「仕事師たちの平成裏起業」溝口 敦
2007/07/05公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
テレビを見ると、振り込め詐欺、高利貸し、総会屋、マフィア、カルト集団などで生計を立てている人たちがいることがわかります。テレビでは「実際の儲けの構造はどうなっているのか?」というのはわかりません。しかし、この本でわかります。
振り込め詐欺は、いまも活動しています。うまくやれば、金を払った人が詐欺に会ったとわからない場合もあるのですから、表に出ているのは氷山の一角なのでしょう。また、電話をかける係と、金を受け取る係を分けて、誰かが逮捕されても、他の人に足がつかないようにしています。
・振り込め詐欺・・・警察に捕まっても、吐かない、罪を上に及ぼさないと信用できる人間を引き下ろし専門で雇っています。この人間に1回20万円くらいずつ、小口で何度も引き出させる。(p29)
消費者金融のグレーゾーン金利は撤廃される方向ですが、裏金融を必要とする人は必ずいます。これで裏金融はさらに儲かるという。
裏金融の儲けのコツは、10万円以下の小口で貸すことです。10万円を踏み倒すために逃げる人は少ないのです。高利で少額を貸して、回収率を高めるのです。
・トイチ金融・・・貸すのは5万から、多くても10万円まで。・・・簡単に身元や名前を確かめた後、市販の借用書に署名させる。・・・利息は前払いだから、10万円の貸金でも利息、書類代、紹介料の各1万円、計3万円を引き、実際は7万円しか渡さない(p35)
また、圧力団体で食べている人もいるようです。差別撤廃、環境保護など理由をつけて、企業・行政組織からお金を引き出すわけです。環境保全が金になるというのが、意外でした。発電所や廃棄物処理などに嫌がらせをして金をもらうのでしょうか。
・暴NPO・・・カネになるのは環境保全と消費者保護だね。企業や行政のやっている事業や工事、製品に文句をつけやすい・・・圧力団体になれることでカネが発生する(p84)
その他にも出会い系サイト運営、偽バイアグラ、偽造カードなど犯罪の儲けの仕組みがこの本でわかります。裏から見ると世の中が見えてくる。興味深く読みましたので、★4つとしました。
この本で私が共感した名言
・保証人提供屋・・中国人、イラン人は事故率最悪です。当初から扱わないようにしてきた。一般的にムスリム、ユダヤ教関係の国が悪く、スリランカやミャンマーなど仏教国はそれほど悪くない。コロンビアやペルーなど、中南米の国も悪い。(p43)
・中国エステの内装は中国人の内装屋がやる。内装屋は工事に使う材料なんかにカネを出さず、日本の業者が道に出している材料をトラックで盗んでくる。だから工事費が安く(p132)
・ニコイチ屋・・・盗難車に別の車の車検証をつけ、堂々保険も掛けられる正規の車に仕立て、安値で販売する。・・・車台番号やコーション番号などを打ち替えるわけです(p221)
▼引用は、この本からです。
小学館
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頭いい人が書いた本
もっと斬新さが欲しかったです。
【私の評価】★★★★☆(88点)
著者経歴
溝口 敦(みぞくち あつし)・・・1942年生まれ。早稲田大学政経学部卒業。暴力団や中国マフィアなどの犯罪組織から宗教、食の安全まで丹念な取材で幅広くレポートを発表。2003年「肉食の帝王」で講談社ノンフィクション賞受賞。「池田大作・権力者の構造」「あぶない食品」ほか著書多数。
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