【書評】「パリわずらい江戸わずらい」浅田 次郎
2017/01/19公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(72点)
要約と感想レビュー
小説のアイデアは夢と旅から
JALの機内誌で連載された旅をテーマとした浅田 次郎のエッセーです。
浅田 次郎といえば、「一路」「壬生義士伝」といった歴史小説から、「椿山課長の七日間」「天国までの百マイル」といった人情ものまで、私もお気に入りの作家です。
作家は嘘の世界を書く仕事ですが、小説のストーリーは夢からアイデアをもらうらしいのです。
長らく夢と付き合っているうち、近ごろではこの別世界を相当に支配できるようになった。まず寝入りばなに、「本日のテーマ」を考える(p212)
旅とは人生そのもの
そして、著者は旅行好きです。日本、海外と飛び歩いているようで、そのぶん話題も多いのです。忘れ物ネタ。食い物ネタ。病気ネタ。旅とは人生なのかもしれませんね。
パスポート。エアチケット。クレジットカード。・・何を忘れてこようが、この三つさえあればとりあえず旅は続けられる(p9)
小説家は謎のままでいい
好きな小説家の日常を知るのも善し悪しだと思いました。小説家は謎のままでいい。浅田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・見てきたような嘘をつくのが小説家の特権であるにせよ、実際に見てきた人々に対して責任を負えるだけの嘘がつけるかどうかと思えば、不安どころか恐怖心さえ覚える(p37)
・物語はその十日間の道中をロードムービーふうにたどるので、私も連載中に旧中山道を踏破しようと決めた。取材というより、行列の一員となってこの架空の旅を体験するのである(p127)
・2009年の十月に国際ペン大会参加のためオーストリアを訪れたとき、まず驚いたのは料理のしょっぱさと、デザートの甘さであった(p41)
・建軍期の日本は海軍がイギリス、陸軍はフランス、のちにドイツを範とした。軍医もおおむねその通りに留学したので、脚気についても海軍はイギリスの「栄養由来説」を採り、陸軍はドイツ医学の「細菌説」を信じていた(p142)
小学館 (2016-12-06)
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
目次
旅の仕度
時差ボケ
袖ふりあうも多生の縁
国際会議
夕焼け小焼け
減糖減塩
五十八歳の奇跡
和風回帰
家紋のゆくえ
カナシバリ同好会他
著者経歴
浅田 次郎(あさだ じろう)・・・1951年生まれ。1995年『地下鉄(メトロ)に乗って』で吉川英治文学新人賞受賞。1997年『鉄道員』で直木賞受賞。2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞を受賞。その他著書多数。
読んでいただきありがとうございました!
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