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「商売心得帖」松下 幸之助

2008/05/16公開 更新
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「商売心得帖」松下 幸之助


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

不況よし好況もよし

松下幸之助の心得帖シリーズとして「商売」についてまとめた一冊です。心得というだけあって、テクニック的なものはなく、あくまでも考え方、ものの見方を教えてくれます。


例えば不況ならお客さんが厳しい目をもって商品を買うので、うちの会社が勝てる。好況でも、うちの商品は売れる。不況よし、好況よしと言っています。ピンチはチャンス。ピンチだからこそ、皆が協力しあって強くなれるということです。成功する人は、チャンスをうまくつかみ成功し、ピンチの時にも強いのです。


たとえば"不景気もまたよし、不景気だからこそ面白いんだ"という考え方が、一面できないものでしょうか。(p108)

当たり前のことをきちんとやる

また、お得意先へのサービス、値段のあり方、仕入れ、人材育成などあらゆる角度から基本的な心得がならんでいます。あまりに当たり前のことすぎて、「君は基本をちゃんとやっとるのか」と言われているようで逆に怖いという印象です。


例えば商売では信用が大切ですから、そのためには新しい顧客を追うよりも目の前の顧客に尽くすことが、新しい顧客を紹介してもらえるとしています。現在では紹介営業として知られているテクニックです。深いですね。


極端にいえば、一軒のお得意を守りぬくことは百軒のお得意を増やすことになるのだ、また逆に、一軒のお得意を失うことは、百軒のお得意を失うことになるのだ(p62)

松下電器は人を作っている

松下幸之助は、松下電器は人を作っている、ついでに電化製品を売っているのだと言っていました。同じように、日本国民も育てる必要があると考えていたようです。そのためには、国民を保護するだけでなく、叱咤激励も必要ではないかと問いかけています。甘やかしているだけで、人は育たないのです。


本としてはあまりに安いので、松下幸之助の入門編として、ぜひ買って読んでみていただきたいと思います。丁稚から商売をはじめて、パナソニックという巨大企業を作り上げた考え方がわかります。本の評価としては★4つとしました。


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この本で私が共感した名言

・商売や儲けを論ずるということは、実は国家社会を論ずるのと同じことなのです。・・・商売に身を入れていると、自然とお得意先と仕入先のことが気にかかってくる。(p95)


・仏教徒の方々の生活態度は、朝に礼拝、夕べに感謝といいますが、われわれ日々仕事に携わる者も、朝に発意、昼は実行、そして夕べに反省、こういう日々をくり返したいということです。(p4)


・長所を見ることに七の力を用い、欠点を見ることに三の力を用いるのが、だいたい当を得ていると思われます。(p142)


▼引用は、この本からです。
「商売心得帖」松下 幸之助


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

第1章 商売の心得いろいろ
 世間は正しい
 対立と協調と
 どれほど喜ばれているか
 販売に成功するためには
 笑顔の景品を
 自分の店の力を判定しつつ
 声をかけるというサービス
 魂を入れた値段であれば
 商売冥利
 自分一人の商売ではない
 総合病院と町のお医者さん
 新しい時代の値段
 お得意を広げる
 よしみを通じる
 お得意先はわが親戚
 お得意先の仕入係になる
 業界の安定は共同の責任
 二十人の小僧さんの顔
 商品を大切に
 まずサービスから
 名君と忠臣
 お得意先と仕入先のことが気になって
 お得意先のありがたさ
 呼びかける
 商品を発意する
 不景気だからこそ
 街の品位を高める
 利は元にあり
 集金と支払いについていつも敏感に
 夫婦の仲が良ければ
 絶対安心の境地
 明朗公正な競争を
第2章 人事の心得いろいろ
 人を集める第一歩は
 長所を見つつ
 人を育てるには
 好きこそものの上手なれ
 一人の責任
 人づくりは"打つ"ことから
 頼もしく思って人を使う
 衆知を生かすために
 部下の提案を喜ぶ
 経営者の心根
 ある問屋さんの立腹
補章 古今の家訓・店訓・社訓いろいろ



著者経歴

松下 幸之助・・・パナソニック(旧松下電器)グループ創業者。PHP研究所創設者。1894年生まれ。9歳から火鉢店、自転車店に奉公し、大阪電灯(株)勤務。1918年松下電器を創業。1946年PHP研究所を創設。1989年94歳で永眠。


関連書籍

「商売心得帖」 松下 幸之助
「人生心得帖」 松下 幸之助
「社員心得帖」 松下 幸之助
「経営心得帖」松下幸之助


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