「宇宙は何でできているのか」村山 斉
2017/01/18公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
東北地方に素粒子の謎を解くために巨大な加速器、リニアコライダーを誘致しようという動きがあります。素粒子はどこまでわかっているのか?リニアコライダーの役割は?と手にした一冊です。この本が出版された2010年には未発見だったヒグス粒子は、2012年に発見されています。
マンガの世界の話だと思っていた、反物質が実際に存在します。原子や電子を作る素粒子の性質もだんだんわかってきている。時間、空間、物質の質量やエネルギーの秘密が解き明かされようとしているのです。
・ジョリオ=キュリー(キュリー夫人のお嬢さん夫婦)の実験によって、エネルギーが物質に変わることも示されました。光のエネルギーを原子核にぶつけたところ、質量を持つ電子と陽電子が発生したのです。ちなみに、ここで生じた陽電子は、人類が初めて作った「反物質」でした(p117)
素粒子の研究とは、巨大な装置を使った人類最高の冒険だと思いました。無駄といえば無駄ですが、人の探求心はどこまでも追及していくのです。
この本では科学者の物を見るモノサシを教えてくれるのが面白いところです。例えば、FMラジオの周波数を90メガヘルツなので波長は約3メートル。一方、およそ1000キロヘルツのAMは波長が約300メートルです。波長3メートルのFM電波は建物より短いので、そこに衝突して届かないのですが、AMは届くのです。
また、地球から月までは光速(秒速3億メートル)でたった1.3秒の距離とか、太陽までは、1.5億キロメートルで光速で8.3分という。面白い!村山さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・標準模型では、電磁気力、強い力、弱い力をすべて「粒子(ボソン)のキャッチボール」で説明します(p111)
・超ひも理論・・5次元以上の空間で運動している粒子は、私たちには止まって見えるでしょう・・この理論によれば、止まっている粒子が持つ質量とは、見えない次元で生じる運動エネルギーなのです(p201)
・ガリレオは、こんな言葉を残しました。「宇宙という書物は数学の言葉で書かれている」(p14)
・国際宇宙ステーションが浮かんでいるのは、地上から375kmの高さ。地球の直径は約1万2000kmですから、ほんのちょっとだけ宇宙空間に出たにすぎません。地球がリンゴだとすれば、その皮から頭を出した程度のことです(p30)
・原子全体が野球場だとすると、原子核は野球のボールぐらいの大きさしかありません(p89)
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
序 章 ものすごく小さくて大きな世界
第1章 宇宙は何でできているのか
第2章 究極の素粒子を探せ!
第3章「4つの力」の謎を解く
第4章 湯川理論から小林・益川理論へ
第5章 暗黒物質、消えた反物質、暗黒エネルギーの謎
著者経歴
村山 斉(むらやま ひとし)・・・1964年生まれ。1986年、東京大学卒業。1991年、同大学大学院博士課程修了。専門は素粒子物理学。東北大学助手等を経て2000年よりカリフォルニア大学バークレイ校教授。2002年、西宮湯川記念賞受賞。2007年、文部科学省が世界トップレベルの研究拠点として発足させた東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU)の初代機構長に就任。主な研究テーマは超対称性理論、ニュートリノ、初期宇宙、加速器実験の現象論など。世界第一線級の科学者と協調して宇宙研究を進めるとともに、研究成果を社会に還元するために、市民講座や科学教室などで積極的に講演活動を行っている
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