「君に志はあるか―松下政経塾 塾長問答集」松下幸之助
2006/05/23公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(83点)
●松下幸之助九十歳のときの、松下政経塾での
塾生との問答集です。
当時の日本はオイルショックを経験し、
赤字国債を発行し始め、
累積赤字が70兆円となろうというときです。
(現在の累積赤字は700兆円)
すでに、この段階で松下幸之助は、
このままでは国家財政は破綻すると、
指摘しています。
・毎年税収が足りなくて、赤字予算を組んでいるでしょう。
オイル・ショックのあと、そういう姿になったのですね。・・・
国債という形で借金をして、足りない分をまかなっていますが、
それがもう七十兆円にもなろうとしているでしょう。
このままいったら、財政破綻ですね。(p98)
●松下幸之助は常に
「今、自分は、なにをすべきか」
ということを
自分に問うているように思います。
86歳の松下幸之助は、これからは国の経営を行う
政治家の育成が重要であると判断し、
そのために松下政経塾を設立したのでしょう。
●政治の世界では、政党間で批判し合う傾向にありますが、
相手政党を褒めてあげてはどうか、
それが人の支持を勝ち得るコツであると
松下幸之助は提案しています。
さすが商売の神様だと感心しました。
(今でも、テレビなどでは他の政党を批判し合っていますね・・・)
・将来諸君が立候補したら、反対党をみんなほめてみたらどうでしょう。
前に言ったように、そういういいところを集めて、
よく吟味した上で、おいしく味つけして、
国民のみなさんに提供する。(p39)
・私は長い間、企業の経営にかかわってきましたが、
相手をクサしたことは一度もありません。
「甲さんの品物もよろしおます。
乙さんの品物もよろしおます。
けれどもそういうことも、
ちゃんとうちの品物のこの中に入っています」
ということで売ってきたわけです。(p40)
●私は松下幸之助の本はほとんど読破していますが、
松下幸之助と塾生との会話が記録されている本書は、
松下幸之助の生きた言葉を読むことができ、
新しい松下幸之助観を持つことができました。
・仮に、その人が自分の仕事に生きがいを
感じられないというように不平を言ったら、
「その不平はまちがっている。
あなたの仕事の結果はこういうふうに
世間に役立っているのですよ。
だから、非常に尊い仕事なんですよ」と、
言ってあげる。そういうことが言えないと、
人と指導することはできませんね。(p62)
●古い本ではありますが、松下幸之助の深さを知ることの
できる良書だと思います。★4つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・私は、失敗するかもしれないけれども、
やってみようというようなことは決してしません。
絶対に成功するのだということを、
確信してやるのです。
何が何でもやるのだ、
という意気込みでやるのです。(p148)
・人間は、行きづまるということは絶対にないのです。
行きづまるということは、自分が
「行きづまった」と思うだけのことです。
自分で「行きづまった」と解釈して、
はなはだしい人は自殺するわけです。
そんなもったいないことだけはしないでください(p219)
・諸君は、単に勉強をするのみでなく、
相当の世間の信用を得なければなりません。
この塾というものは今後、松下政経塾を卒業した人だ、
といったら、それだけでハクがつくというように
ならなければいけないのです。(p25)
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【私の評価】★★★★☆(83点)
■著者経歴・・・松下幸之助
1894年生まれ。1989年永眠。松下電器創業者。
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