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「働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる」橘 玲

2023/05/02公開 更新
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「働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる」橘 玲


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

働き方2.0とは

働き方2.0って何?と読みはじめました。働き方2.0とは成果主義であり、年功序列から日本は成果主義に移りつつあるという前提で話は進みます。一方、世界はプロスポーツチームのようなスペシャリスト集団に変わりつつあり、これが働き方3.0となります。


実際、海外のGAFAなどのネット企業では専門職であればすべての社員が年収数千万円です。そのため日本企業の優秀な技術者がGAFAなどの外資系企業に引き抜かれているという。能力のある人にはそれなりの処遇をしないと、他の会社に転職してしまうという状況が、日本でも常識になってきているのです。逆に言えば、日本は今でも年功序列の傾向が強いということなのです。


働き方1.0 年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行 
働き方2.0 成果主義に基づいたグローバルスタンダード 
働き方3.0 プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型 
働き方4.0 フリーエージェント(ギグエコノミー) 
働き方5.0 機械がすべての仕事を行なうユートピア(p3)


リベラル化とは

面白いののは、世界はリベラル化、グローバル化によって、人種や性別、出身によって差別されない平等な社会を目指してきました。その結果、移民が大量に流入し、学歴社会となり、貧富の差が拡大しているのです。日本のリベラルというと、平等!差別するな!と叫んでいる印象がありますが、実は平等とは能力に応じた平等なので、格差は拡大するのです。


リベラル化、グローバル化が進まない日本は遅れている!と批判する人もいますが、移民の大量流入がなく、失業率が低く、格差の少ない日本をうらやましいと考える欧米の人がふえているというのです。アメリカではアファーマティブアクション(積極的差別是正処置)によって黒人に仕事を奪われ、ヨーロッパでは移民によって白人の仕事が奪われていることに恐怖と怒りを感じている人が増えているというのです。進みすぎた、リベラル化、グローバル化への反動なのでしょう。


・いまでは欧米の知識人が「日本がうらやましい」といいはじめています・・1人口減で失業率が低い、2移民の大量流入がない、3SNSの普及度が他国の比べて低いことでポピュリズムへの耐性が高い(p264)


年功序列の良い面、悪い面

実は私は、「海外はこうで、日本は遅れている」といった橘さんの論調が好きではありません。もちろん欧米のほうが進んでいることもありますが、プラスがあればマイナスもあるはずだからです。


日本の会社は年功序列の傾向が強いので、リスクをとらずにひたすら失敗を避けた人が出世する傾向にあるのは事実でしょう。その一方で、能力がなくてもそこそこ仕事をしていれば、職を失うことはない安心感があるのも事実なのです。ゼネラリストを養成するという名目でスペシャリスト(専門家)を養成しないのもゼネラリストを養成しているから、異動に文句も言わず従う人が多いのでしょう。


ただ、日本も世界の流れに影響されるのは事実で、こうした本を読んで、10年後に後悔しないように自分なりに準備しておくことが大事だと思いました。日本の会社に絶えられなければ、良い面、悪い面を考慮したうえで外資系企業に転職すればよいのでしょう。橘さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・もっともゆたかな20%のひとびとは、もっとも貧しい20%のひとびとの何倍ゆたかか?・・・もっとも格差が小さいのが日本(p150)


・オランダでは1996年の「労働時間差別禁止法」で労働時間のちがいにもとづく労働者間の差別が禁止され(パートタイム労働者が「短時間正社員」になった)(p64)


・スウェーデンも、かつては社会保障は世帯単位で行っていましたが、・・個人単位に切り替えました。現在のスウェーデンでは自分で年金保険料を納めなければ年金を受給する資格はなく、これが女性の就業率を引き上げています(p88)


・先進国最多の祝日・・時給で仕事をしている非正規社員は月収が大幅に減(p96)


▼引用は、この本からです
「働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる」橘 玲
橘 玲、PHP研究所


【私の評価】★★★☆☆(75点)


目次

1 生き方・働き方が衝撃的に変わる未来 
2 前近代的な身分制社会・日本 
3 会社や管理職はなくなるのか? 
4 「未来世界」で生き延びる方法


著者経歴

橘 玲(たちばな あきら)・・・1959(昭和34 年)年生まれ。作家。 小説に『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)、『ダブルマリッジ』(文藝春秋)ほか。ノンフィクションに『幸福の「資本」論』、『80's』、『朝日ぎらい』、『言ってはいけない 残酷すぎる真実』『もっと言ってはいけない』など


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