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「新型コロナワクチン: 遺伝子ワクチンによるパンデミックの克服」杉本 正信

本のソムリエ 2021/08/10メルマガ登録
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「新型コロナワクチン: 遺伝子ワクチンによるパンデミックの克服」杉本 正信


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

 著者は、アストラゼネカと同じウイルスベクター(VV)ワクチンの開発に取り組んだ経験のある研究者です。


 40年間もの基礎研究を経てエボラ出血熱で実用化されていたウイルスベクター(VV)ワクチンが、新型コロナウイルスのワクチンとして数千万人単位で接種されているのです。


 同じようにファイザーのmRNAワクチンもHIV感染症ワクチンとして臨床試験が行われていましたが、初めてヒトに大量に接種されることになりました。研究者なので、淡々とワクチンの仕組みや、公表されていないワクチン単価などを教えてくれるのがありがたいところです。


・一回接種あたりのワクチンの価格は、アストラゼネカ社のVVワクチンは約4ドルですが、ファイザー社のmRNAワクチンは約20ドル、モデルナ社のmRNAワクチンは約30ドルということです(p9)


 ファイザー社のmRNAワクチンもアストラゼネカ社のVVワクチンも遺伝子を使ったワクチンです。いずれも新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を作るように遺伝子レベルで設計されています。


 mRNAワクチンは、DNAがタンパク質を作るために転写して作るmRNAを人工的に作ったものです。


 ウイルスベクター(VV)ワクチンは、遺伝子の運び屋(ベクター)としてアデノウイルスの中に抗体の遺伝子を埋め込んでいます。


 著者が強調するのは、副反応がまったくないワクチンは存在しないということです。


 新型コロナウイルスの死亡率は30代、40代が0.1%、50代が0.4%、60代が1.7%、70代が5.2%、80代以上が11.1%です。アストラゼネカ社のワクチンでは2020万回接種で血栓症が79件で19人が亡くなっています。血栓症の死亡率は、0.0001%です。


 メリットとデメリットを考えれば、天然痘など多くの感染症を撲滅したワクチンを打たないという選択肢はないように思えます。


・ジョンソン&ジョンソン社のワクチンが680万回接種されており、うち脳の静脈にできる珍しい血栓症の報告が6件で1人が亡くなっています(p51)


 感染症ウイルスは兵器として研究されており、感染症がアステカ文明の消滅を早めたようにウイルスは人類を絶滅させる可能性を持っています。核兵器に対して、弾道ミサイル防衛システムが開発されているようにウイルス兵器に対して、遺伝子ワクチンが開発されているのでしょう。


 中国から新型コロナウイルスが拡散したのは残念なことではありますが、中国発の新型ウイルスに対し1年でワクチン開発できたのは朗報だと思いました。


 杉本さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・中国による新型コロナ感染症の隠蔽・・・1月最初の数週間、武漢市の当局者は、新型コロナウイルスに感染した動物に接触した人にのみ感染すると主張し、ヒトからヒトへの感染を否定していました(p117)


・レムデシベルとステロイド薬の併用療法は、入院時の重症例の死亡を抑制する(p101)


・乳児の時期にBCGワクチンを接種すると何年もの間結核菌以外のいろいろな感染症に対する抵抗性が出てくることが知られています(p67)


・橋爪壮博士が開発した天然痘生ワクチン・・・LC16m8株は、今日でもわが国のバイオテロ対策の国家備蓄ワクチンとして蓄えられています(p123)


・2019年の世界におけるHIV感染者は3800万人、抗HIVの治療を受けている人は2540万人です。170万人が新たにHIVに感染し、そのうち69万人がエイズに関連する疾病により死亡しています(p19)


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▼引用は、この本からです
「新型コロナワクチン: 遺伝子ワクチンによるパンデミックの克服」杉本 正信
杉本 正信、東京化学同人


【私の評価】★★★☆☆(77点)



目次

第1章 過去のパンデミックの克服と教訓
第2章 新型コロナ遺伝子ワクチンの全貌
第3章 新型コロナ遺伝子ワクチンと免疫
第4章 スピーディーな遺伝子ワクチン開発の背景
第5章 変異株とワクチン
第6章 ワクチンを補完する薬
第7章 動物由来のウイルスとその遺伝子ワクチン
第8章 パンデミックと国家安全保障


著者紹介

 杉本 正信(すぎもと まさのぶ)・・・1943年生まれ。東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了。薬学博士。専門は細胞生物学。国立予防衛生研究所主任研究官、東燃(株)基礎研究所主席研究員、この間、ハーバード大学医学部研究員として免疫、ウイルス研究に従事。その後、ジーンケア研究所で老化の研究に取り組む。現在、サイエンス・ライター。


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「ワクチン鎖国ニッポン―世界標準に向けて」大西 正夫
「ワクチン学」山内一也、三瀬勝利
「新型コロナワクチン: 遺伝子ワクチンによるパンデミックの克服」杉本 正信


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