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新型コロナワクチンへの向き合い方「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」峰宗太郎

本のソムリエ 2021/01/21メルマガ登録
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「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」峰宗太郎


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 「知らないと不都合な真実」とは何か?と思いながら読んだ一冊です。米国で感染症を研究中の峰先生に、日経ビジネス編集部がインタビューした内容をまとめたものとなっています。


 すでに欧米ではコロナワクチンの接種が進んでいますが、これまでヒトに接種したことのない核酸ワクチンや最近実用化されたベクターワクチンといった新技術が使われています。従来の検証を省略しており、かなり多くの副反応が予想されるという。コロナで多くの人が死亡するよりは、若干の副反応で死亡者が出ることは許容できるという判断なのでしょう。


・本来20年かけてもおかしくないくらいの検証を思い切りすっ飛ばしている。ワクチンを開発している会社が、言わずもがなの「安全性と個人の健康を最優先する」ことを、あえて声明として出したぐらい"イケイケどんどん"になっている(p98)


 日本にはコロナワクチンに対して慎重派とイケイケ派がいるという。著者は慎重派で、コロナワクチンは時間をかけて慎重に接種していこうという考え方です。なぜならば、コロナで死亡するリスクよりはるかに小さいものの、一定の確率で副反応で健康被害や死亡者がでるからです。


 仮にコロナワクチン接種で2,3人が副反応で死亡したりすれば、マスコミが大騒ぎしてワクチン接種が止まってしまうかもしれないと、著者は予想しています。実際、止まってしまったワクチン接種の実例があるのです。


 一方のイケイケ派は、副反応で若干の犠牲が出ても数万人の命を救うワクチン接種をスピード感を持って進めていくという考え方です。未確認の副反応のリスクよりも、目の前で死んでいく数万人の命を救うことを優先するという考え方です。


・ワクチンが何万人の命を救っていても、副反応の方が2、3人出ちゃうと状況的にアウトになりかねません・・・本当に、慎重にやるべきなんです(p111)


 「知らないと不都合な真実」とは、日本人は数万人を救うであろうワクチン接種を、わずか数人の副反応で中止してしまう感情的で非合理的な民族である、ということではないかと思いました。そうした日本人の特性を過去の痛い経験から学んだ政策決定者は、たとえ数万人の命を救うであろうとも自分が責任を問われなくなるまでワクチン接種を拡大しないのです。


 日本でのコロナワクチン接種がどうなるのか、あまり期待せずに注目していきたいと思います。峰さん、良い本をありがとうございました。



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この本で私が共感した名言

・核酸ワクチンは、コロナ禍が起きるまでヒト用の医薬品として承認されたことがなかったテクノロジーのワクチンなんですね(p92)


・ゼロリスク志向が強い日本では、副反応が発生すると社会がパニックを起こして、接種がいきなり止まってしまう恐れがあります。そして、新しい技術である核酸ワクチンやベクターワクチンは、実際に副反応が起きる恐れがかなり高い(p108)


・ワクチン戦略・・・「リスクはある。けれど、これで高齢者や医療関係者の感染を防げる。医療関係に致命的なダメージが出ないように抑え込めるめどが立った」という認識が普及してくると、社会の意識がぐるっと変わると思います(p176)


・PCRの感度は7割程度・・・本当は陽性の人が100人いたとして、検査では30人は「大丈夫」だと思われてしまうって、これは素人目にも大変なことじゃないですか(p182)


・我々は正解が分からない中で対策を打たざるを得ない。じゃ、どうするか。あくまでも相場観でやるしかない・・・その湯加減がはどうすれば分かるかといえば、やってみた結果を見る、すなわちフィードバックで「熱過ぎるか、温過ぎるか」を判断するしかないわけです(p164)


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▼引用は、この本からです
「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」峰宗太郎
峰 宗太郎, 山中 浩之、日本経済新聞出版


【私の評価】★★★★☆(80点)



目次

第1章 新型コロナの基礎知識と振り返り
第2章 治療薬とワクチン、基礎の基礎
第3章「核酸ワクチン」への期待と不安
第4章 ワクチンとヒトの免疫、基礎の基礎
第5章 新型コロナ対策の「湯加減」
第6章 やっぱり知りたい、PCR検査
第7章「無制限PCR検査」が見せた理解のズレ
第8章 根拠の薄い話に惑わされない思考法
第9章 誰を信じるのか、信じていいのか?


著者紹介

 峰 宗太郎(みね そうたろう)・・・医師(病理専門医)、薬剤師、医学博士。京都大学薬学部卒業、名古屋大学医学部卒業、東京大学大学院医学系研究科修了。国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所、獨協医大埼玉医療センター勤務等を経て2018年より米国国立衛生研究所内アレルギー感染症研究所で研究中。


 山中 浩之(やまなか ひろゆき)・・・1987年日経BP入社。日経ビジネス編集部 シニア・エディター


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「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」峰 宗太郎, 山中 浩之
正しく怖がる感染症」岡田 晴恵
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