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「一路(上・下)」浅田次郎

(2016年10月31日)|

一路(上) (中公文庫)一路(下) (中公文庫)

【私の評価】★★★★★(90点)


■江戸末期、実家の火事で父を亡くし、
 父の跡を継いで江戸への参勤交代を
 指揮することとなった一路さんの物語です。


 実家の出火は家の断絶にも相当する過失。
 もしも参勤交代で不手際があれば
 お家断絶、と追い詰められます。


 一路は突然の訃報で引継ぎもない中、
 家宝の古い参勤交代のマニュアルをもとに
 参勤道中を行うことにしました。


 古式にのっとった参勤交代は、
 ゆったりした道中ではなく
 戦へ行軍するようなものでした。


・御殿様はふと考えた。
 二百数十年の時の間に、
 おろそかにしてはならぬものばかりが消え、
 どうでもよいことばかりが
 残っておるのではあるまいか、と(上p125)


■12月の中山道は雪や山越えあり、
 御姫様との出会いがあり、
 御殿様の後見人の陰謀あり。


 もともと実家の火事も
 お家を乗っ取りを謀る勢力の
 陰謀だったのです。


 そうした陰謀を知ってか
 80名の家来は一路の指揮のもとに
 まとまって行軍していくのでした。


・家来の働きぶりについて軽々に
 評価をしてはならぬ。
 声にして褒めれば権威となり、
 貶めれば必ず罰が下される。
 御殿様の発言とは
 そうしたものであった(下p12)


■浅田次郎さんらしく
 ユーモアあふれ笑える一冊でした。


 映画やテレビにぴったりだなあと
 思っていたらドラマ化されて
 いるようですね。


 浅田さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・殿様というはあらかたか馬鹿なのである。
 馬鹿ゆえの殿様なのか、殿様ゆえの馬鹿なのかは
 わからぬが、その中にあっておのれは、
 相当にマシなほうであろうと常々思っていた。
 しかし、馬鹿と較べてばかりいたのでは、
 おのれが馬鹿かどうかはわからぬ(上p136)


・早い話が、殿様は木偶(でく)に近いほど
 名君と呼ばれる
のである。
 政(まつりこと)に口を出すなどもってのほか、
 家来たちの批評はむろんのこと、
 正室側室の好みですら
 声にしてはならなかった(上p144)


・中山道はあらかた山間の道中にもかかわらず、
 あんがいなことに六十九次のうち湯宿は、
 この下諏訪ひとつきりであった(上p322)


・今もことあるごとに考える。
 父上ならばどうなさってであろう
 と(下p7)


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【私の評価】★★★★★(90点)



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