「人生が変わる大人の独学記憶術」池田 義博
2023/05/01公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(89点)
要約と感想レビュー
記憶のコツ
著者は40代で記憶術と出会い、たった1年のトレーニングで記憶力日本選手権大会で6回優勝したという。その記憶テクニックを教えてもらえる!と思って読んでいったら、通常の試験向けの勉強法でした。はじめに記憶のコツは、覚える情報に、自分だけにわかるような意味づけをすることであり、集中力を高めて、感情とつなげ、復習することで記憶は強化されるという。
だから語呂合わせで年代を覚えたり、電話番号をほかの言葉に見立てて覚えるのは合理的なことなのです。「マンガでわかる○○」といったような本を最初に読んでおくとイメージとつなげやすくなります。「3回音読」すれば、復習効果で記憶が定着するのです。
文章をイメージを浮かべながら繰り返し音読する方法や、何度も書き出す方法、覚える項目を1分間で思い出せる限り書き出す方法もあり、これらは動作と復習とイメージを組み合わせた暗記法といえるのでしょう。
情報の形を変える・・場面をイメージする・・内容を図解する・・誰かに説明する(p41)
やる気と集中力の高め方
興味深かったのは、勉強にしろ大会向けのトレーニングにしろ、いかにやる気と集中力を高めるのかということです。最初の一歩が難しいというのは、誰でも同じなのです。著者の場合は、記憶力大会で優勝するというプラスのイメージで、自分をわくわくさせたり、「大会で優勝できなければ恥ずかしい!」という危機感によって、自分を動かしていたという。
また、勉強を始める直前にタイマーを10秒にセットしてアラームが鳴ったらともかく勉強を開始するということを習慣化していました。タイマー10秒セットがルーチンなのです。さらに、ノイズキャンセリング機能がついたヘッドフォンで雑音が聞こえない環境を作り、1回のトレーニング量を決めておいて、1時間連続で勉強するよりも、1回を20分として、休憩を挟んで3回に分けるように時間割を作っていたというのです。
いかに良い体調で、高い集中力を持って、機械的にトレーニングを続けるのか、という工夫をしていると理解しました。
人間の脳は進化の過程上、危機感に対して優先的に反応する・・「ああなりたくない!」→「やらなくては!」(p117)
問題集は何度も速く
私の試験勉強法と、ほぼ同じであることにびっくりしました。著者のお勧めは参考書、問題集などを最初は「解く」のではなく、素早く読み、2回めは重要なところに「ふせん」を貼り、3回繰り返す方法です。3回やれば、誰でも覚えますよね。実際、私も試験前には、問題集を3回やることで試験をクリアしてきました。試験対策は、「じっくり1回」よりも「何度も速く」というのが効果的なのです。
また、起きてからの2時間は非常に集中力が高まる時間帯であると著者は指摘しており、同じように私も朝5時に起きて勉強していました。現在は、朝の時間にメルマガを書いています。最後に環境も大切です。人は環境に左右される動物です。だから、図書館など、勉強している人がいる場所で勉強すると勉強するのが当たり前という意識になるようです。なりたい自分と同じ人がいる場所を探して、そこに自分を置きましょう。
記憶力日本一6回という業績にびびりながら読みましたが、常識的な勉強法でした。☆4とします。池田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「思い出す」行為で知識が整理・再編集される・・模試試験がある場合は積極的に受ける(p107)
・「Anki」というアプリ・・表に問題、裏に答えがあるという単語カードのような、いわゆるフラッシュカードのしくみ(p153)
・睡眠時間を削って勉強するのは"愚の骨頂"(p182)
・勉強して成績が上がるまでにはタイムラグがある(p120)
【私の評価】★★★★☆(89点)
目次
序章 独学で失敗する人は「記憶の使い分け」ができていない!
第1章 頭の回転が速くなる「速い記憶」の使い方
第2章 合格に絶対必要な「遅い記憶」
第3章 独学に効く「速い記憶」「遅い記憶」活用法とお役立ちツール
第4章 学習脳を育む習慣術
著者経歴
池田 義博(いけだ よしひろ)・・・(一社)記憶工学研究所代表理事/所長。世界記憶力グランドマスター。1967年生まれ。大学卒業後、エンジニアを経て学習塾を経営する中、40代半ばで「日本記憶力選手権大会」に初出場し、優勝。その後2019年まで6度出場し、全て優勝する。2013年にはロンドンで開催された世界記憶力選手権で日本人初となる「記憶力グランドマスター」の称号を獲得。現在は自らの経験をもとに記憶力・脳力開発の研究を進め、その普及のために「記憶工学研究所」を設立、日々活動している。
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