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「60歳からの教科書 お金・家族・死のルール」藤原 和博

2022/01/18公開 更新
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「60歳からの教科書 お金・家族・死のルール」藤原 和博


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー

 リクルートから民間学校の校長先生となった著者が自分の人生を振り返り、著者自身がどのように生きてきたのか教えてくれる一冊です。


 著者が考えてきたのは自分の希少性を高めることです。希少性を高めれば、時給も高くなるし、どこでも稼ぐことができる。では、どうやって希少性を高めるのかといえば、3つの異なる領域で、それぞれ1万時間以上の時間をかけるのです。例えば、職場で1万時間、子育てに1万時間、ではもう1つの分野は何にするのかが問題です。


 著者の場合は、30代で原因不明のめまいに襲われるメニエール病を患ってしまったこともあり、第3の分野として教育を選び、民間学校の校長として脱サラしたました。著者は自分で自分の人生を振り返り、20代の自分は世間が考える成功を追い求めていたが、病気をきっかけに自分が本当に求めるものを探し、行動し、チャレンジしてきたと総括しています。


・これまでの前半生とは、「早く、ちゃんと、いい子に」という呪縛を自力で解いた藤原和博が、他者も巻き込んで歩んできた歴史だった(p74)


 この本の中で著者の人生にも大きな影響を与え、もっともインパクトがあるのは、リクルートの課長だった著者と手塚治虫先生とのエピソードでしょう。著者はリクルート創業25周年の企画として手塚治虫先生とアニメ映画「ファウスト」を作ることにしたのです。ところが、手塚治虫先生が入院されることになり、同時にリクルート事件が起きてしまい、映画どころではなくなってしまいました。


 手塚治虫先生に映画の制作中止を伝えることになるのですが、手塚治虫先生の次の言葉を忘れることができず、涙を流したというのです。「この作品ができたら、私は死んでもいいんです」。著者は手塚治虫先生との出会いにより、自分に「死んでもいい」と思えるような目標が自分にあるだろうか?残念ながら自分にはない、必ず見つけなければならないと感じたというのです。


・はたして今取り組んでいる仕事は、自分がどうしてもやりたいものだろうか?「絶対にやり遂げる」という強い情念はあるだろうか?(p190)


 著者の60代へのお勧めは、自分を受け入れてくれるコミュニティづくりにお金をかけることです。60歳までは会社というコミュニティがありましたが、それがなくなることがわかっているのですから、事前に準備しておくのです。そしてまた、子育てが終わるので、夫婦の会話も減るでしょうから、夫婦でやれるプロジェクトを考えてみることも推奨しています。


 著者は「朝礼だけの学校」というオンラインの学校を運営しています。60歳を過ぎても時間はたっぷりありますので、著者のようにいろいろなことに取り組み、コミュニティを作ることが大事なのでしょう。まさに60歳への教科書という内容でしたのでお勧めします。藤原さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・私は結婚式に出ないことにしています。その代わり、親しい人から結婚の報せを受けた場合は、2人を個人的にお招きしてワインでも飲みながら、ゆっくりと話を聴くスタイルにしました(p101)


・自分のキャラクターを磨ける場所の見つけ方・・・それはあなた自身の、10歳頃の記憶です。何が好きでしたか?どんな人たちが周りにいましたか?(p119)


・次にどんなプロジェクトに夫婦で取り組むか(p161)


・何か物事を実行したら、勢いに乗って「DA・DA・DA」と3度修正を試みる。その結果、うまくいかなければ、そのプロジェクトからすぐ手を引けばいいのです(p264)


・プロを買う・・・プロの編集者に自分の文章を読んでもらい、ある程度の分量があれば、プロのデザイナーに装丁や中身のエディトリアルデザインをしてもらう(p113)


・1・・顧客接待・・社内接待・・2部下の査定・・3会議と根回し・・これら3つを称して、「SSK比率」(p100)


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▼引用は、この本からです
「60歳からの教科書 お金・家族・死のルール」藤原 和博
藤原 和博、朝日新聞出版


【私の評価】★★★★☆(87点)


目次

第1章 希少性――自分を「レア化」する
第2章 お金――自分の「物語」を豊かにする道具
第3章 家族――無限の「ベクトル」合わせ
第4章 死――死に方を決める「連峰型エネルギーカーブ」
第5章 自立貢献――貢献せよ、さらば自立せん



著者経歴

 藤原 和博(ふじわら かずひろ)・・・杉並区立和田中学校・元校長。元リクルート社フェロー。1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、 1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。 2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。2008~2011年、橋下大阪府知事特別顧問となる。


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この著者の本


コメント(1)

50代後半のワタシにとって、これからの生き方、考え方の参考になりました。

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