「ルトワックの日本改造論」エドワード・ルトワック
2024/04/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(94点)
要約と感想レビュー
出生率を増やす
アメリカの安全保障の専門家は、日本に対して、どのようなアドバイスをしているのでしょうか。日本の安全保障として防衛は大切ですが、それ以上に少子化対策としての出生率の改善が大切であるとしています。出生者数より死亡者数のほうが大きければ、長期的に日本は消滅するからです。
では、どうやって出生率を高めるのでしょうか。それはうまくいっているスウェーデン、フランス、イスラエルの真似をすればいいのです。これらの国で共通して行っている「五歳まで育児の無料化」をすれば出生率は上がるだろうというのが著者の提案なのです。
スウェーデン、フランス、イスラエルの三国は大学で教育を受けた女性が生涯に三人近く子供を生んでいる。この三国に共通するのが、「五歳まで育児の完全無料化」(p24)
空対艦ミサイルや対空兵器が必要
軍事面では、北朝鮮の核ミサイルへの対応としてミサイル防衛システムの充実が必要としています。日本のイージス・アショアの計画は中止となりましたが、既存のシステムを購入・設置していけばよいのです。ミサイルやレーダーを新規開発している余裕はないのです。
また日本には空母よりも、空対艦ミサイルを多数発射できる航空システムを提案しています。例えば、対艦ミサイルを50発積めるようにボーイング747-400を改造することです。また台湾を含めた防衛のために、小型の持ち運び可能な対空兵器や対艦ミサイルの開発・貯蔵を提案しています。必要な時が来たら、飛行機に乗せて、台湾など防衛が必要な場所へ運べばいいのです。
金正恩が、日本に向けて核やミサイルを撃とうとしているとき、・・「憲法の制約があるので何もできません。残念ですがあきらめてください」(p14)
戦争や紛争への事前準備
国家のリーダーは、国民の不満の目を逸らすために、戦争や紛争を利用することがあるとしています。したがって、常に戦争や紛争への準備を怠ってはならないのです。
例えば、韓国については、北朝鮮からの攻撃への対応として、省庁と南部に移転させることを提案しています。また、日本の尖閣諸島についても、日本の実効支配を明確にして、中国の尖閣侵攻を踏み留めさせるためにも日本人の常駐を提案しているのです。
著者の提案は現実的ですが、大胆にも感じます。しかし、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとハマスやイランの紛争を見ていると、著者の警告を無視してはならないと感じました。今こそ、読むべき本だと思います。ルトワックさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・韓国の行動の基本は、従属相手を切り替える点にある。彼らは日本に従属したあと、アメリカに従属した。そして、いまや中国に従属しようとしている(p31)
・イタリアや韓国のような国とは、・・統一した一つの実態として付き合うことはできないと覚悟すべきだ・・フィリピンとまともな同盟相手として扱うことができないのと同じである(p54)
・テクノロジー流出に関するスパイのケースは、大半が中国系アメリカ人によって行われている・・もう一つの盗み方は、中国の国家安全部との合弁企業を通じたものだ(p63)
【私の評価】★★★★★(94点)
目次
序章 戦略思考で日本を救う
第一章 韓国よ、歴史の真実に学べ
第二章"中国封じ込め"の時代
第三章 変化する北朝鮮と、その脅威
第四章 自衛隊と情報機関への提言
第五章 経済戦争と国家の本性
著者経歴
エドワード・ルトワック(Edward N. Luttwak)・・・戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問。1942年、ルーマニア生まれ。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学の学位を取ったあと、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される。専門は軍事史、軍事戦略研究、安全保障論。国防省の官僚や軍のアドバイザー、ホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーも歴任。
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