【書評】「ブラック オア ホワイト」浅田 次郎
2015/04/22公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
黒と白の枕を選択
一人の裕福な家に育った商社マンが、その人生を夢と現実を行き来しながら語る一冊。黒と白の枕を選択することで、悪夢といい夢が現れるという仕掛けです。
スイスでの商材の買い付け、パラオでの長期休暇、北京での新規事業、そして京都での死亡事故。そこには歴史の流れがあり、出世と左遷があり、人間関係があるのです。
ペリリュー島の南の海岸だった・・このちっぽけな島で、一万人以上のジャップとアメリカン・ボーイズが死んだんだぞ。それこそ足の踏み場もなかった(p78)
過ぎてしまえば何もかもが夢
先日、天皇陛下が訪問したパラオのペリリュー島が出てくるのが、不思議なリンクを感じました。歴史というものは、実際にあったことなのでしょうが、知らないものにとっては、夢のごとしです。
この本で言いたかったのは、次の老人の一言ではなかったのでしょうか。
老人は眼鏡の底の目を細めて言った。「過ぎてしまえば、何もかもが夢のようだよ。成功も失敗も、幸も不幸も、何もかもが」(p176)
いずれは過ぎ去っていく
人生とは、ゲームのようなものであり、いずれは過ぎ去っていくものであると思いました。そこには、悦び、悲しみ、幸運、不幸、勝利、敗退がある。
ただ、いずれも過ぎ去っていくのです。浅田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・いかにもできる、というタイプの社員はあんがい出世をしない・・・上司からは自分の存在を脅かす者として敬遠されるし、勲章の多いやるはミステイクも多いからね(p105)
・外国人と握手をするときには、けっして頭を下げてはならない・・・商社員や外交官が尊大に見えるのは、頭を下げないその習慣が身についてしまっているからだろう(p108)
・いくら世の中が明るく豊かになっても、ほとんどは人間の幸福に寄与しない余分で、それどころか僕たちはそうした余分な明るさ豊かさを、麻薬のもたらす幻覚みたいに幸福のかたちだと信じているだけなのではあるまいか(p61)
【私の評価】★★★☆☆(77点)
著者経歴
浅田 次郎(あさだ じろう)・・・1951年生まれ。1995年『地下鉄(メトロ)に乗って』で吉川英治文学新人賞受賞。1997年『鉄道員』で直木賞受賞。2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞を受賞。その他著書多数。
読んでいただきありがとうございました!
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