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「地球を斬る」佐藤 優

2007/08/13公開 更新
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地球を斬る


【私の評価】★★★★☆(80点)


●この本は、鈴木宗男氏と共に外務省から
 排除された佐藤優氏が、分析官の視点で
 国際情勢を解説した一冊です。


 佐藤優氏は、すでに外交の舞台では
 一度死んでいますので、
 本音の話が多いと感じました。


 外交、諜報の世界において本当の情報は、
 なかなか見えてきません。


 なぜなら、新聞、テレビ、雑誌などのマスコミは、
 プロパガンダの一部だからです。


●ただ、諜報の世界でも、七、八割は
 公表されている情報を集めて
 分析することから得られているらしいので、
 世論操作の手段である新聞などの論評(意見)は
 無視して、その事実だけを確認・分析することで、
 ある程度の事実が見えてくるはずです。


 例えば、イギリスでロシア連邦保安庁(FSB)の元中佐
 リトビネンコ氏が放射性物質で暗殺されましたが、
 この真相は永遠にわからないと思われますが、
 事件をどう見るかということは大切だと思います。


・諜報業界での暗殺は現在も交通事故、自殺の形で処理されることが多い。薬物暗殺などという、確実に捜査に発展するような手法は避ける(p201)


●表面的、感情的になりやすい外交・国際関係について、
 一つの視点を与えてくれる良書だと思います。


 新聞を毎日読んでいる人にお薦めします。
 ★4つとしました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・「領土問題とは、日本固有の領土が外国に不法占拠されている状況を本来の状態に戻す」ことだ。従って、日本が実効支配している尖閣諸島を巡る領土問題は存在しないのである。・・・中国が尖閣諸島やその周辺のガス田開発について何か言ってきても、難癖の類として一切無視することだ。(p49)


・北朝鮮が日本に対するテロ攻撃を仕掛ける場合、貯水池、原発、新幹線などが標的になるのは明白だ。十分な対策をとるべきだと思う。(p236)


・インテリジェンスの世界で常識になっているイランと北朝鮮の大量破壊兵器(核兵器、弾道ミサイル)分野での協力についての問題意識が日本外交においてはあまりに稀薄である。・・・日本外務省はなぜかイランに対して甘い。(p91)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★★☆(80点)



■著者経歴・・・佐藤 優(さとう まさる)


 1960年生まれ。1985年同志社大学大学院修了。ノンキャリアの専門職員として外務省入省。在ロンドン大使館、在モスクワ大使館勤務を経て、本省国際情報局分析第一課勤務。2002年背任容疑で逮捕。偽計業務妨害容疑で再逮捕。2005年執行猶予付き有罪判決を受けて控訴、棄却され、現在、最高裁に上告中。


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