「穀物メジャーを撃て!」御醍醐 龍太
2016/09/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
■米国の日系農園オーナー秘書、
アメリカ大使館勤務、
経済シンクタンクCEO、
敵対的M&A対策アドバイザー
などの経験を持つ著者が書き下ろした
アンダーグラウンド小説です。
その背景設定は、
日本への農産物輸出拡大を目指す
穀物メジャーが、
良質のコメを生産していた日系農園の
乗っ取りを画策するというもの。
乗っ取りを指示したのは、
元CIAの穀物メジャー日本支店長であり,
その手先となったのは日米のヤクザでした。
この乗っ取りを防ぐために
日系農園の代理人となったのが
日本の裏社会から引退し、
カルフォルニアで画家として
活動していた後醍醐なのです。
・日本の行政がプロパガンダしている『外米はまずい』という神話を打ち崩すことから始めなければならない。『アメリカ製の車が日本で売れないのは品質のせいで、規制が多いからではない』という彼らの不条理な詭弁をコメで論破する必要があるのだ(p73)
■面白いのは、出演者が
日本進出を目指す穀物メジャー役員、
CIAとFBIの工作員,
日本の極道、アメリカのマフィア、
企業オーナー、弁護士など、であり、
その業界の常識と思考回路が
まったく分からないことです。
もちろんビジネスの交渉は、
金と利権の相互利益の調整です。
しかし、裏の世界は、相手の弱みを探り、
時には実力行使の恐怖感を与えながら、
落としどころを交渉していく代理人が存在し、
どういった思考回路を持っているのかが
よくわかりました。
鉄の仁義を持つマフィア、
法を背景にした弁護士、
CIA、FBIといった国家組織を
相手にするには、
相応の知力と財力と胆力を持った
実力者でなくては
対応できないのです。
・アメリカ市場を狙った日本の闇社会が、一番恐れているのが米国IRSと移民局です・・脱税が発覚すれば司法当局の制裁はシンジケート以上に過酷だ(p130)
■どこまでが本当なのか、
わからないところが面白い。
私の仮説は70%が、
著者の経験に基づくものと
想定しました。
国際企業や国家機関、そして
裏社会の暗闘を
後醍醐さん、
良い本をありがとうございました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・パワーゴルフとは盗聴やインサイダー取引の誘発をふせぐために、余人を交えずトップ同士がグリーン上でゴルフをしながらM&Aなどの密談を交わすことである(p26)
・第二次世界大戦後のマーシャルプラン、つまり食糧援助という美名に隠された占領政策の数々が後醍醐の脳裏をかすめた。GHQによる日本政府への小麦の無償提供は、伝統ある日本の食文化を完全に変えてしまった(p28)
・ハワード・ヒューズはその昔、自分が目を付けた女優を手にするため、彼女が所属する映画会社を買収したという噂だ(p141)
▼引用は、この本からです。
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【私の評価】★★★★★(93点)
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