「夜の樹」トルーマン・カポーティ
2024/07/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(69点)
要約と感想レビュー
あらすじ
■「ミリアム Miriam」のあらすじは、夫と死別した老女が、街でミリアムと名乗る少女に出会う。この少女が怖いのだ。
■「夜の樹 A Tree of Night」のあらすじは、女子大生が夜汽車で変な男と女にまとわりつかれるというお話。
■「夢を売る女 Master Misery」のあらすじは、貧乏な女が夢を売って金にしているのだが、なぜか同じように夢をうるオジサンと仲良しなのだ。
■「最後の扉を閉めて Shut a Final Door」のあらすじは、すべて環境が悪いと考える孤独な若者がでてきます。彼は問題ばかり起こすのですが、なぜか自分のために動けないのです。
■「無頭の鷹 The Headless Hawk」のあらすじは、画廊につとめているヴィンセントが、画廊に訪れた娘から絵を買い取ります。娘は50ドルを求め、彼は30ドルに値切ります。買って欲しいと訊きます。
■「誕生日の子どもたち Children on Their Birthdays」のあらすじは、アメリカの田舎町に十歳の都会の少女、ミス・ボビットがやってくる。少女は、都会でデビューしようとするのだが、悲劇が起こる。
■「銀の壜 Jug of Silver」のあらすじは、田舎のドラッグストアで空き壜に5セント玉と10セント玉を詰め、いくら入っているか当てた人に全額プレゼントという懸賞を行った。これを当てようとする少年と妹がやってくる。
■「ぼくにだって言いぶんがある My Side of the Matter」のあらすじは、白人の主人公が南部の彼女と結婚し、南部へ引っ越すのです。そこでまっていた二人のおばさんは、主人公をチビと馬鹿にするのです。南部のカラードと白人の対立を描いたドタバタ劇。
■「感謝祭のお客 The Thanksgiving Visitor」のあらすじは、主人公の嫌いな同級生が感謝祭に家に招待されることにはじまります。同級生は家の宝石を盗むのだが、それを主人公は見てしまう。同級生を嫌いな主人公は、みんなの前で泥棒を告発するのだ。
感想
短編小説集なので、前半は落ちのない不思議な終わり方をする小説が多く、後半の小説は落ちがあるもので読みやすく感じました。前半のもわもわした消化しきれない感覚は、「笑うセールスマン」のような暗く気持ちの悪い不可思議なストーリーなのです。
また、ところどころにアルコール依存症の話が出てきたり、白人を尊重する表現が多いと感じました。これは著者が、アルコールと薬の依存症であったためだと思われます。ちなみに著者のカポーティは、ゲイを自認していました。カポーティさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・この地上ですることとなると?盗み、物乞い、それに夢を売る。それもこれもウイスキーが欲しいからさ。酒瓶なしに青空を旅するなんて出来ないからね(「夢を売る女」)(p80)
・ニューヨークには、男なんかいないって・・これまで会った男はみんな、ちょっとでも魅力のある男はみんな、結婚しているか、貧乏で結婚できないか、それともゲイかよ(「夢を売る女」)(p87)
・どうして私がここにいるの?・・どうしてって、君を愛しているからさ・・その人たちどうなったの?・・その人たちって?・・前にあなたがいまの言葉をいった人たちのことよ(「無頭の鷹」)(p168)
・その子は嫉妬からあなたをいじめているだけなのよ。だって、その子はあなたのように賢くもないし、きれいでもないでしょう「感謝祭のお客」(p299)
【私の評価】★★☆☆☆(69点)
目次
ミリアム Miriam
夜の樹 A Tree of Night
夢を売る女 Master Misery
最後の扉を閉めて Shut a Final Door
無頭の鷹 The Headless Hawk
誕生日の子どもたち Children on Their Birthdays
銀の壜 Jug of Silver
ぼくにだって言いぶんがある My Side of the Matter
感謝祭のお客 The Thanksgiving Visitor
著者経歴
トルーマン・カポーティ(Truman Capote)・・・(1924-1984)1924年ニューオーリンズ生まれ。19歳のときに執筆した「ミリアム」でO・ヘンリー賞を受賞。1948年『遠い声、遠い部屋』を刊行し、「早熟の天才」と絶賛を浴びる。著書に『夜の樹』『草の竪琴』『ティファニーで朝食を』『冷血』『叶えられた祈り』など。晩年はアルコールと薬物中毒に苦しみ、1984年に死去。
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