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「憑神(つきがみ)」浅田 次郎

2009/10/25公開 更新
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「憑神(つきがみ)」浅田 次郎


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

人間はいつしか死ぬ

下級武士が貧乏神、疫病神、死神に取りつかれるというコメディタッチの小説です。主人公は、貧乏神、疫病神は他人に鞍がえさせてなんとかしますが、死神だけは鞍がえできませんでした。


自分には命をかけるべきことがあったし、他人を殺すことができなかったからです。コメディでも、出演者は極めてまじめで、人生とは・・と考えさせてくれるところが浅田 次郎さんらしいところです。


人間はいつしか死ぬ。だが、限りある命が虚しいのではない。限りある命ゆえに輝かしいのだ。(p294)

何を心の糧として生きるのか

江戸末期といえば、平和な時代です。平和なるがゆえに、何を心の糧として生きるのかという現代にも通じる悩みが見えるような気がしました。


命をかけるというか、そうしたものがない人よりは、あった人のほうが幸せなのではないか、というのが浅田さんの言いたいことのようです。浅田 次郎さんらしい、笑えて、考えさせられる小説でしたので★3つとしました。


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この本で私が共感した名言

・人には命があり、その命は親から授かるのである。そしておのれもわずかな命の間に子をもうけ、代々の苦労におのれの苦労を上乗せして、子らに申し送る。そうした営みが遥か太古から続いており、またこの先を遥かに続くのか・・・(p238)


「憑神(つきがみ)」浅田 次郎


【私の評価】★★★☆☆(73点)



著者経歴

浅田 次郎(あさだ じろう)・・・1951年生まれ。1995年『地下鉄(メトロ)に乗って』で吉川英治文学新人賞受賞。1997年『鉄道員』で直木賞受賞。2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞を受賞。その他著書多数。


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