■今、話題の北方領土問題ですが、
2002年に北方領土問題に取り組んでいた鈴木宗男さんとともに
粛清された元外務省官僚 佐藤 優さんの一冊です。
佐藤さんは、外務省の内部抗争で敗れた立場ですので、
この体験の反省を含めて、この本を書いています。
■基本は交渉術なのですが、この本の面白さは、
外務省という組織の内部の様子が
よくわかるということでしょう。
外務官僚の政治家との関係や、金の問題、情報管理、
組織の掟など、佐藤さんの体験談からリアルにその実情を
実感することができます。
・北方領土問題に取り組んでいた社会活動家である
末次一郎氏が主宰する永田町にある安全保障問題研究所の
事務所に、上司の指示に従って、秘密書類を運んだことが
何度もある(p92)
■佐藤さんは、外務省から粛清されたのは
外務省内に敵を作りすぎたことが原因であり、
人の感情、嫉妬に注意しろと言っています。
しかし、その一方で、
北方領土の解決に鈴木宗男とともに命を賭け、
日露の接近を望まなかった勢力から粛清されたが、
後悔していないとも言っています。
たぶん、両方が事実なのでしょう。
■私には、明治維新に奔走した志士がイメージされました。
世の中を変えようとする人は、短命です。
しかし、そうした人がいなければ、
世の中は変わらないのです。
北方領土と外務省関係の資料としては必読の一冊でしょう。
読み応えのある良書です。★5つとしました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・『貴様、嘘をつくな!』といえば、相手も『なに!』といって、
喧嘩になる。ところが、『お互いに正直にやりましょう』といえば、
誰も嫌な思いをしない。日本人はこの使い分けがわかっていない。
(ゲンナジー・ブルブリス元ソ連国務長官)(p11)
・小さいことでは約束を守り、信頼させて、
最後に一回大きく騙すというのはインテリジェンス交渉術では
よく使われる技法だ。・・・ロシア人に言わせれば、
騙す者が悪いのではなく、騙される者が間抜けなのである。(p37)
・相手に年額で600万円の工作費を渡すとしても、
毎月均等割で50万円ずつ渡すと最も効果が薄くなる。
ある月には全く渡さず、別の月には200万円渡すというような
やりかたが友人関係を装う上ではもっとも効果的だ。(p119)
・北方領土問題を解決し、日露の戦略的提携を深め・・・
米国、中国、ロシアとの間で勢力均衡外交を進めようとする
外交官たちには「宗男派」というレッテルが貼られ、放逐された(p398)
▼引用は、この本からです。
文藝春秋
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看板に偽りあり
どうしようもない「人間」という生き物のヤバい交渉術
佐藤氏のこれまでの本と似たり寄ったり
佐藤優とは何者か【私の評価】★★★★★(94点)
■著者紹介・・・佐藤 優(さとう まさる)
1960年生まれ。
85年同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。
在英国日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館勤務。
95年より外務本省国際情報局分析第一課、主任分析官。
2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。
05年執行猶予付き有罪判決を受ける。現在、上告中。
起訴休職外務事務官。
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■関連書評■
a. 「国家の罠」佐藤 優
【私の評価】★★★★★
b. 「インテリジェンス武器なき戦争」手嶋 龍一、佐藤 優
【私の評価】★★★★☆
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