【書評】「(日本人)かっこにっぽんじん」橘 玲
2017/05/31公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
要約と感想レビュー
日本人は西洋人より個人主義
いつも冷めた目で世の中を観察している橘さんが考える「日本人」考です。
橘さんの頭の中には、日本人は宗教や権威の縛りがない自由人であり、日本人は西洋人より個人主義ではないのか、という仮説があるようです。
確かに、敗戦後の経済の自由化と経済成長によって、日本人は農村の共同体から自由になったのです。ただし、会社という共同体に所属するようになりました。しかし、日本の「終身雇用」では60歳になれば「定年」という名の強制解雇が待っているのです。
後期近代は、そのゆたかさによってひとびとを共同体の拘束から解き放った・・「自分らしく生きたい」という当たり前の願望が際限のない不安を生み出す(p364)
大家族が減り自分の居場所がなくなった
経済成長のころから、大家族が減り核家族化、一人世帯は増えてきました。家族、地域という共同体から人が解き放たれたという面あるし、自分の居場所がなくなったとも言えるのでしょう。
そうして人は、「自分らしさ」とは何なのか?と考えるようになってきたのです。日本というのは、自由なゆえに悩みの多い国なのかもしれません。
共同体は構成員を拘束し、自由を奪うが、その代わりに安全や帰属意識といった大切なものを与えてくれる(p368)
日本は省庁連邦国家
そして現在の日本は、「省庁連邦国家」であるとしています。行政・立法・予算の編成権までも支配している省庁が、各業界の代表として国を動かしているのです。
各省庁は法によらない通達によって規制の網をかけ、許認可で規制を自由に変更していくことで業界を支配し、天下り先を確保しているのです。
そういう見方もできますね。橘さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・アダム・スミスの大発見は、「ゆたかさの秘密は分業にある」(p170)
・アメリカでは、人種や宗教、性別や年齢で社員を差別することが許されない。だからアメリカには定年がないし、履歴書には生年月日を書く欄も、写真を貼る場所もない・・そのために唯一残ったのが「能力」による評価だ(p218)
・フリードマンの思想は・・・徹底した民営化によって肥大化した行政システムを効率化し、国家による規制を最小限にして市場の潜在力(見えざる手)を最大化すること(p317)
・アメリカでは、肥満・喫煙・不倫はエグゼクティブに不適格とされている・・さらには、感情を爆発させたり、平静さを失ったり、自然な笑顔を浮かべられないことも「自己コントロール」できない証拠と見なされる(p363)
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
目次
ほほえみの国
1 LOCAL
2 GLOBAL
3 UTOPIA
著者経歴
橘 玲(たちばな あきら)・・・作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設のメンバー。2002年、金融情報小説『マネーロンダリング』でデビュー
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