「不安のしずめ方―人生に疲れきる前に読む心理学」加藤 諦三
2015/07/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
従順な人は搾取される
世の中には、認めてもらおうと頑張る人と、そういう人を低い位置に置きながら支配しようとする人がいます。著者は、前者を従順な人、後者を搾取する人、と呼んでいます。
前者は良い人なのですが、どこかオドオドしている。そこを見透かされ、搾取タイプの人に舐められるのです。著者のお勧めは、「自分の人生は自分の責任」だと思うことです。そうしないと周囲の人が言うことに影響を受けて、右往左往することになるのです。
・人は、不安から自分を守るために従順になった途端、相手が怖くなる・・相手に拒絶されると、ものすごく心理的に不安になる。(p74)
人をバカにして自己重要感を維持している
搾取タイプの人は、オドオドした人を探しています。そうした人がいると近づき、その人の弱点を突きながら、その人を攻撃するのです。オドオドした人は嫌われることを恐れてあれこれするのですが、結果は嫌われるだけであったり、軽く見られるだけなのです。
搾取タイプの人の心の底には、自分でもわからないコンプレックスが存在します。だから、自分より下の人を探して、その人をバカにすることで、自己重要感をなんとか維持しているのです。
・ひどい夫と離婚することを勧めても決して離婚しようとしない。たとえアルコール依存症の夫でも今の生活が変わるのが不安なのである(p25)
腹をくくる勇気が必要
著者は従順な人に、それでなにか良いことがあっただろうか?」むしろ逆で、従順に生きてきた結果、憂うつな気持に苦しんでいるのではないかと問いかけます。従順な人はそうした構造がわかっても、その人から逃げるのは難しいものです。なぜなら、職場であっても、家庭であっても、「腹をくくる」のには勇気が必要だからです。
それでも自分の判断で行動し、その結果に責任を負うという勇気を持つことを推奨しています。気に入られることよりも自分の確信のほうを選択し、それを繰り返し選ぶということです。腹をくくり我が道を行くのです。
著者も同じような悩みを持ち、少しずつ克服したそうです。私たちもそうした状況であるとすれば、少しずつ、または、思いっきって環境を変えてみたいものですね。加藤さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・不安から自分を守るために迎合しそうになったとき、「軽く見られるだけだ」と自分に言い聞かせる。(p81)
・周囲の人の要求に「はい」という努力をすることではなく、「ノー」と言う努力をすることである(p135)
・「自分が燃え尽きたときに、このうちの誰が自分を助けてくれるだろうか?」とあなたは考えたことがあるか(p112)
・失礼な人に対して、「別に、この人は自分の幸せに責任を持ってくれるわけではない、それなのにそんなに無理をして好かれることはない」(p224)
・前向きに行動するための二つ目は、次善の策をとるということである・・・最高に執着して、眠れないままに朝を迎える人がいる(p272)
▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
第1章 なぜ不安なのか
第2章 人が怖いから迎合してしまう
第3章 真面目の落とし穴
第4章 不安のしずめ方
第5章 不安の構造
第6章 自分の人生の責任は自分にある
第7章 老いは成熟である
第8章 幸せへの処方箋
著者経歴
加藤諦三(かとう たいぞう)・・・心理学者。1938年生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院修士課程修了。
現在、早稲田大学名誉教授、ハーバード大学ライシャワー研究所客員研究員。ラジオの「テレフォン人生相談」パーソナリティーを半世紀担当。
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