「ダ・ヴィンチ・コードの謎を解く―世界的ベストセラーの知的冒険ガイド」サイモン コックス
2019/08/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
要約と感想レビュー
「ダビンチ・コード」はキリスト教の知識がないと楽しめません。
キリスト教会ではキリストを神と定義し、処女マリアから生まれたとしています。仮に、キリストが結婚してその子孫が現代まで生き延びているとすれば、教会の教義が崩壊することになるのです。
・議論のベースは、ブラウンがさまざまな反体制的歴史書物から導き出した"解釈"、すなわち、キリストはマグダラのマリアと結婚して子供をもうけ、その血脈が綿々と続いている、とする点にある。「キリストは神の子ではなく"血肉の通った人間"だった」と言うのだから、その神性に疑問を投げかける重大な概念、仮説である(p12)
そのキリストの子孫を守っていたのが、テンプル騎士団であり、その役割をシオン修道会が引き継いでいたというのがダビンチ・コードの仮説です。つまり、聖杯とはキリストの血脈の比喩であり、聖杯が「磔刑の折にキリストの血を集める」のに使われたという逸話から、キリストの血統と聖杯を結びつけるものなのです。
いずれにしろ、この本だけでは理解できませんでした。もう少し学んでみます。コックスさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・カタリ派の信条が、イエスとマグダラのマリアは結婚したために地に堕ちた・・・1209年、教皇インノケンティウス三世はカタリ派撲滅の十字軍を派遣した。カタリ派の町、アルビの名を取って、アルビ十字軍と呼ばれた討伐隊はきわめて血に飢えた酷薄な軍隊で、カタリ派からカトリック信者まで何千もの命を奪った・・1320年には主だったカタリ派の指導者全員が異端者として火あぶりにされ、以後カタリ派が復活することはなかった(p56)
・最古の武装修道士の集団、テンプル騎士団は、1118年にフランスのシャンパーニュ出身のユーグ・ドゥ・バイヤンという騎士と八人の仲間が、エルサレムを支配する総大司教の前で永遠の誓いを立てたときに結成された。原則として彼らは施し物で生活し、キリストの清貧騎士団と呼ばれていた(p139)
・1312年、クレメンス五世は勅書『ヴォクス・イン・エクセルソ』によってテンプル騎士団の解体を宣言する。団の所有地はもうひとつの軍隊セクト、ホスピタル騎士団に受け継がれたが、フランスではフォリップ四世が死去するまで王家の管理するところとなった。総長ジャック・ドゥ・モレーは一旦は拷問に屈して異端を認めたが後に撤回し、1314年に火あぶりに処せられて死んだ(p64)
・『ダ・ヴィンチ・コード』の大半は・・ソフィーにさまざまな情報を与える形式で書かれている。その中に、近代キリスト教会の教義上の信念を体系化し、聖書からいくつかの福音書が削除されたのは、大帝コンスタンティヌスの教唆によるものだという件(くだり)がある(p68)
・コプト教会とは、エジプトのキリスト教に与えられた名称で、一世紀初頭にエジプトにキリスト教を伝えた聖マルコの教えが基礎になっている。当時からコプト教会は独自の教皇を据え、現職の教皇シェヌーダ三世は、聖マルコ時代から数えて第117代のアレクサンドリア総主教に当たる(p73)
・ギリシャ文字「ファイ(Φ)」で知られる黄金比は、いくつかの珍しい属性を持つ無理数(ふたつの整数の比や分数で表せない数)のひとつである。定義は「その逆数に1を足した数に等しい数字(Φ=1/Φ+1)」で、その値は常に1.618033989で表される。小数点以下の数字は1996年に一千万桁まで計算されたが、同じ数の並びは決して循環しない。また、フィボナッチ数列のふたつの隣り合った数字の大きい方を小さい方で割ると、答えは常にΦとほぼ同じになる(p99)
・キリスト教にとっての異端者とは、教会の正統信仰、もしくは眼目となる価値基準や教義に反する視点を持つ人のことをいう。「異端」は背教、信仰の完全な放棄、あるいは宗派分裂や教会からの分離とは区別され、おうおうにして、教義の問題というよりは階級は規律に関する「異論」や「反論」として持ち出される・・異端はたいていの場合、個人レベルや小グループ単位の破門処分で済まされたが、中世の教会は軍事行動まで起こした(p109)
・聖霊と神聖な性を強調するベヤール兄弟版カトリック信仰は特に愛国主義に密着して多方面から支持を集めていたが、1852年、"黒ミサ"を執り行っているとして、案の定、非難の対象となる。以後、キリスト教において聖なる性を掲げる運動は一切地下に潜り、そこでは有り余る純粋な(ときにはそれほど純粋ではない)"奥義"が増殖した(p113)
▼引用は下記の書籍からです。
PHP研究所
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
目次
「東方三博士の礼拝」―ダ・ヴィンチの隠蔽工作
アルビ(アルビジョア)十字軍―異端撲滅運動
アンク(アンサタ)十字―ジャック・ソニエールのコレクション
マヌエル・アリンガローサ―オプス・デイの枢機卿
アスモデウス(アシュマダイ)―鬼形の守護神
アトバシュ・サイファー(暗号)―ヘブライ語の暗号システム
バフォメット―テンプル騎士団の偶像神
クレアヴォーの聖ベルナール―聖杯伝説の理解に欠かせない人物
シスター・サンドリーヌ・ビエイル―名前に隠された系譜
黒マドンナ(像)―黒色の聖母マリア〔ほか〕
著者経歴
サイモン コックス (Simon Cox)・・・定説、正統信仰、欺瞞的真実への挑戦を旗印とするアメリカの雑誌『フェノミナ』の編集長。リサーチャーとして、ロバート・ボヴァル、デイヴィッド・ロール、グレアム・ハンコックら、新説歴史分野の大物作家との仕事も数多い
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