「「情」と「知」のリーダーシップ」童門 冬二
2015/06/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
夏目漱石は「草枕」で、「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ」と言っています。組織においても、才を見せればイジメられる。感情的になると成果が出ない。方針を貫けば足を引っ張られる。とかく組織というものは、バランスが難しいものなのでしょう。
著者は自分の体験なのか、上司の能力を試そうとして、無理難題を吹っかける部下がいると言っています。上司を舐める部下には、厳しい態度が必要としており、著者は昔痛い目に合ったのでしょう。したがって、組織においては「情」と「知」とのバランスが大事だと言っています。
・才走った人は、とかく、部下が問題解決するのを待てず、自分で断を下しがちだが、それでは部下が育たない(p112)
組織のリーダーには、責任はもちろんですが、いろいろ考えるべきことがあります。先をみた実行可能な方針。方針を示して、詳細は考えさせる。やるべきは断固してやる。修正すべきは、即指摘する。他人への心配り。部下は上司の采配を受けながら、観察しているのです。
だから、上司は部下にそこであれは良いとか、これは悪いとか言ってはいけないのです。部下は上司から指示されれば、士気を喪失してしまうのです。ですから徳川家康は、お若い頃から、あまりものごとをはっきり言わなかったという。
・あまり先のほうを歩かない。部下がついてこられるように、一歩か一歩半くらい先を歩く。(p125)
とかく、組織は生きにくい。イギリスで引きこもりになった夏目漱石の気持ちがわかったような気がしました。童門 さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・木下藤吉郎の堀修理の話・・・◎自分でやってみる。◎そのうえで、緻密な計画を立てる。を基にして、◎仕事を細分化し、・・ひとつひとつに目標を設定する。◎人間の競争心をかき立てる。(p100)
・黒澤明さんは世界的な映画監督だったが・・・セット撮影に入る前に、黒澤監督は、スタッフや出演者全員に、必ず、濡れていない雑巾を持たせて、セットに組まれた大道具をから拭きさせる(p38)
・普通、「俺の宝は、俺のために生命を捨てる五百人の部下だ」などとはテレくさくて言えない。しかし、それを敢えて口にするところに、家康の真骨頂があった(p78)
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【私の評価】★★★★★(90点)
目次
序章 管理者としての原点を忘れていないか!
第1章 「情」のリーダーシップ―温かさのない人にはついてこない
第2章 「知」のリーダーシップ―部下の能力をどこまで高められる
第3章 「一体感(共感)」のリーダーシップ
―「情」と「知」が人と組織を変える
著者経歴
童門冬二(どうもん ふゆじ)・・・本名、太田久行。1927年(昭和2年)、東京生まれ。東京都立大学事務長、東京都広報室課長、広報室長、企画調整局長、政策室長を歴任。1979年(昭和54年)、美濃部都知事の引退とともに都庁を去り、作家活動に専念。在職中に培った人間管理と組織の実学を、歴史と重ね合わせ、小説、ノンフィクションの世界に新境地を拓く。『暗い川が手を叩く』で第43回芥川賞候補。日本文芸家協会ならびに日本推理作家協会会員。1999年(平成11年)、春の叙勲で勲三等瑞宝章を受章
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