。
その分コストもかかりますが、
犯罪も少なく、食事もおいしい。
ぜひ、世界のお金持ちに
日本に来てほしいと思います。
日下さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・日本の税制の何が一番問題かといえば、高いことよりも、すべてにおいて遅いことである。・・・一年も待たされたら、コストが一割高くなる。だから、許可か不許可か、どちらでもいいが「早く決めてくれ」と言う。その点、中国は、「賄賂を取るが、決裁が早いからいい」(p56)
・日本やきちんと、「わが国は犯罪も少ない、約束も守る、あなたも住んでみればわかるが、住み心地がいいというのはコストがかかるんですよ」と説明すればいい(p58)
・融資したり出資したりするカネを持っている国は、日本と中国しかない。アメリカは金がないから、口を出して威張るだけである。彼らは悪知恵が発達しているから、IMF(国際通貨基金)や世界銀行をつくって、そこのポストを独占している(p53)
・そろそろ、「いまこそ大減税する」という政治家が出てきてもいいと思うが、政治家は官僚と一緒になって国家財政の配分を楽しんでいるので、大きな政府になる・・まず最初にしなければいけないのは、人数の削減である・・しかし、なぜ政治家にそれができないかと言えば、公務員の大部分が選挙の下請け機関になっているからである(p80)
・日本以外の国は、借金は踏み倒すのが第一番と思っている。真面目に「返そう」と考えるのは、まじめな日本人の発想で、そこが他国と全然違う(p67)
・外務省は国益より省益を守っていてさらには任期中自分の仕事が楽なようにしているように見える・・・国家意識を持った国家公務員が昔はいたが、今はいない。原因を考えると、昔は"恩給"と言って死ぬまで天皇から下される給料があった・・・しかし今は民間人と同じ年金だけになったので、在職中に老後のための蓄財や天下りを考えるようになったが、これでは国民は大損害をしていると思う。(p145)
【私の評価】★★★☆☆(75点)
■目次
第1章 円高はどうなるか
第2章 デフレ対策と成長戦略はこうなる
第3章 日本の財政赤字をどうするか
第4章 少子高齢化にどう対処すべきか
第5章 アメリカは衰退の道を歩む
第6章 日本企業の中国進出にメリットはあるのか
第7章 世界はみんな腹黒い
第8章 「文化の時代」がまたやって来る
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