「陸王」池井戸 潤
2016/09/28公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
創業百年、足袋(たび)の製造を続けてきた社長の宮沢は、追い詰められていました。足袋の需要は減少し、銀行からの融資も難しくなってきた。この苦境を脱するためには、新たな収益源が必要です。そこで注目したのが、先代が開発していたランニング足袋『陸王』でした。
しかし、金もない、技術もない、人もいない、ブランドもない。技術がないので、ソールの新素材は、3年限定での共同開発にする。人がいないので営業マンは、同業他者から退職した人を雇用する。銀行は金を貸してくれないので、同業者からのれんを担保にした融資を受ける。なにもないところからの商品開発には、壁がたくさんあるのです。
・私は経理屋です、社長。・・たしかに新規事業が成功したときの果実は大きいでしょうが、失敗しないとも限りません・・もしものときを考えて止めるのは私の役目です(p300)
中小企業は簡単に失敗できるほど体力がないうえに、信用がないので契約条件も悪くなってしまう。下町ロケットのような娯楽ではなく、中小企業の現実を伝えようとする一冊でした。頑張るだけでは成功できないんだよなあ。池井戸さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・なんで、飯山さんみたいな人がさ、倒産しちまうのかな・・世の中ってのは、ただ一生懸命に頑張るだけじゃ報われないこともあるんだよ(p357)
・踵から着地してつま先で蹴る・・ヒール着地といいます。重心のかけ方などにもよりますが、そういう走り方だと、特に初心者の場合、たとえば一般にランナー膝と呼ばれる腸脛靭帯炎といった故障を起こしやすい(p38)
・一度会社を潰して他人に迷惑をかけた人がですよ。誰かの支援があって、また会社を興すとするじゃないですか。ところが、今度こそ、と再出発したはずなのに、何年かするとやっぱりその会社もダメにして取引先に迷惑をかける・・よく聞く話です(p209)
・「ちょっとしたこと」に気づいて乗り越えるまでが、実は「たいへんなこと」に違いない(p255)
▼引用は下記の書籍からです。
【私の評価】★★★★☆(81点)
著者経歴
池井戸 潤(いけいど じゅん)・・・1963年生まれ。三菱銀行勤務を経て、「果つる底なき」で江戸川乱歩賞受賞。著書多数。
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