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「安いニッポンからワーホリ!:最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち」上阪徹

2024/01/10公開 更新
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「安いニッポンからワーホリ!:最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち」上阪徹


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

ワーキング・ホリデーとは

外国人技能実習生の失踪・不法就労が問題となっていますが、日本で足りない人材はワーキングホリデーで外国人を活用するればいい!と言っている人がいたので読んでみました。


そもそもワーキング・ホリデーとは、文化交流を目的に、若い旅行者が、旅をしながら短期雇用で収入を得ることができる仕組みです。具体的には、2国間の協定によって、滞在期間は最長1年間で18歳から30歳(国によっては25歳)の就労が認められる制度です。


この本の最初に、オーストラリアの農場で実働6時間のブルーベリー摘みアルバイトで月収50万円と書いてあり、円安の影響で日本よりも稼げる状態にあるようなのです。


ワーキング・ホリデー・・1980年。オーストラリアとの間で最初に制度ができた・・今は29か国・地域になっている(p28)

仕事を見つけるのは簡単ではない

主にオーストラリアのワーキング・ホリデーについて取材していますが、仕事を見つけるのはそんなに簡単ではないと感じました。オーストラリアに入国したと仮定しましょう。就業先として人気のカフェ店員になろうとしても、英語が流暢ではない日本人をカフェで採用する理由はないのです。結局、働きたいという熱意を買ってもらうしかないので、カフェ何十件にも履歴書を送ったり、何か月もカフェに通ってなんとか雇ってもらった事例が紹介されています。


一方で、地方の農場での仕事は人気がないため3か月農場で働くと2年滞在でき、6か月農場で働くと3年滞在できるという仕組みがあるという。このように人気のない仕事にはご褒美を出すけれども、人気のある仕事はガチ競争というのは合理的な仕組みといえるのでしょう。


オーストラリアの最低賃金は約2000円・・・賃金に25%以上の臨時雇用追加金を上乗せした金額を受け取ることができる(p31)

英語ができることが最低条件

後半は海外に定住して稼ぐことについて記載されていますが、これもハードルは高いと感じました。基本的に英語ができなければ、あえて日本人を雇う理由がなければ、雇われるはずがないのです。


この本では、IT技術者として就職した人、看護婦として働いている人が紹介されています。看護婦や介護職は人材不足で、待遇も有給休暇が1年に6週間もらえるなど良いのです。これも需要と供給の関係によるわけで、永住権を取りやすい仕事として、会計士、大学教授、経営コンサルタント、エンジニア、大工などが紹介されています。


最大5年の外国人技能実習制度と比較して、ワーホリは原則1年なのでオーストラリアのように条件をつけて2年、3年と延長すれば代替えできるかもしれないと感じました。上阪さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・オーストラリア・・電車に乗っても、暗い人がいない。疲れている人を見かけない。だから未来がある感じがするんです(p58)


・オーストラリアなら年間1万人弱、日本人がワーホリで入国している(p124)


・オーストラリアで賃金が上がっている理由は、労働者が声を上げているからだ・・賃金を上げてくれなければ会社を去るぞ、とやるわけである(p184)


▼引用は、この本からです
「安いニッポンからワーホリ!:最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち」上阪徹
上阪徹、小学館


【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

第1章 毎日が、人生が、変わった!
第2章 なぜ仕事を辞めてワーホリに?
第3章 進学、起業、国際結婚
第4章 ワーホリを希望する若者たち
第5章 英語、英語、英語─ワーホリに絶対に必要なスキル
第6章 なぜ、オーストラリアの最低賃金は高いのか?
第7章 ワーホリで得られる10のこと



著者経歴

上阪 徹(うえさか とおる)・・・ブックライター。ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。


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