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「戦国の組織と人脈 (日本を創った戦略集団)」堺屋 太一 三浦 朱門、童門 冬二、田原 総一朗、百瀬 明治、小和田 哲男

2010/11/19公開 更新
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戦国の組織と人脈 (日本を創った戦略集団)


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

歴史を学ぶ方法には、三通りの方法があります。一つ目は、歴史の流れを学ぶこと。これは学校で学ぶ歴史です。二つ目は、歴史上の人物の視点から学ぶこと。これは歴史小説を読むことが相当します。マクロの視点から、ミクロの視点で歴史を見るという感覚でしょうか。


そして、三つ目は、歴史の解釈を学ぶこと。これは、この本で学ぶことができます。歴史の見方と解釈を学ぶことで、歴史のとらえ方に深みが出てくるのだと思います。


・「織田信長の偉大さは、桶狭間において奇襲によって優勢な敵を破ったことではない。生涯二度と桶狭間のような奇襲作戦をやらなかったことだ」(司馬遼太郎)(p15)


この本の良いところは、著者の力量にもよるところが大きいのでしょうが、歴史から何を学ぶのか、といった学びが多いところです。どうすれば人を動かすことができるのか、どうすれば人材を集めることができるのか、といった現代の私たちへの助言が含まれているのです。


例えば豊臣秀長は、ベテラン部将から苦情のあった際には、ためらうことなく文系の官僚を叱りつけるのですが、最終的には官僚の主張どおりにしているのです。現代の官僚制に近いもののように感じます。


豊臣秀吉から徳川家康の時代という面白い時代を解説しながら学びの非常に多い一冊でした。執筆者の皆さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

名将はまず味方の利点を知って策を練り、凡将は先に味方の欠点を見て脅える(p31)


・「下剋上の論理」・・・家来にとって、いい主人とは、「自分の能力を認め、それを伸ばし、しかも能力に見合った給与を与えてくれる人物である」ということだ(p192)


・人材を発掘するときに、どうしても自分の好みが出てしまう。家康はそれをいましめて、「ややもすれば己が好みにひかれ、わがよしと思ふ方をよしと見るものなり。人には其長所のあれば、己が心を捨て、ただ人の長所をとれ」(p258)


・秀吉の検地・・・統一的な基準もととのえられた。・・・京桝(ます)の採用。それまで、桝にはさまざまな種類があり、また年貢を取り立てるときは納桝を、その年貢を支払いにあてるときには払桝を用いるというような不正な慣行もまかりとおっていた。(p160)


戦国の組織と人脈 (日本を創った戦略集団)
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堺屋 太一 三浦 朱門 童門 冬二 田原 総一朗 百瀬 明治 小和田 哲男
集英社
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【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

個性から統制への集団
豊臣秀吉と補佐役集団(堺屋太一)
石田三成の思想と戦略(田原総一朗)
高山右近とキリシタン群像(三浦朱門)
長束正家と経理集団(百瀬明治)
藤堂高虎と特技集団(童門冬二)
徳川家康と治安の謀臣たち(小和田哲男)



著者経歴

堺屋太一(さかいや たいち)・・・一九三五年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業。通商産業省(現経済産業省)に入省し、日本万国博覧会を企画、開催したほか、沖縄海洋博覧会や「サンシャイン計画」を推進した。在職中の七五年、『油断!』で作家デビュー。七八年に退官し、執筆、講演、イベントプロデュースを行う。予測小説の分野を拓き、経済、文明評論、歴史小説など多くの作品を発表。「団塊の世代」という言葉を生んだ同名作をはじめ、『峠の群像』『知価革命』など多くの作品がベストセラーとなった。一九九八年から二〇〇〇年まで小渕恵三、森喜朗内閣で経済企画庁長官、二〇一三年から安倍晋三内閣の内閣官房参与を務めた。一九年、没。


田原総一朗(たはら そういちろう)・・・1934年、滋賀県生まれ。ジャーナリスト。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所に入社。東京12チャンネル(現・テレビ東京)を経てフリー。「朝まで生テレビ! 」(テレビ朝日系)、「激論! クロスファイア」(BS朝日)の司会を務める。


童門冬二(どうもん ふゆじ)・・・歴史小説家。1927年、東京に生まれる。第43回芥川賞候補。目黒区役所係員を振り出しに、都立大学事務長、都広報室課長、広報室長、企画調整局長、政策室長を歴任。1979年退職。在職中に累積した人間管理と組織の実学を歴史の中に再確認し、小説、ノンフィクションの分野に新境地を拓く。


小和田哲男(おわだ てつお)・・・1944年、静岡市生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、静岡大学名誉教授、文学博士、公益財団法人日本城郭協会理事長。専門は日本中世史、特に戦国時代史。著書に『戦国の合戦』『戦国の城』『戦国の群像』(以上学研新書)などがある。NHK大河ドラマ『秀吉』『功名が辻』『天地人』『江~姫たちの戦国~』『軍師官兵衛』『おんな城主直虎』『麒麟がくる』『どうする家康』の時代考証を担当。


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