【書評】「不安のしずめ方40のヒント」加藤 諦三
2014/09/21公開 更新

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【私の評価】★★★★★(91点)
■従順な東北人としては衝撃の一冊でした。
従順とは、不安があるから
相手に迎合すること。
相手に反発しながらも、
不安から自分を守るために
相手の言うことに従っている。
例えば、厳しい上司に
たいへんな仕事を命令され、
「はい」と言ってしまう場合でしょうか。
敵意を持ちながらも従順すると、
心の中にストレスが蓄積されるのです。
・迎合することは相手に賄賂を渡すような心境だから、拒絶されたことは痛手となる。・・ただ自分の考えを述べて否定されることと、気にいられるために言ったことを否定されるのとの違いである(p42)
■さらにこうした人が上司になると、
部下に指示できない場合がある。
なぜなら、その人の中では
「頼みたい」気持ちと
「頼むと嫌われる」のではないか
という不安が入り交ざっている。
部下からの視点で見ると、
厳しい上司に見えないから
見下してしまう。
上司は下手に出た手前、
厳しいことが言えない。
でも、上司の心の底での
不満はものすごいのです。
したがって、部下の評価は
最低になってしまう。
でも、表面上は怒って見えないので、
その場で部下は気がつかない。
こうした上司の元だと、
評価の下がる部下も不幸だし、
なめられる上司も不幸になるのでしょう。
・気が引ける人は頼み事ができないけれども、非言語的な要求は凄い。・・・頼み事をすると「嫌な人、迷惑な人」と思われやしないかと不安だからである。つまり自分に自信がない。自分は好かれているという自信がない。・・・しっかりと自分の要求を述べないで、人を恨んでいるタイプである。(p89)
■ただ、人の性格はすぐには変わらない。
東北人に関西人のように
自分の利益をはっきり主張しなさいと
いってもそうはならない。
この本では、まず
自分の心の不安に気づくことが
大切だといいます。
相手に気に入られたい、
期待に応えたいという想いと、
それに応えられない不安。
まずは、その不安の構造を
理解しましょうということです。
・あなたは「あの人に気にいられなければならない」と思っているが、その「あの人」は「あなたに気にいられなければならない」と思っているだろうか。「あの人」は「あの人」で賢く自分を守っているのではないだろうか。だからあなたもあなたを守ればいいのである(p104)
■人の性格を変えることはできませんが、
自分の特性を知ることはできる。
そして自分を動かしている
感情に気づくことで、
何かが変わるのかもしれません。
加藤さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・従順さと素直さは違う・・・人は、不安から自分を守るために従順になった途端、相手が怖くなる。相手に対して心の底で敵意を持ちながらも、なんとなく相手の言うことに従わなければいけないような気持ちになる。(p41)
・長いこと従順に生きてきた人は、自分では気がつかないほどものすごい敵意や憎しみが心の中にたまっている。(p33)
・自分を安売りしたり、相手に過度に従順になったりすると、相手は逆に自分を過大評価し始める・・・相手はさらに高慢になる。相手はあなたをたいしたことがない人間と思う。あなたは今までいろいろな人間に従順に生きてきた。でもそれで何か良いことがあっただろうか。(p46)
・あなたは人に何かを頼めない。でも人はあなたにいろいろなことを頼んでくる。そしてあなたは無理をしてそれを行う。おかしくないだろうか。従順なあなたは皆に大切にされてきただろうか?(p48)
・基本的安心感のない人は他人の顔色をうかがう。「ノー」と言ったら捨てられるという不安感がある。・・拒否されて孤独になることを恐れているからである。実際には孤独にはならなないのに。(p55)
・いわゆる「良い子」は見捨てられる不安を始め、さまざまな不安から自分を守るために、追われるようにして生真面目になっている。しかし、そこで本当にしたいことをしないでいた不満は大きい。(p60)
・もしあなたが自己実現しようとしたときに、それを非難する人だとすれば、質(たち)の悪い人たちである。質(たち)の悪い人とは、人から搾取する人である。・・用のない人を切り捨てろ(p81)
・遠慮しがちな人が、要求が少ない人かというと決してそうではない。・・・同時に相手から見捨てられる不安、相手から低く評価される不安を持っている。・・・だから気が引けているようでありながらも、どこか要求がましい。どこかで人を責めている。(p88)
・「自分の人生は自分の責任」という姿勢で生きていれば、ずるい人から何かを期待されても、「この人は、自分が幸せになるために必要な人か?」と考えられる・・そう分かれば、頼まれても無理をして頑張らない。気にいられたくて、体を壊すまで努力するようなことはしない(p98)
・「自分は最高の親ではない」ということを受け入れることで、最低の親になることが避けられる(p130)
【私の評価】★★★★★(91点)
■目次
第1章 人はなぜ不安から逃れられないのか
第2章 不安と決別できる生き方
第3章 人生の責任はすべて自分にある
第4章 幸せを実現するための処方箋
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