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「コロナ自粛の大罪」鳥集 徹(とりだまり とおる)

2021/09/30公開 更新
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「コロナ自粛の大罪」鳥集 徹(とりだまり とおる)


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー

クラスター認定されると2週間の業務停止命令

テレビ番組で新型コロナをインフルエンザと同じ5類扱いにして、特効薬としてイベルメクチンを配布すべし!と主張していた長尾医師を知りたくて手にした一冊です。この本では、長尾医師を含む7人の医師への新型コロナについてのインタビューを掲載しています。


現在、新型コロナは結核、SARSと同じ2類相当に分類されています。そのため、仮に民間病院でコロナ患者を受け入れてクラスター認定されると2週間の業務停止命令を受けてしまいます。他の患者さんの命を預かっている民間病院としてはそうしたリスクは取りたくないと思うのが当然でしょう。


つまり、民間病院でコロナ患者を受け入れている長尾医師は、業務停止命令を覚悟した特攻隊のようなもので、例外的な医師なのです。したがって普通の民間病院ではコロナを受け入れるはずもなく、ベッド数は世界一で、コロナ患者も欧米の10分の1、100分の1なのにコロナ用のベッドは少ないままで、すぐに医療崩壊状態になってしまうのです。


コロナ感染が起こったら保健所が飛んできて、2週間の停止をくらう・・・うちの場合は在宅患者600人の命を放棄することになる・・・コロナが2類相当だからです・・・ここまで市中に感染が広がったのに、いちいち保健所の許可が出ないと入院できないというのはおかしい(長尾)(p100)

80代以上の人でも延命治療

さらに、新型コロナの死亡率は60代で1.4%、70代で5%、80代以上で13%と高齢者だけが亡くなる病気です。コロナ前は延命効果の少ない80代以上の人は、人工呼吸器などの延命治療をしないという暗黙の了解があったのに、新型コロナではそうした高齢者まで延命治療をするようになってしまったという。


それまで延命治療をしてこなかった高齢者にまで4、5人必要となるECMOを使えば、簡単にベッドと医者が足りなくなるのは必然の帰結だったのです。毎日、新型コロナの死亡者数をテレビが報道している中で、この方はもう年ですので延命治療は辞めましょうなどとは、とても言える雰囲気ではなくなってしまったのです。


これまでは死に瀕した高齢者には「人工呼吸器は諦めてもらいましょう」・・・という暗黙の了解があった。ところが、今回のコロナのせいで・・・体力のない80代、90代の人・・に延命治療したら、ベッド塞ぎになるのは残念ながら当然なんです(和田)(p147)

日本の死亡者数は減少

そして、そもそも新型コロナで亡くなっているのは、70代以上で他の病気もあって体が弱くなっている高齢者です。そうした人たちは、コロナがなければ他の病気で亡くなっていた可能性も高いわけです。実際、過剰なコロナ対策で昨年の日本の死亡者数は減少しています。毎年約120~130万人亡くなっているのに、昨年は減っているのです。


そして毎日、何千人とがんや心筋梗塞で亡くなっているのに、毎日はるかに少ないコロナの死亡者数だけを「コロナで何百人死にました」と毎日報道されています。1年が過ぎても、20歳未満の死亡者はゼロです。コロナは風邪の一種であり、これまでの風邪だって死亡者がいたのに、日本人が冷静でなくなっていることに違和感を持たざるをえないのです。


この本では、飲食店の営業時間を短縮することに意味があるのか、旅行をほぼ禁止することに意味があるのか、日本の死亡者数は減ったけれども飲食店や観光業界を殺すことにならないのか、といった問題提起がありました。


65歳以上だけ2類にしましょうだったらわかるんです。高齢者こそが重症化リスクが高いんだから。なのに、若い人に飲みに行くなとか、大学の授業をリモートにしろとか、映画館を閉めろとか、出てくる政策自体が真逆なんですよ(長尾)(p120)

データに基づいて議論しよう

全員に共通しているのは、データに基づいて議論しようということです。飲食店の制限は効果がないのではないか。新型コロナはそれほど怖い病気ではないのではないか。他の病気で亡くなっている人もいるのに、なぜコロナだけ経済が活動を制約するのか。コロナで死ぬ人より、経済活動の制約で経済的に自殺する人が増えていないか。


日本は、「日本の新型コロナウイルス感染者は世界に比べると「さざ波」」と発言しただけで、批判され社会的に抹殺される社会です。だから「コロナを恐れるな」と言ってしまうと、コロナで何人も亡くなったときに、責任を取らされる可能性があるので、マスコミやテレビでは言えないのです。


より正確なデータに基づき、多くの意見を聞き、曇りのなき眼(まなこ)で見定める社会になってもらいたいものです。鳥集さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・新型コロナによってだけでなく、これまでもインフルエンザや一般的な肺炎で、家や施設にいる体力の衰えた高齢者が大勢亡くなっているわけです。今までは、そのような人たちは、病院で濃厚な治療(人工呼吸管理、ECMOなど)はされていなかった・・・(萬田)(p70)


・どこの国も政策というのは、統計数字に基づいて決めるんです。ところが日本は、こうした例外的なニュースで政策がコロコロ変わってします・・・「この数字で、ここまでするか」って誰だって思ってほしい。少なくとも医師には(和田)(p179)


・「時短営業」の無意味・・・僕自身は、正直意味がないと思っています・・・なぜ夜8時までなのか(長尾)(p91)


・医療業界は、「自分たちは頑張っている」と言いたいんです・・・そもそもコロナ用として全病床の数パーセントしか使っていないわけですから、一部の医療従事者に負担が集中するのは当たり前なんです(森田)


▼引用は、この本からです
「コロナ自粛の大罪」鳥集 徹(とりだまり とおる)
鳥集 徹,宝島社


【私の評価】★★★★☆(88点)


目次

第1章 「病床数世界一」でなぜ医療崩壊が起きるのか     
森田洋之(医師/南日本ヘルスリサーチラボ代表)

第2章 「コロナ死」だけを特別視するのはもうやめろ  
萬田緑平(緩和ケア萬田診療所院長)

第3章 5類感染症に指定すればコロナ騒動は終わる
長尾和宏(長尾クリニック院長)

第4章 長引く自粛生活が高齢者の健康寿命を縮める
和田秀樹(精神科医)

第5章 "未知のワクチン"を打つほどのウイルスなのか
本間真二郎(小児科医/七合診療所所長)

第6章 ほとんどの日本人の身体は「風邪対応」で処理
高橋 泰(国際医療福祉大学大学院教授)

第7章 国民は頑張っている。厚労省と医師会はもっと努力を
木村盛世(医師/作家/元厚生労働省医系技官)



著者経歴

鳥集徹(とりだまり とおる)・・・1966年生まれ、同志社大学大学院修士課程修了。会社員、出版社勤務等を経て、2004年から医療問題を中心にジャーナリストとして活動。


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「コロナ自粛の大罪」鳥集 徹


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