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「50歳からの勉強法」童門冬二

2021/12/01公開 更新
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「50歳からの勉強法」童門冬二


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

 童門さんの助言は、50歳までは仕入れの時期、50歳を超えたらそれまで仕入れた分野に注力しなさいというものです。そしてその後は、童門さんの仕事術の説明が続きます。


 小説家である童門さんの勉強法というか仕事法は、徹底した情報収集にはじまります。関連する書籍、新聞、雑誌を集め、行きつけの飲食店で、飲み食いしながらそれを読んでは、スクラップするのです。そしてその情報を元にストーリーを組み立て口で話してテープに録音して、文字起こしをしてもらうのです。スピードアップになるし、腱鞘炎に耐える必要がなくなりました。


・僕はもう長い間、小説を「書く」という行為をしていません。こうした原稿のほとんどは・・「話す」ことで作成しているのです(p36)


 講演の仕事では、大きな流れのメモを作ったら、実際に一度話してみます。それをテープに録音して聞き返し、内容や時間配分を修正します。話すのと聞くので2倍の時間をかけて周到な準備をしていることがわかります。


 そして、話し方は大好きな落語の真似をして、江戸弁を織り込んだ語り口や"つかみ"から入る落語の構成とアドリブで参加者を楽しませるようにしています。小説も口頭で書くし、講演も口頭でリハーサルするのですから、童門さんはまさに噺家(はなしか)なのでしょう。


・僕の話法はその落語の演者である噺家(はなしか)の語り口を学びながら、かなり意図的に構築してきたものなのです(p174)


 面白いのは童門さんは東京都の役人として東京都立大学事務長、知事秘書、広報室長、企画調整局長、政策室長などを歴任したエリートと思っていましたが、前例踏襲を常とする役人ではなかったようです。若い時には、上司と方針でぶつかることも多かったようですが、後年は人間関係を重視し、「童門さんが言うなら」と動いてくれる仲間を増やしていったようです。


 童門さんが言うように、50歳までは仕込みの時間とすれば、50歳までに仕込んでいなければ、50歳以降活躍は難しいのかもしれません。仕込んでいない人は、今から仕込んでおきましょう。童門さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・人が人を動かす動機の最大のものは「人間力」です。したがって、相手に「この人のためなら」と思わせる何がしかの要素がこちらにないと人を動かすことはできない(p117)


・五十歳を過ぎてからの学びでは、加工された第二次情報よりは、自分の手足を使って直接得られる第一次情報、すなわち「なまもの」の情報に多く接することにウェイトを置くべきです(p92)


・夜寝るときも枕元には常時、十冊くらいの本が積み重ねてあり、・・・読みたい本に比して読める時間が不足している・・・その結果、同時進行の読書が習い性になってしまうのです(p71)


・「やる気をあてにするな」・・・やる必要のあることは、やる気なんか相談せず、やる気の生じるのを待つこともなく、さっさととりかかる(p78)


・僕は毎朝四時ごろに起床して、仕事を始める七時まで新聞を読んだりテレビを観たりしながら朝食を摂るのが日課になっています。その間、三十分くらい散歩に出ることが多い(p81)


・『生きる』を観なかったら、あるいはぼくは自分の職業に矜持(きょうじ)をもてないまま、映画に描かれたとおりの無気力、無責任な役人生活を送っていたかもしれない(p104)


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▼引用は、この本からです
「50歳からの勉強法」童門冬二
童門冬二、サンマーク出版


【私の評価】★★★☆☆(79点)



目次

プロローグ 「死して朽ちない」ために何を学ぶか
第1章 柔軟で、型にはまらない勉強法
第2章 頭をやわらかく、心をゆたかにする思考法
第3章 人生の余白を広げる学び方
第4章 「終身現役、一生勉強」の生き方を貫く


著者経歴

 童門冬二(どうもん ふゆじ)・・・1927年東京生まれ。1944年海軍土浦航空隊に入隊し特攻隊に志願するが翌年終戦。戦後、東京都庁に勤務。東京都立大学事務長、知事秘書、広報室長、企画調整局長、政策室長などを歴任。1960年『暗い川が手を叩く』で第43回芥川賞候補となる。1979年美濃部亮吉東京都知事の退任とともに都庁を去り、50歳を過ぎて作家活動に専念する。ベストセラー『小説 上杉鷹山』など、歴史上の人物に自らの経験を重ね合わせ組織運営のあり方を叙述する小説を執筆。1999年に勲三等瑞宝章受章。


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