「交渉術」佐藤 優

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交渉術

【私の評価】★★★★★(94点)


■今、話題の北方領土問題ですが、
 2002年に北方領土問題に取り組んでいた鈴木宗男さんとともに
 粛清された元外務省官僚 佐藤 優さんの一冊です。


 佐藤さんは、外務省の内部抗争で敗れた立場ですので、
 この体験の反省を含めて、この本を書いています。


■基本は交渉術なのですが、この本の面白さは、
 外務省という組織の内部の様子が
 よくわかるということでしょう。


 外務官僚の政治家との関係や、金の問題、情報管理、
 組織の掟など、佐藤さんの体験談からリアルにその実情を
 実感することができます。


  ・北方領土問題に取り組んでいた社会活動家である
   末次一郎氏が主宰する永田町にある安全保障問題研究所の
   事務所に、上司の指示に従って、
   秘密書類を運んだことが何度もある(p92)


■佐藤さんは、外務省から粛清されたのは
 外務省内に敵を作りすぎたことが原因であり、
 人の感情、嫉妬に注意しろと言っています。


 しかし、その一方で、
 北方領土の解決に鈴木宗男とともに命を賭け、
 日露の接近を望まなかった勢力から粛清されたが、
 後悔していないとも言っています。


 たぶん、両方が事実なのでしょう。


■私には、明治維新に奔走した志士が
 イメージされました。


 世の中を変えようとする人は、短命です。


 しかし、そうした人がいなければ、
 世の中は変わらないのです。


 北方領土と外務省関係の資料としては
 必読の一冊でしょう。


 読み応えのある良書です。★5つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・『貴様、嘘をつくな!』といえば、相手も『なに!』といって、
   喧嘩になる。ところが、『お互いに正直にやりましょう』といえば、
   誰も嫌な思いをしない。日本人はこの使い分けがわかっていない。
   (ゲンナジー・ブルブリス元ソ連国務長官)(p11)


  ・小さいことでは約束を守り、信頼させて、
   最後に一回大きく騙すというのは
   インテリジェンス交渉術ではよく使われる技法だ。・・・
   ロシア人に言わせれば、騙す者が悪いのではなく、
   騙される者が間抜けなのである。(p37)


  ・相手に年額で600万円の工作費を渡すとしても、
   毎月均等割で50万円ずつ渡すと最も効果が薄くなる。
   ある月には全く渡さず、別の月には200万円渡すというような
   やりかたが友人関係を装う上ではもっとも効果的だ。(p119)


  ・北方領土問題を解決し、日露の戦略的提携を深め・・・
   米国、中国、ロシアとの間で勢力均衡外交を進めようとする
   外交官たちには「宗男派」というレッテルが貼られ、
   放逐された(p398)


▼引用は、この本からです。

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【私の評価】★★★★★(94点)



■著者紹介・・・佐藤 優(さとう まさる)

 1960年生まれ。
 85年同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。
 在英国日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館勤務。
 95年より外務本省国際情報局分析第一課、主任分析官。
 2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。
 05年執行猶予付き有罪判決を受ける。現在、上告中。
 起訴休職外務事務官。


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