望月衣塑子「嫌われるジャーナリスト」田原総一朗
2021/01/09公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
要約と感想レビュー
印象操作は意図的なのか
安倍元首相と直接話せるほどの田原氏と、官房長官記者会見で変な質問を連発の望月氏という珍しい組み合わせなので手にした一冊です。望月記者の特徴は、加計学園の獣医学部問題への発言を見ればわかるとおり、勝手な思い込みで裏を取ることもせず、公の場で思い込みを前提とした質問を連発していることです。
ジャーナリストは事実を追い求め、読者に第三者の立場で事実に基づいた報道をするのが使命のはずなのに、思い込みや自分で調べず、自分の意見を押しつけるような質問は印象操作のように見えます。この本で望月氏は「私自身はそれなりに菅さんに気を使って、丁寧に聞いているつもり」と発言していますが、いかに頭が悪いのか、意図的なのか、私には理解できません。
望月・・・加計学園の獣医学部の新設なんて、文科大臣の判断で決められるようなマターとは到底思えない。明らかに総理と一体化している(p82)
マスコミは対案を出すべきだ
本書の最後のほうで田原さんが、大新聞の主筆に批判だけでなく対案を出すべきだ、と言ったと語っています。私には田原氏が望月氏に対し、望月氏の批判だけの姿勢をこのような形で叱っているのだと感じました。
しかし望月氏が、この田原氏の配慮に、気づいている気配はありません。やはり、単純に知能が低いのかもしれません。そうだとすると、「論点ずらし」「自分で調べず質問」などジャーナリストと思えないような望月氏のスタンスは変わらないのでしょう。
田原・・ジャーナリストの基本は権力批判でいい、と僕は思っている。ただ、ある大新聞の主筆に僕はこういった。「新聞の多くは権力を批判するだけでもいい。でも、あんたの新聞はここまで大新聞になったんだから、やっぱり対案を出すべきだ。メディアが政権批判だけしていればいいという時代は終わった」とね(p171)
マスゴミは批判だけ
田原は、麻生は吉田茂の孫で、安倍は岸信介の孫であることを指摘しています。それに乗っかって、望月は「二人とも、いうことが軽いのか。低次元の失言や野次が多いでしょう?」と話しています。まさに自分を顧みず、表面的で印象操作をしようとするだけの軽い低次元の記者であることを自分の発言で証明しているのです。
最近はテレビはBSばかり見ていて、新聞もあまり読みません。なぜならテレビや新聞を読んでも真実を伝えようとうメディアはないし、逆に騙されているのではないか、といつも身構える必要があるからです。
ネットや書籍を通じて物事の真偽を自分で調べることのできる時代に生まれて、本当に良かったと感じました。田原さん、望月さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・望月・・・官邸ににらまれたら、局長になれないし審議官にもなれない。省庁では出世ルートが決まっていて、この部長になった人は必ず局長になれるという重要ポストがありますけど、そういう部課長にもなれない(p63)
・田原・・・僕が直接知っている戦後日本の首相で「こうすべきだ」という強い主張を持っていたのは、田中角栄、中曽根康弘、小泉純一郎だけ(p69)
・田原・・・昔はね、田中角栄でも中曽根康弘でも料亭で会ってあれこれ話しても、やっぱり最後は家に帰ってお茶漬けで飯を食うんです。朝日でも読売でも、その飯を一緒に食えるかどうかというのが、政治家に食い込む程度を示す判断基準。茶の間に入れればトップ記者、二番手は応接間まで入れるかどうか・・(p144)
【私の評価】★★☆☆☆(66点)
目次
第1章 「新型コロナ」と「安倍政権」という大難題
―"嫌われるジャーナリスト"は日本をこう見る
第2章 だから「望月衣塑子」は嫌われる
―記者会見や記者クラブの憂うべき現状
第3章 だから「田原総一朗」は嫌われる!
―なぜ、批判するだけではダメだと思ったか
第4章 嫌われるジャーナリストは、どこへ行く?
―メディアが大激変しても変わらないもの
著者経歴
望月衣塑子(もちづき いそこ)・・・1975年、東京都生まれ。東京新聞記者。慶應義塾大学法学部卒業後、東京中日新聞社に入社。千葉支局、横浜支局を経て社会部で東京地検特捜部を担当。その後経済部などを経て社会部遊軍となり、官房長官記者会見で問題質問を連発。
田原総一朗(たはら そういちろう)・・・1934年、滋賀県生まれ。ジャーナリスト。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所に入社。東京12チャンネル(現・テレビ東京)を経てフリー。「朝まで生テレビ! 」(テレビ朝日系)、「激論! クロスファイア」(BS朝日)の司会を務める。
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